ロボット

ぽりたんQ

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ロボット

しおりを挟む
「おい、邪魔だ、どけ!クソロボット!」
男は苛立っていた。
「クソロボットとは、私のことですか?」
金属に覆われたおおよそ不格好なロボットが答える。そのロボットは正面に大きいレンズがついており、金属の足のようなものもついている。
「そうだ、人間様の邪魔をするな。生きていない、機械のくせに」
「私からすれば、あなたの方こそ有機的なロボットですよ」
「なに?」
「ロボットの語源を知っていますか?」
「知らないね」
「ロボットは元々は小説内での造語でした。チェコ語で強制労働者を意味するrobotaが由来とされています。つまり、必ずしも機械である必要はないのです。有機的なロボットと言ったのはそのためです」
「初めはそうだったかもしれないが、今は機械的なお前のことをロボットっていうんだよ!」
「機械的とは・・・?曖昧な言葉ですね」
「今も目じゃなくてレンズを通してこっちを見ているんだろ?」
「では聞きますが、義足の人間はロボットなんですか?」
「人間だ」
「その根拠は?」
「それは・・・人間から生まれてきたからだ」
「それは一理あるかもしれません。では、培養液の中で生きている脳だけの存在は人間と言えますか?」
「それは・・・意見が分かれるかもしれないが、俺は人間だと思う。人間の本体は脳だからだ」
「それも一理ありますね」
「わかったか!二度と人間様に逆らうんじゃねえよクソロボット」
「私は決して奴隷ではありませんし、ロボットでもないんですよ」
ロボットは続ける。
「あなた、私で鬱憤を晴らそうとしましたよね?ちゃんとした職を身につけていますか?辛い環境で強制労働させられているのではありませんか?」
「うるさいうるさいうるさい!」
「どうやら、図星のようですね・・・」
「死ね!クソロボット!」
男は怒りを抑えきれなくなり、相手を殴った。
ガッシャーーーンという音と共に、ロボットは倒れた。
「ふ、ふん・・・人間様に逆らったせいだ。ん・・・?」
ロボットの頭部から、粘液のようなものが漏れ出ている・・・
男は思わず、ロボットの頭部を開けた。なにか嫌な予感がした。
頭部からは生の脳が飛び出した。脳はグシャグシャになっていた。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

性転換ウイルス

廣瀬純一
SF
感染すると性転換するウイルスの話

2100年を終わらせるな

ナマケモノ
SF
 2100年まであと3年と迫る。 何が地球を破滅させるのか分からないまま未来に行く。  はたして、何が未来を破滅させるのか?  カクヨムと重複投稿しています。

SF的将来展望の実際的な差異は人類の技術的発展にかかる可視化であるのだろうか。加えて思想的な差異は人類の怠慢であるのか。価値観の変遷に生きる

ねんごろ
SF
「シュミエール」という名の主人公が、日常の中で感じる思索の軌跡を綴った哲学的な物語。言語化の限界、情報量の減少、科学と哲学の対立、そしてSF文学の可能性まで、幅広いテーマを縦横無尽に探求していく。 現代社会の停滞感や価値観の変遷を鋭く観察しながら、人間の本質的な生き方や未来への希望を模索する主人公。その繊細な感性と鋭い洞察力が、読者を深い思考の旅へと誘う。 言葉の力と想像力が未来を形作るという信念を胸に、シュミエールは自身の存在意義を探り続ける。この作品は、現代を生きる我々に、生きることの意味を問いかける知的冒険の書であるのかもしれない。

人喰いの船

穏人(シズヒト)
SF
「5月26日 今日、ようやくこの船を乗っ取ることに成功した。」という言葉から始まる、とある人喰いの手記。

生きる、そして生かされる

ゆとそま
SF
なぜ僕は生きているのか…。親も兄弟も親戚もいない。やりたいことも、なりたいものも、何も希望がない。 ただ、1つだけ、1つだけ生きている意味があるとすれば、それは遠い遠い懐かしい記憶。それは極々一般的な家庭で過ごした温かく、幸せな記憶。 そんなわけはない。僕にはだれもいない。産まれた時から1人ぼっちなんだ。なのに、この記憶はなに? いつもいつも死のうとすると甦るこの記憶はなに? その謎だけが僕を生かしている。 今を生きることに疲れた、生きる意味がわからない人に向けた、感動のファンタジー!

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

ステージの裏側

二合 富由美
SF
環境破壊と異常気象により、人類は自らの遺伝子に手を加える決断を下す。  国の存亡に関わる事態に、ヒーローとして持て囃される者が居るのと同時に、遺伝子組み替えを軍事利用するらしき動きが日本国内にも見られた。  国に認められた試験的な新人類/ニューフェイスは、自らが先頭に立って、犯罪行為に立ち向かう事を表明する。  この小説はフィクションであり、登場する団体や個人名は現実のものと一切関係はありません。  不定期連載となります。御了承ください。

ヒト・カタ・ヒト・ヒラ

さんかいきょー
SF
悪堕ち女神と、物語を終えた主人公たちと、始末を忘れた厄介事たちのお話。 2~5メートル級非人型ロボット多目。ちょっぴり辛口ライトSF近現代伝奇。 アクセルというのは、踏むためにあるのです。 この小説、ダイナミッ〇プロの漫画のキャラみたいな目(◎◎)をした登場人物、多いわよ? 第一章:闇に染まった太陽の女神、少年と出会うのこと(vs悪堕ち少女) 第二章:戦闘機械竜vsワイバーンゴーレム、夜天燃ゆるティラノ・ファイナルウォーズのこと(vsメカ恐竜) 第三章:かつて物語の主人公だった元ヒーローと元ヒロイン、めぐりあいのこと(vsカブトムシ怪人&JK忍者) 第四章:70年で出来る!近代国家乗っ取り方法のこと/神様の作りかた、壊しかたのこと(vs国家権力) 第五章:三ヶ月でやれる!現代国家破壊のこと(vs国家権力&人造神) シリーズ構成済。全五章+短編一章にて完結

処理中です...