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第二章
◇24 まさかの強者がここにもいらっしゃった
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「じゃあ、大人しく待っていてくれ」
「……気を付けて行ってきてくださいね」
「あぁ」
数日後、ヴィルが仕事で出かけていった。街の現状把握をするためだそうだ。あとは、掘り起こし? だからウチの騎士団も数人を残して連れていった。
街のみんな、大丈夫かな。でも、小さい頃からずっと生活してきたメーテォスの領民達なんだ、エキスパートなんだから大丈夫だよな。
だから俺は、大人しく……
「やっほ~! リューク君久しぶり!」
この人は、ヴィルが出かけていることを知っていたのか? まぁ、毎年の事だから知ってるか。
まさか、ヴィルの妹であるルファニスさんが来るとは思わなかった。
「おっ、結構お腹大きいな」
「出産日は夏です」
「そっかぁ。リューク君に激似でよろしくな」
「……はい」
いや、それしか言えないでしょ。いきなりそんな事を言われたらさぁ。でも激似とかっていうのは俺がどうこうする事じゃないだろ。俺にどうしろと。
「出産、大変だけど頑張ってな。あの使えない煩いやつはさっさと部屋から追い出しちゃいなよ?」
「え」
「邪魔なだけでしょ。アメロでもないのにさぁ、リューク君の気が散るのは目に見えているんだから気にしなくていいから。それよりもリューク君はお腹の子の事考えなきゃ。な?」
……使えない煩いやつ、ってヴィルの事だよな。ヴィルって医療関係は大体知識を持ってるって言ってたけど……邪魔に、なるのか……?
「……あの、ルファニスさんはお子さんっているんですか」
「え? いるよ? 俺出産経験者」
「へぇ。お子さんはおいくつですか?」
「一番上が7歳」
一番上? じゃあ二人いるのかな。
「次がアメロで5歳、その下は3歳で、その下は1歳、そして一番下は……」
ポンポン、と自分の腹を軽く叩いたルファニスさん。いや、まさか……
「……おめでとうございます」
「あはは、ありがと」
……まさかの、5人兄妹。すげぇな。出産経験者の強者だった。俺今妊婦経験してるけど、これを4回も、そして今5回目だなんて……無理に決まってる。
「ダーリンはもういいって泣きが入ってるんだけどさぁ、やっぱり家は賑やかな方がいいじゃん? 毎日楽しい方がいいしな」
「なるほど……」
「それに可愛いしね。そりゃ、俺とダーリンの子だから当たり前だけどさっ」
まぁ、確かに賑やかな方がいいよな。でも5人もだなんて……強いな、ルファニスさん。そしてルファニスさんの旦那さん、泣きが入ってるんだ……ドンマイ。
まぁ、ヴィルも色々と我慢とかしてたしな……それに一人だけでいいってこの前言ってたし。もしアメロだったらどうするんだ? ほら、メーテォス家を継ぐ子がいないといけないし。もしアメロだったらもう一人産まないといけないだろ。
もう一人……俺、もう一人いけるか? いや、無理だな。アメロじゃない事を祈ろう。
……というか、最後のはツッコミ入れたほうがよかったか? まぁ、ルファニスさんイケメン(?)だけどさ。
「今度連れてくるな、子供達。ダーリンも一緒に」
「お待ちしてます。けど、今度は連絡入れてくださいね」
「あははっ、おっけー!」
いや、笑ってるけどこれは重要な事だよ。いきなりは本当にびっくりするんだから。やめてくれ。
「結婚式もするんだろ? その時は全員で祝いに行かせてよ」
「ありがとうございます」
はい、参列者7人決まりました。一人はお腹の中だけど。でもすごい大家族だな。
それから、ルファニスさんはいろいろと教えてくれた。出産の時の事とか。やっぱり経験者は違うな。でも……
「気合いで乗り切れ!」
「あ、はい、がんばりまーす……」
ここメーテォスの人達は、いろいろと気合いで乗り切るらしい。ヴィルもそうだし。俺がマネできるかどうかは別なんですけど。
とりあえず、腹くくります。
「さっさと帰れ」
「言われずとも帰るっつうの、このバカ兄貴」
「あ゙?」
帰ってきたヴィルと遭遇して喧嘩になりそうになったのは言うまでもない。兄妹仲良くしましょ? ね? このままじゃ結婚式でも喧嘩になりかねないから。やめてくれ、マジで。
「街はどうでした?」
「今年は被害が少なかったな。他の街の被害はまだ報告がないが、一番は白ヒョウ達が大人しかったことが理由だろうな。きっと他も去年より被害が少なくて済んだだろう」
そっか、白ヒョウは大雪の中でも自由に活動出来るから今までのような被害はいつも通りあったって事か……
でも、被害が少なくなってよかった……!
