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第40話

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「はぁ……はぁ……」

 慧は肩を上下させながら呼吸を整えた。

 イってしまった、春日の持ち場で。しかも沖田の口内で。
 
 恥ずかしい、どこか穴があるなら入りたい。

 涙でぼやけた視界に沖田の顔が映る。

「盛大に達しましたね」

 ひやかすように言ってくる沖田に心の底から腹が立つ。

「もうこんなこと、やめてください」

「何故です? 貴方も気持ちよさそうによがっていたではありませんか」

「よがっ、よがってなんて……。ここは春日さんの仕事場ですよ! こんな場所で……」

「では、場所を変えればよろしいのですか?」

そうじゃない。なんて話の通じない男なんだ。

沖田の顔をキッと睨みつけると、意地の悪そうな顔をしている。

その瞬間、慧は確信した。

話が通じないんじゃない、この人は自分の嫌がることをわざとやっているんだと。

そう思うと、手の内で転がされている気がしてますます腹が立ってくる。

「最低ですよ、あなた」

 はだけた襟元を直して、慧が立ち上がろうとしたその時。

「自分だけ達しておいて何言ってるんですか? 奉仕してもらいますよ」

 再び、沖田に組み敷かれる。

「いやだっ! なんでこんなことっ」

「つべこべ言わないでください。良くしてあげますから」

 慧の抵抗を軽く封じ、着物を剥がす。手早くまくり上げて、慧の両腕をそれで拘束した。秘穴に手を伸ばされ、沖田の細く長い指が中に入れられる。

「やだぁ……」

 慧の意思とは関係なく、刺激されれば濡れだしてくる穴。

 抵抗したいのに、力では全くかなわない。ここに来て、沖田や土方に組み敷かれる度に、思った。

自分はなんて弱いんだと。どんなに抗っても、抵抗しても、この男たちは勝てない。

沖田をよく見れば、胸元から覗く胸筋は厚くて重みがある。自分を押さえつけるこの腕だって鍛錬されたたくましい腕だ。

 それに比べて自分はどうだろうか。

腕も、細いだけで筋肉もなく胸も薄い。現世で、オメガだから、どうせなにをやってもアルファやベータには敵わないと卑屈になっていて、なにもスポーツをしてこなかった。

 こんなことになるなら、なにか身を守る格闘技でもやっとけばよかったと、強く思った。
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