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■36 お茶会

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 今日は、王宮に呼ばれた。術師の皆さんの所に行く日ではないのに呼ばれるのは初めてだから、慌てて準備をして魔鉱車に乗り込み王宮へ。


「何かあったのですか??」

「私達には知らされておりません、お早くお支度を済ませましょう」

「あ、はい、よろしくお願いします」


 いつも通り、とても素敵なドレスを着せられ帽子を深くかぶり侍女さんに案内された。





 今日も外の庭園に連れていかれ、いつも通り設置されたテーブルとイスが見えた。あ、もう王太子殿下座ってる。遅かったか。

 まぁいつもの事か。そう、そう思っていた。が……一点だけ、いつもと違う所があった。


「……えぇっ!?」

「久しいな、デイム・ステファニー」


「……ご、ご機嫌麗しゅう、国王陛下・・・・、王太子殿下」

「そのような堅苦しい挨拶など不要だ、座りなさい」

「ありがとう、ございます……」

「さ、君は紅茶が好きだったな。今日はいつもと違った種類のものを用意させた。気に入ってくれると良いのだが」

「ほぅ、ステファニー殿は紅茶好きか。覚えておこう」

「ア、リガトウ、ゴザイマス……」


 呼ぶ相手を間違えてはないだろうか。

 何故、国王陛下と王太子殿下とのお茶の場に私がいるのだろうか。



「報告は受けたぞ、大儀であったな」

「あ、りがとうございます」


 報告、とはあの毒霧の件の事だろう。

 あの日、メルディアースさんが手伝っていただいたおかげで処理することが出来た。彼は大賢者だから、その件に関しても報告はしたけれど知人と書いておいた。あの後、彼にワシが手伝ったことは言わなくて良いと言っていたし。


「モワズリー卿が、我々の出る幕はなかったと言っておったぞ」

「いえ、王宮術師様達のご協力がなければすぐに突き止めることは出来ませんでしたよ」

「君は本当に自分を過小評価しすぎる、誇ってよい所だぞ」

「えぇと、ありがとうございます」

「うむ、それでよい」


 ちょっと緊張気味でぷるぷるしながら紅茶カップを持つ。あぁ、落とさないよう気をつけなきゃ。


「して、フレッド。そろそろお主の成人の儀であったな」

「はい」

「婚約者を決めねばならぬが、相手はもう決まっておるのか?」

「いえ、中々相応しい相手を見つけることが出来ず決めかねている状態です」


 ……ん???


「最近は色々と立て込みそれらに時間を当てることも難しいのです。

 近くに、とても優秀で私の事を理解してくれる素晴らしい女性がいればよいのですが……」

「そうか、しかしもうそろそろではないか」

「そうですね。まぁ、この件に関しても色々と頭の痛い所はありますが、何とかしてみせますよ」


 何とかしてみせる、か。

 そうだよね、次期国王になる人の婚約だからいずれは王妃って事もあるんだよね。

 ……いやいや待て待て、そんな大事なことを今まで決めずに放ったらかした……? あ、言い方悪かったか。

 というか、何で私がいるのにそんな大事なこと喋っちゃっているのだろうか。


「……」


 その視線は、何でしょうか。お二人の視線が……


「あっ、えっと、そ、そういえばあのモノリア伯爵家はどうなったのでしょうか……?」

「あぁ、伯爵家は取り潰し。伯爵本人も、それに関与していた一族皆それ相応の刑罰が下された」

「えっ……」

「重罪を犯したのだ、当たり前のことであろう」


 そっか、硬貨偽装にモンスター狂暴化させたんだもんね。何と恐ろしい。

 でも、お茶会で出す話題じゃなかった。失敗したな。


「その件に関しては、お主の手柄である。近いうちに褒美を渡そう」

「いえ、でも……」

「ハハッ、お主はまことに欲のないものだ。なら、こちらの顔を立ててくれぬか?」


 あっ……事件を解決したのに褒美を与えないとなると王様達の顔が立たないという事か。でも……


「何も言わずに貰っておけばいい、後で役に立つぞ?」

「えぇーっと、」


 ニコニコしながらそうおっしゃる王太子殿下。そんなのでいいのでしょうか……?


「あぁ、代わりにあのモノリア領を与えようか??」

「いっいえいえいえ!!」

「ククッ、そんなに嫌か」

「あっいえっ、そうではなくて、私にそんな領地を管理する事なんて出来ません……」

「優秀な人材を用意してやろうと以前言ったはずだったが」

「あっ、はい、ですが……」

「ハハッ、冗談だ。お主ならそう言うと思ったぞ」


 えっ、国王様酷い……!! 分かってて言ってたのね!!


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