「これもリュークのおかげだ。ありがとう」
そう言って、抱きしめてきた。
でも、思った。
最小限で済んだ、と言っても……被害はあった、って事だ。
やっぱり、こんな地で生活するにはそれなりにリスクがあるって事だよな。
そう考えると……悲しいな。
「……気を付けて行ってきてくださいね」
「あぁ」
数日後、ヴィルが仕事で出かけていった。街の現状把握をするためだそうだ。あとは、掘り起こし? だからウチの騎士団も数人を残して連れていった。
街のみんな、大丈夫かな。でも、小さい頃からずっと生活してきたメーテォスの領民達なんだ、エキスパートなんだから大丈夫だよな。
だから俺は、大人しく……
「やっほ~! リューク君久しぶり!」
この人は、ヴィルが出かけていることを知っていたのか? まぁ、毎年の事だから知ってるか。
まさか、ヴィルの妹であるルファニスさんが来るとは思わなかった。
「おっ、結構お腹大きいな」
「出産日は夏です」
「そっかぁ。リューク君に激似でよろしくな」
「……はい」
いや、それしか言えないでしょ。いきなりそんな事を言われたらさぁ。でも激似とかっていうのは俺がどうこうする事じゃないだろ。俺にどうしろと。
「出産、大変だけど頑張ってな。あの使えない煩いやつはさっさと部屋から追い出しちゃいなよ?」
「え」
「邪魔なだけでしょ。アメロでもないのにさぁ、リューク君の気が散るのは目に見えているんだから気にしなくていいから。それよりもリューク君はお腹の子の事考えなきゃ。な?」
……使えない煩いやつ、ってヴィルの事だよな。ヴィルって医療関係は大体知識を持ってるって言ってたけど……邪魔に、なるのか……?
「……あの、ルファニスさんはお子さんっているんですか」
「え? いるよ? 俺出産経験者」
「へぇ。お子さんはおいくつですか?」
「一番上が7歳」
一番上? じゃあ二人いるのかな。
「次がアメロで5歳、その下は3歳で、その下は1歳、そして一番下は……」
ポンポン、と自分の腹を軽く叩いたルファニスさん。いや、まさか……
「……おめでとうございます」
「あはは、ありがと」
……まさかの、5人兄妹。すげぇな。出産経験者の強者だった。俺今妊婦経験してるけど、これを4回も、そして今5回目だなんて……無理に決まってる。
「ダーリンはもういいって泣きが入ってるんだけどさぁ、やっぱり家は賑やかな方がいいじゃん? 毎日楽しい方がいいしな」
「なるほど……」
「それに可愛いしね。そりゃ、俺とダーリンの子だから当たり前だけどさっ」
まぁ、確かに賑やかな方がいいよな。でも5人もだなんて……強いな、ルファニスさん。そしてルファニスさんの旦那さん、泣きが入ってるんだ……ドンマイ。
まぁ、ヴィルも色々と我慢とかしてたしな……それに一人だけでいいってこの前言ってたし。もしアメロだったらどうするんだ? ほら、メーテォス家を継ぐ子がいないといけないし。もしアメロだったらもう一人産まないといけないだろ。
もう一人……俺、もう一人いけるか? いや、無理だな。アメロじゃない事を祈ろう。
……というか、最後のはツッコミ入れたほうがよかったか? まぁ、ルファニスさんイケメン(?)だけどさ。
「今度連れてくるな、子供達。ダーリンも一緒に」
「お待ちしてます。けど、今度は連絡入れてくださいね」
「あははっ、おっけー!」
いや、笑ってるけどこれは重要な事だよ。いきなりは本当にびっくりするんだから。やめてくれ。
「結婚式もするんだろ? その時は全員で祝いに行かせてよ」
「ありがとうございます」
はい、参列者7人決まりました。一人はお腹の中だけど。でもすごい大家族だな。
それから、ルファニスさんはいろいろと教えてくれた。出産の時の事とか。やっぱり経験者は違うな。でも……
「気合いで乗り切れ!」
「あ、はい、がんばりまーす……」
ここメーテォスの人達は、いろいろと気合いで乗り切るらしい。ヴィルもそうだし。俺がマネできるかどうかは別なんですけど。
とりあえず、腹くくります。
「さっさと帰れ」
「言われずとも帰るっつうの、このバカ兄貴」
「あ゙?」
帰ってきたヴィルと遭遇して喧嘩になりそうになったのは言うまでもない。兄妹仲良くしましょ? ね? このままじゃ結婚式でも喧嘩になりかねないから。やめてくれ、マジで。
「街はどうでした?」
「今年は被害が少なかったな。他の街の被害はまだ報告がないが、一番は白ヒョウ達が大人しかったことが理由だろうな。きっと他も去年より被害が少なくて済んだだろう」
そっか、白ヒョウは大雪の中でも自由に活動出来るから今までのような被害はいつも通りあったって事か……
でも、被害が少なくなってよかった……!
「これもリュークのおかげだ。ありがとう」
そう言って、抱きしめてきた。
でも、思った。
最小限で済んだ、と言っても……被害はあった、って事だ。
やっぱり、こんな地で生活するにはそれなりにリスクがあるって事だよな。
そう考えると……悲しいな。
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