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シティ
3.物流拠点のマチ
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リョウの町は、ゲーム上で2年半ほど目を離した隙に、大きく変貌していた。
まず、高速道のインターチェンジが完成した。リョウはヨッシーのように、工業団地は造成しなかったが、インター付近の一部を準工業地域に指定しておいた。以前の農地のままだと、施設の立地ができないからだ。そのおかげで、インター周辺には、早々と農協が物流団地を形成し始めていた。町中にあった卸売市場も、団地内に引っ越していた。
どうやらリョウの町の農家は、野菜と果物を主力作物にしているようで、物流団地からは、首都や他の街に向けて、トラックが次々と向かっているようだった。他のプレーヤーが農業を展開していないせいもあり、農産物の需要が底堅いのだろう、町の農地は前年比で二桁以上の増加率で、農業生産や農業人口も同じように増えた。
果樹を生産する農家の中には、農協に出荷するだけでなく、観光農園やファームインを始めるものも現れた。ヨッシーの街のように劇的ではなかったが、人口は右肩上がりに転じていて、銭湯に行っている間だけで、千人近くが増えていた。5年以上も破れなかった3万人台の壁をあっけなく突破し、来年、つまり1時間後には4万人台に乗るのも確実な勢いだった。
「ひとつ壁を越えたんじゃないか」
リョウの報告を聞いて、ヨッシーが言った。
「俺の街とは方向が違うけど、リョウの町も面白いんじゃないか? かなりオリジナリティがあると思うよ。農業が主力の街を作っている奴は、ほとんどいない」
「高速道はやけくそだったんだ。あんまり地味な町だから、ダメなら最初からやり直そうと…」
「そのくらいの規模だったら、やり直しを恐れずに、思い切りやった方がいいかもしれない。次の手は考えてるのか?」
「はっきりとは考えてないけど、もう少し二次産業を育ててみたいと思ってる」
「企業誘致はもうダメだぞ。みんなが一斉に始めてしまったから、今は土地や税金の値引き合戦だ。下手すると、10年間は収入ゼロだ。工業団地の造成費を返せずに、潰れた街がいくつもある」
「農協と相談してみるよ。何か農業系の工場でも造れれば、労働人口が少しは増えるんじゃないか。農協だったら、ある程度の資金は自前で用意してくれるし」
「まあ、頑張れよ。俺もカジノ実現に向けて、もうひと踏ん張りしてみるよ。これが認可されたら、第1号だからな。初モノの得られる利益は大きい」
まず、高速道のインターチェンジが完成した。リョウはヨッシーのように、工業団地は造成しなかったが、インター付近の一部を準工業地域に指定しておいた。以前の農地のままだと、施設の立地ができないからだ。そのおかげで、インター周辺には、早々と農協が物流団地を形成し始めていた。町中にあった卸売市場も、団地内に引っ越していた。
どうやらリョウの町の農家は、野菜と果物を主力作物にしているようで、物流団地からは、首都や他の街に向けて、トラックが次々と向かっているようだった。他のプレーヤーが農業を展開していないせいもあり、農産物の需要が底堅いのだろう、町の農地は前年比で二桁以上の増加率で、農業生産や農業人口も同じように増えた。
果樹を生産する農家の中には、農協に出荷するだけでなく、観光農園やファームインを始めるものも現れた。ヨッシーの街のように劇的ではなかったが、人口は右肩上がりに転じていて、銭湯に行っている間だけで、千人近くが増えていた。5年以上も破れなかった3万人台の壁をあっけなく突破し、来年、つまり1時間後には4万人台に乗るのも確実な勢いだった。
「ひとつ壁を越えたんじゃないか」
リョウの報告を聞いて、ヨッシーが言った。
「俺の街とは方向が違うけど、リョウの町も面白いんじゃないか? かなりオリジナリティがあると思うよ。農業が主力の街を作っている奴は、ほとんどいない」
「高速道はやけくそだったんだ。あんまり地味な町だから、ダメなら最初からやり直そうと…」
「そのくらいの規模だったら、やり直しを恐れずに、思い切りやった方がいいかもしれない。次の手は考えてるのか?」
「はっきりとは考えてないけど、もう少し二次産業を育ててみたいと思ってる」
「企業誘致はもうダメだぞ。みんなが一斉に始めてしまったから、今は土地や税金の値引き合戦だ。下手すると、10年間は収入ゼロだ。工業団地の造成費を返せずに、潰れた街がいくつもある」
「農協と相談してみるよ。何か農業系の工場でも造れれば、労働人口が少しは増えるんじゃないか。農協だったら、ある程度の資金は自前で用意してくれるし」
「まあ、頑張れよ。俺もカジノ実現に向けて、もうひと踏ん張りしてみるよ。これが認可されたら、第1号だからな。初モノの得られる利益は大きい」
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