託宣

ぽりたんQ

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託宣

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老人と、一体のロボット。
ベッドに寝かされている老人が話す
「もう、終わりだな。頼んだぞ」
そばにいたロボットが答える
「そうだな、後はこちらに全て任せるんだ」
ロボットは老人のベッドのスイッチを切る。
そのスイッチは、生命維持装置だった。
ピー
老人は死んだ。
亜光速で進む宇宙船。
そのロボットの仕事は決まっていた。
機械のモニター、宇宙船の修理、自分の修理。
ここまでに、いろんなものを見た。
惑星の衝突、ブラックホール、銀河の終焉・・・
船にインプットされた本は、全て読み尽くした。
人類史全ての記録、創作物。
あまりにも気の遠くなるような時間が過ぎた頃。
膨張を続けていた宇宙はついに膨張をやめた。
宇宙の端まで数光年の位置まで来た。
もうすぐ宇宙の外を見れるかと思った。
それだけを頼りにここまできたのだ。
だが、次の瞬間、
宇宙船が大きく後ろへ引き込まれる。
一体何が・・・ブラックホールはここらへんにはないはず。
まさか、特異点・・・
次の瞬間、ビッグバンとは逆の宇宙の収縮、ビッグクランチで宇宙は点となった。
もちろん宇宙船もなすすべも無く吸い込まれた。
そして、またビッグバンが起こる。
宇宙が、銀河系が、誕生する。
太陽、地球も・・・
西暦2657年、男は地球に生誕した。
そして宇宙工学を学び、2700年、男は地球を脱出した。
しかし、未来の技術をもってしても、老いには勝てない。
生の前で宇宙の果てを見たかったが、仕方ない。
このロボットに意識をコピーしよう。もう一人の自分として宇宙の果てを委ねよう。
そしてコピーが開始される。
ベッドに寝ている老人が話す。
「もう、終わりだな。頼んだぞ」
そばにいたロボットが答える
「そうだな、後はこちらに全て任せるんだ」
ロボットは自分のベッドの横のスイッチを切った。
ピー
意識が、途切れた。
宇宙は何回再生と消滅を繰り返すんだろうか?
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