新撰組の想い人 ~幕末にタイムスリップしたオメガの行方~

萩の椿

文字の大きさ
上 下
42 / 69

第41話

しおりを挟む
 沖田の指が、慧のひと際盛り上がっている場所を擦る。

 その刺激は慧を狂わせていく。何も考えられなくなって、ただ内側から上がってくる快感に喘ぐだけ。沖田もそれを知っているから、そこをわざと擦り上げてくる。

「いやだっ、いやだっ」

 逃げ出そうとする慧の腰を押さえつけ、沖田は追い打ちをかける。腰をぐっと引き寄せられ沖田の指で暫く翻弄されたのち、慧は本日二度目の絶頂を味わった。

 こうなると、流れはもう決まっている。沖田は自らの欲望を慧の前にさらした。その、自分よりも倍太いものを目にしてしまうと、もう、抵抗する気力もなくなってくる。

「入れますね」

 沖田の声が聞こえた後、ゆっくりと中が圧迫されていく。それでも、良いところを擦られれば、声は上がるわけで。

 自分がとてつもなく情けない。こんな場所で醜態をさらしている自分が。

 沖田の顔を見れば、まるで獣の様な顔で見降ろしてくる。

 



これが、近藤さんなら……。
 
 近藤に裸を見られるのは、少し恥ずかしいけれど、自分を犯すこの体が近藤のものだと思えば、刺激も素直に受け止められた。

 自分を押さえつけるこの腕も、逃がさないと言ったように視線を逸らしてくれないこの瞳も、すべて近藤のものならば……。

そう思うと、何だかもう楽になれた。


(この汚い妄想に、貴方を使う事をどうか許してください……)



 自然と、沖田の首に手が回る。

「……あっ、きもちいいです」

 その反応に、沖田は目を丸くした。

 慧にはいままで、拒絶しかされてこなかった。

 快楽に染まっているけれど、慧が自分から何か特別な反応を示してくれたことは無い。

 きもちいい、確かにそう言った。

「そうですか……、じゃあ、ここは?」

 腰の角度を変えて、奥をついてみれば慧の腰がしなった。

「はいっ、いいです……」

 熱のこもったその声に、沖田の欲望は刺激される。慧の中でムクムクと大きさを増した。

 慧が下から見つめてくる。その視線に射抜けれた沖田は、慧の体を包んだ。つながった部分が、体を密着させたことにより、より深く中に入り込む。

「あうっ」

 その刺激に、慧は吐息を漏らした。

 愛おしい、沖田は瞬時にそう思った。

 今まで、慧を抱いてきたのは誰を抱いても得られない快感があるからだと、そう思っていた。けれど、体を重ねるにつれて自分でも気づかぬうちに情が移ってしまったのかもしれない。

 抱き返してくれる、その手が温かい。

 耳元にかかる息が少しくすぐったい。

 初めて慧と心が通じ合った気がして、沖田は嬉しかった。

「私も気持ちいいですよ、お菊さん」

 沖田は慧の耳元で囁く。

 すると、少し恥ずかしいのか、慧は身をよじって微笑んだ。


「……僕もです、近藤さん」


「は……?」

 慧からの返事に、沖田の胸がざわついた。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》

市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。 男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。 (旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。

処理中です...