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■47 新しい仲間達
しおりを挟む国王様から男爵という爵位を貰ってからが忙しかった。
税金? を国が設定したものに戻すにも、そもそも私はここに来てからお金の価値を知って1年も経ってない。
書類整理? そんなの初めてだよ。紙もこの国に来て初めて知ったから、扱った事はあまりない。一応研究の為に自分に分かりやすいようにまとめた事はあるけれど……それでもだ。
あと、元ドラグラド領の数十年前の色々な記録? まだまだ読み終わらなくて先が見えない……
「まさかここに来て挫折……」
ごめんなさい、本当にごめんなさい。私は只の錬金術しかできない小娘……いや、700歳くらいのおばあちゃんです。
領主が変わって、領地の名前も変わって。やることが沢山あって中々領地に行けません。どうしましょう。
「また弱音を吐いているのか」
「で、殿下……」
神出鬼没な王太子殿下。因みにここは王宮の、殿下が貸してくださったお部屋です。王宮にある記録を拝見させていただいていたのです。
「ま、またじゃないです」
「本当か?」
「……」
この人、忙しかったんじゃなかったの? 一体ここには何回来た。
「そんなレディに良い知らせを持ってきた」
「え?」
「優秀なハウススチュワード達」
「!?」
「欲しくないか?」
優秀な、ハウススチュワード? 優秀って事は頭のいい人って事だけど、ハウススチュワードとは?
「主人の身の回りの世話をすると共に、秘書として公私に渡り主人の補佐、そして屋敷内の使用人達の統括も担う人物だ。君にぴったりな、優秀な人材を探しておいたのだが、どうだろうか」
「殿下!! 感謝いたします……!!」
「ククッ、君は正直だな」
「あ”……」
「それで良い。実はもう来ているのだ、行こう」
は、早くないですか!? 了承するって分かっていて呼んだんですね!? 流石です……
「スティーブンと申します、男爵様」
「サマンサと申します」
連れてこられた部屋には、私より年上の(見た目の歳)男性と女性がいた。うん、見た目仕事出来ますって感じ。
「ハウススチュワードと、ハウスキーパーだ」
「わぁ、よろしくお願いします!」
「男爵様」
「我々は男爵様の使用人です、どうか頭を下げず、敬語もお使いになられませんよう」
あ、そっか。私男爵だった。貴族になったんだった。
「君は貴族になりたての女性だ。利用されやすい存在となる。2人は信用に足る、口の堅い優秀な人材だ。安心してくれ」
「ありがとうございます、殿下」
では、そう言い残して行ってしまった。やっぱり忙しいじゃないですか。
「貴族に関しては、何もかも初めての事だから……色々と教えてくれると嬉しいな。こんな何も分からない主人でごめんね」
「滅相もございません」
「これから、誠心誠尽くさせていただきます」
「うん、ありがとう」
まずは……領地に行かなければなぁ。でも、この心強い2人がいるから何とかすぐに行けそうかな。
お家の引っ越しの準備は完璧。というより収納魔法陣の中だ。あとはジョシュのものだけかな。
「男爵様には、領地に到着してからとなりますが当主に必要となる授業を受けていただきます。今は社交界シーズン中ですから、シーズン中にお披露目を済ませていただく必要があります」
「お披露目……?」
「ご主人様がモストワ男爵になられたという事実を世間にお見せする為の大切な夜会となります」
あ、そっか。あの式で出席していない人達にも顔を見せなければならないのか。
「その為には、受けて頂かなければいけないマナーレッスンや、片づけなければいけない案件が山積みでございます。早急に領地に向かうためのご準備を」
「う、うん……」
私が思っていた以上にやる事は山積みという事だ。けれどやっぱり、分かっている人がいるっていいね。心強い。ありがとう。
これから頼りっきりになっちゃうかもしれないけれど、よろしくお願いします。
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