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■63 頼もしい仲間達
しおりを挟む「到着は明日と聞いていたので、驚きました」
「ハハッ、道中何事もなく、思ったより早く領地に着くことが出来ました」
こんな事になっていたなんて、我々が少し早く合流すれば良かったです。と申し訳なさそうに、サマンサが出した紅茶を飲むギルバートさん。……あ、第二騎士団団長さん。まぁ、何事もなかったのですからそんなに気を落とさないでください。
「今回は、来て頂きありがとうございます。とても助かります。何か出来ることがあれば遠慮なく言ってください」
「我々は、陛下から任務を受けたわまりました。ご協力、感謝いたします」
これは、私が来ていただいて申し訳ないと思っていたことに気がついたのだろうか。だって、陛下が気を遣ってくださったのだろうから。きっと、初めてやることが沢山あって手が回っていないだろうから、と。これは、私の力不足だ。とは言っても、私は超人でも何でもない。
頼っていい、と言われてしまったけれど、甘えでもあるから……恩返しが出来るよう、努めなければいけないね。
さて、第二騎士団の任務だけれど……第2の首都スモーラナ地方に、首都から向かうためのルートの2つの内1つがこの湿地帯のせいで使えなくなっているわけだ。そして、それを利用して山賊がこのもう1つのルートで悪さをしているという。
「使われていた方のルートは、第三騎士団の方に任務が下されているようです」
「なるほど……」
湿地帯には、一応結界は張ってある。あの北の森で使用した結界を張る為の翠水晶だ。これで一応はモンスターは湿地帯から出てこない。
「これを使ってください」
「これは?」
「結界に入る為の鍵のようなものです」
渡したのは、薄く板状にされた掌サイズのカードのようなもの。これは、同じ翠水晶で出来ている。これを結界にかざすと人が入れるように出入口が開くようになっているのだ。この場所から入れるようになっています、とテーブルに広げていた地図の一部を指さした。
すぐにでも、偵察隊を編成して湿地帯調査に向かわせます。と、言ってくれて。私達では、あまり調査が出来てなかったから、本当に助かります。
「……サマンサ、紅茶のおかわりを」
「……かしこまりました」
そう彼女にお願いすると、にっこり笑い出ていった。私のカップには、まだ紅茶は入ってる。けれど、おかわりと伝えた意図は伝わった、かな??
「お久しぶりですね、ギルバートさん」
そう言った私に、少しだけ目が開いた。あ、ダメだったでしょうか。
「あぁ、お菓子足りませんでしたか?」
「……男爵様……いえ、ステファニーさん」
あはは、ちょっとずるかったでしょうか。まぁ、いっか。ここには私達二人しかいないから、甘党お兄さんと言っても誰にもバレないし。
「結局お料理は2回しか教われなかったですね」
「そうでしたね、ですがとても充実した時間でしたよ」
「私も楽しかったです。あぁ、あのパイ本当に美味しかったです!」
ギルバートさんが作ってくださった、甘酸っぱい果実が沢山詰まったパイのケーキは本当に美味しかったですっ!!
シェフの方の作るものにくらべれば、と言われてしまったけれど本当にあのパイは好きなんです!!
「……驚きました、か?」
「貴族となられた事ですか?」
そう。貴族になってから、周りの生活がだいぶ変わった。今まで会っていた人達ともあまり会えなくなってしまったし……もちろん第二騎士団さん達とも。だって、王宮に何度も赴いていたから顔を合わせることだって沢山あった。だから、ちょっと寂しかった。
「そんな事はありませんよ、もう既に賢者様でしたからね」
あぁ、もう何も驚かないと。そう言いたいのでしょうか。……あぁ、この顔は正解でしたか。
「ステファニーさんがこの国に来てくださり、この国の問題点をいくつも解決に導いてくださった。心から感謝いたします。ですから、これは当然の事だと思いますよ」
め、面と向かってそんな笑顔で言われると……照れるというか、何というか……それに、私一人の力では出来なかったものばかりだ。周りの方々が手を貸してくださったお陰だ。
「皆さんがいなければ、出来ませんでしたよ。ありがとうございました」
「賢者様のお力になれて、光栄でございます」
こういうの、嫌なんだけどなぁ。と思っていた事に気が付かれたのか、ククッと笑われてしまって。甘党団長、って言っちゃうぞ。第二騎士団さん達に。
「あぁ、それと何か困ったことがありましたら聞いてください。私も一応貴族ですから」
あぁ、そうだよね。ギルバート・ダルベルトさんだもんね。ダルベルト伯爵家の当主だっけ。仕草とか振る舞いがもう貴族ですって言っているようなものだもん。見習わなければ。
「令嬢さん達と楽しくお話できる秘訣を教えてください」
「……え?」
今、それが一番聞きたい。あ、困らせちゃいました?
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