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第二章
◇1 謎が増えてしまった
しおりを挟む無事ヴィルが王城からメーテォスに帰ってきて、第二王子が帰っていった日から2日後。
俺は今、白ヒョウのいる棟に向かっている。もちろん、いつも通りヴィルに抱っこされて、だ。これには危なっかしいから、の他にもう一つ理由がある。
「腰、大丈夫か」
「一日休んだので大丈夫です。それより早く白ヒョウ達のところに行きましょ」
昨日ずっと体がだるくて腰が痛かったからだ。まぁ、あんな事言っちゃったから仕方ないんだけどさ。あの古狸に会いたくないからって理由で子供作ろう大作戦しちゃってさ。一昨日、いや昨日頑張ったんだけど、俺寝たのいつだっけ。いや気絶か、あれは。マジで死ぬかと思ったよ。白ヒョウより恐ろしい獣に喰われたわ。
いつもなら身体がだるいだけなのに今回は腰までやられちゃってさ。昨日一日ベッドの上。でも言ったの俺だしな。それにマジであのクソ野郎に会いたくなかったし。俺を厄介払いしやがるし、青バラを手に入れるために利用しやがるし。
しかも王城に行ったら王族や貴族の野郎共に捕まるじゃん。絶対嫌だよ。
でも白ヒョウには会わなきゃ。いきなり来やがった第二王子撃退のために手伝ってもらっちゃったし、もうそろそろで山に帰るみたいだし。だから今のうちにたくさん会ってもっと仲良くならなきゃな。
「お待ちしておりました、旦那様、奥様」
「こんにちは!」
白ヒョウのいる部屋に着くと、いつもいる研究員の方と騎士達が見えた。奥の檻には、めっちゃデカい白ヒョウと団長。そしてその隣にある檻には小さ目のメスの白ヒョウと副団長が一緒にいた。うんうん、仲が良くてよろしい。これさ、もう飼っちゃってもよくない?
「にゃお~ん!」
デカ白ヒョウに話しかけると、耳をぴくぴく動かし俺の方を向いて返事をしてくれた。うん、しっぽぷるぷるしてる。そんなに会えて嬉しい?
ヴィルに言って檻から大体2m位離れたところに立ってもらった。何度も来てはおしゃべり(?)してもう仲良くなったから、ここまで近づくのをヴィルが許してくれた。ヴィルに抱っこされるのが条件だけど。
「にゃう~ん!」
そう話しかけるとちゃ~んと返してくれる。一体何を言っているのかさっぱり分からないけれども。さすがに白ヒョウ語は分からん。
けど何言ってるのか気になるから、もし勉強出来るならやりたいな。ちゃんと身に付けられるか分からないけれど。俺、地球では英語は……まぁまぁ? 得意ではなかったけれど。
ほら、デカい白ヒョウが隣の小さ目メス白ヒョウにも話しかけてる。壁越しだけど。何喋ってるんだろ。だいぶ気になるな。
まぁ、今白ヒョウの研究が進んでるから気長に待とう。
そして数週間後、デカ白ヒョウの方が山に帰る日となった。
檻越しではあったけれど、バイバイと別れの挨拶をして。でも……
「……俺、臭いですか?」
「いや?」
「じゃあヴィル?」
「臭いか?」
「……いや、臭くないです」
だいっっっっぶ臭いを嗅がれた。一体どういうことなのか全く分からん。
「白ヒョウについては分からない事は多いからな。これでもう一つ謎が増えたという事か」
研究員の皆さん、頑張れ。
「また白ヒョウ捕まえてくるんでしょ?」
「あぁ。より多くの白ヒョウのデータを取らないといけないからな。幸いにも白ヒョウは一匹ずつ毛の模様が違うから見分けがつく。今日帰した白ヒョウのスケッチなどもちゃんとしてあるから、どんどん捕まえては調べて帰し調べては帰しという作業になる」
「へぇ~、じゃあ名前つけるの俺やりたいです!」
「あぁ」
実は帰った白ヒョウと今いる小さい白ヒョウには名前がついている。今回帰したデカい白ヒョウには〝ジロー〟、小さい方が〝マロ〟だ。え、ネーミングセンスがない? いやいやいや、それよりもヴィルの方が酷かったから。超優秀な最強領主様の弱点を見つけちゃったんだから。詳しくは言わないがあれはないって。
だからヴィルには名付けは絶対やらせちゃダメだ。おかしなことになるから。
だがしかし、2日後に事件が起こるのである。
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