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第24話
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「ん……」
目を覚ますと知らない天井が映る。
(どこだ、ここ)
重い体に鞭を打って体を起こすと、見たことも無い部屋に慧はいた。
6畳くらいの狭い部屋で、家具などはなく、ついでに窓もないので今が朝なのか夜なのかも分からない。
出口は前方に1箇所。
とりあえず起き上がろうと、被せられていた布団を剥ぎ取り、立ち上がると、首元にかすかな違和感を覚える。
手を持っていくと縄の様なものが首に巻き付けられていることが分かる。
「何だこれ」
その縄は、部屋の端にある太い柱に頑丈に括り付けられている。
強い力で引っ張ってみても、ちぎれることは無く、結び目は複雑に結ばれている為外れそうにない。
「何なんだよ」
ため息を着くと同時に、脳裏に最悪な記憶が蘇った。
土方と沖田に男だとばれ、蹂躙された。
女将は、となみやは大丈夫だっただろうか。
何か、自分のことで被害をこうむっていたら……。
不安に駆られ、急いで出口へと向かった時だった。
ガラン、と勢いよく部屋のドアが開けられる。
「ああ、起きたんですね」
朗らかな声で部屋に姿を現したのは、あの夜、慧を犯した沖田だった。
手にお盆を持ち、器用に片手でドアを閉める。
「あの、ここはどこですか! なんでこんな……ぐっっ」
沖田を問い詰めようと、近寄った途端に首が絞められる。
どうやら出口のドアには触れられないように、縄の長さが調節されているらしい。
慧は後ろにしりもちをついて転げた。
そんな慧の様子を見て、沖田は小さく噴き出す。
「まあ、少し落ち着いてください。ほら、食事を持ってきましたからまずは、食べてから」
「……結構です」
それどころではないと、慧がプイと顔を横に逸らすと、沖田が慧の首元に繋がる縄を引き寄せる。
いきなり、グイッと首元を引っ張られ、慧はバランスを崩した。
「痛っ」
沖田は、地べたに這いつくばっている慧の首元の縄を掴み、強引に上を向かせた。
「話は食事の後だと言っているでしょう」
上から慧を睨みつける。
その鋭い瞳で射抜かれた途端、思い出したくもない記憶が繰り返される。
恐ろしく鬼畜で、容赦ないこの男とのセックスを。
体が震えはじめ、慧は力なくかぶりを振った。
目を覚ますと知らない天井が映る。
(どこだ、ここ)
重い体に鞭を打って体を起こすと、見たことも無い部屋に慧はいた。
6畳くらいの狭い部屋で、家具などはなく、ついでに窓もないので今が朝なのか夜なのかも分からない。
出口は前方に1箇所。
とりあえず起き上がろうと、被せられていた布団を剥ぎ取り、立ち上がると、首元にかすかな違和感を覚える。
手を持っていくと縄の様なものが首に巻き付けられていることが分かる。
「何だこれ」
その縄は、部屋の端にある太い柱に頑丈に括り付けられている。
強い力で引っ張ってみても、ちぎれることは無く、結び目は複雑に結ばれている為外れそうにない。
「何なんだよ」
ため息を着くと同時に、脳裏に最悪な記憶が蘇った。
土方と沖田に男だとばれ、蹂躙された。
女将は、となみやは大丈夫だっただろうか。
何か、自分のことで被害をこうむっていたら……。
不安に駆られ、急いで出口へと向かった時だった。
ガラン、と勢いよく部屋のドアが開けられる。
「ああ、起きたんですね」
朗らかな声で部屋に姿を現したのは、あの夜、慧を犯した沖田だった。
手にお盆を持ち、器用に片手でドアを閉める。
「あの、ここはどこですか! なんでこんな……ぐっっ」
沖田を問い詰めようと、近寄った途端に首が絞められる。
どうやら出口のドアには触れられないように、縄の長さが調節されているらしい。
慧は後ろにしりもちをついて転げた。
そんな慧の様子を見て、沖田は小さく噴き出す。
「まあ、少し落ち着いてください。ほら、食事を持ってきましたからまずは、食べてから」
「……結構です」
それどころではないと、慧がプイと顔を横に逸らすと、沖田が慧の首元に繋がる縄を引き寄せる。
いきなり、グイッと首元を引っ張られ、慧はバランスを崩した。
「痛っ」
沖田は、地べたに這いつくばっている慧の首元の縄を掴み、強引に上を向かせた。
「話は食事の後だと言っているでしょう」
上から慧を睨みつける。
その鋭い瞳で射抜かれた途端、思い出したくもない記憶が繰り返される。
恐ろしく鬼畜で、容赦ないこの男とのセックスを。
体が震えはじめ、慧は力なくかぶりを振った。
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