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■81 紫の陣
しおりを挟むルシルに乗り飛び立ち、辿り着いた先。
それは昼間に私が祈りを捧げた場所。
そう、__聖宮だ。
「あ、れ……!?」
入口に入ろうと近づいた時、何かの壁に当たった。
見えない壁、何か結界だろうか。
どんどん叩いても割れない、中の様子も音がしなくて分からない。
け、けど……何だか、誰かが呼んでいるような、そんな感じが頭の中にして。
どうして?
誰が?
分からない、けれど、早く聖宮の中に入らなければという事だけが私の中にあって。
だから早く入りたいんだけど……仕方ない、壊そう。それしかな…
「うわっ!?」
いきなり、手で叩いた先に固い物が無くなっていて。思いっきり叩こうとしていた為に前につんのめってしまった。
「いったぁ……えっ!?」
ドンッ……と地響きがして、次の瞬間聖宮が光り出した。きっと天井のないあの場所で何かあったんだ!! 急がなきゃとすぐに立ちあがった。
昼間には開いていた大きな扉は閉じられている。頑張って押すと、ギギギ……と音を立てて開いて。開いた隙間から紫の光が漏れだしてきて眩しい。
「えっ……!?」
空間の丁度真ん中。丁度私が今日歩いた道の真ん中。
誰かが立っていて、その人を軸に展開されている錬成陣……錬成陣?
錬成陣とは、違う……何だろうか……けれど、言える事は……
あの日、感じたもの。
【憎悪】
それを、感じる。
駄目だ、アレを発動させてはいけない。
『 この世の全ては 全にして一 』
飛び込み、陣に杖で触れる。
『 女神によって与えられし この世の理 』
陣の中心にいる、ローブを被った人物が、こちらを見た。
にや、とニヒルな笑みを浮かべている。
『 女神の導きにより 一に戻りし万物 』
……待って、これやっぱり錬成陣じゃない……っ!!
錬成陣強制解除が全く効いてない……っ!!
『 』
えっ……
目の前の人物が、何かを発した。
けど、私の知らない言語だ。
けれど、どんどん紫の光は強くなっていく。
そして、
パリィンッ……
まるで、ガラスが割れるかのような音と共に光が消えていた。
陣の破片のようなものが舞っていて、それが光っていて真っ暗闇でもこれを作り出した張本人が認識できる。
「何、してたんですか」
また、私を見て笑う。
待って、その手にあるものは……?
小瓶……?
「さすが、と言った所かな」
男性の、声だ。
どこかで、聞いた事のあるような……ないような……
「誰ですか」
「そうだな……あえて言うなら、――兄弟子」
「えっ……!?」
兄弟子?
わ、私の?
そう聞きたかったのに、もう既に彼は姿を消していた。
「兄、弟子……」
お、お師匠様……
一体、どういう事ですか……?
「ステファニーさん、どうしました?」
「え? あぁ、なんでもありません、ギルバートさん」
緑の光を放つ、錬成陣ではない他の何かを発動していた、兄弟子を名乗る人物。
じゃあ、聖宮で何をしていた……?
あの、手に持っていた小瓶は?
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