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二章 過去編
第67話
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「最低野郎」「ペテン師」など、思いつく限りの暴言を辰美にぶつけた後、玲子は辰美に腕を封じ込まれた。
手を引かれ、ベットに押さえつけられる。
「落ち着いて」
辰美はまるで小さな子どもにでも言い聞かすように言う。
それが、玲子の心を逆なでした。
「落ち着いていられるわけないじゃないっ!」
肩で息をする玲子の頭を辰美が撫でた。
首を動かして睨みつけ、拒否の意を示す。
辰美は眉根を寄せ、不快そうな顔をしたが、玲子にはそんな事関係なかった。
どんなに力を込めても敵わないこの目の前の男が心底憎かった。
この男に会わなければ。一郎と別れることもなかった、妊娠してしまったかもだなんて心配することもなかった。こんなに感情的になって、どうしようもない怒りがこみあげてくることもなかった。
不安や後悔、そして怒り。
様々な感情が混ざり合い、玲子の頬を涙が伝う。
その様子を辰美は黙って見ていた。
「……満足?」
玲子が潤んだ双眸を辰美に向けた。
「これでおじい様の言いつけも守れたものね。自分の株も上がって、さぞかし嬉しいでしょ?」
辰美は何も言わず玲子を見下ろしていた。ただ、少しだけ玲子の抵抗を封じる手に力が入った。
「でもね、人の人生を踏みにじってるってことだけは覚えておいて。アンタは私と一郎の中を引き裂いた。私はずっとアンタに恨みを持ち続けて生きていく。好きになることなんて無い、例え子どもができたって、順風満帆な家庭は築けない」
玲子は一呼吸おいて辰美を睨め付けた。
「辰美、アンタは一生私に恨まれて生きてい……」
しかし、玲子の言葉は、辰美の口づけによって遮られた。
舌を搦めとられ、吸われ、音を立てて唇を解放される。
嫌味を言ってやろうと、再び口を開いた玲子に辰美は口づける。
何度も、何度も。
そして、ようやく玲子が静かになった時、辰美が口を開いた。
「幸之助様に言われたからじゃない。俺はずっとお嬢の事が好きだったんだよ」
「冗談言わないで」
もうこの手の話は聞き飽きた玲子は、呆れがちに呟く。
手を引かれ、ベットに押さえつけられる。
「落ち着いて」
辰美はまるで小さな子どもにでも言い聞かすように言う。
それが、玲子の心を逆なでした。
「落ち着いていられるわけないじゃないっ!」
肩で息をする玲子の頭を辰美が撫でた。
首を動かして睨みつけ、拒否の意を示す。
辰美は眉根を寄せ、不快そうな顔をしたが、玲子にはそんな事関係なかった。
どんなに力を込めても敵わないこの目の前の男が心底憎かった。
この男に会わなければ。一郎と別れることもなかった、妊娠してしまったかもだなんて心配することもなかった。こんなに感情的になって、どうしようもない怒りがこみあげてくることもなかった。
不安や後悔、そして怒り。
様々な感情が混ざり合い、玲子の頬を涙が伝う。
その様子を辰美は黙って見ていた。
「……満足?」
玲子が潤んだ双眸を辰美に向けた。
「これでおじい様の言いつけも守れたものね。自分の株も上がって、さぞかし嬉しいでしょ?」
辰美は何も言わず玲子を見下ろしていた。ただ、少しだけ玲子の抵抗を封じる手に力が入った。
「でもね、人の人生を踏みにじってるってことだけは覚えておいて。アンタは私と一郎の中を引き裂いた。私はずっとアンタに恨みを持ち続けて生きていく。好きになることなんて無い、例え子どもができたって、順風満帆な家庭は築けない」
玲子は一呼吸おいて辰美を睨め付けた。
「辰美、アンタは一生私に恨まれて生きてい……」
しかし、玲子の言葉は、辰美の口づけによって遮られた。
舌を搦めとられ、吸われ、音を立てて唇を解放される。
嫌味を言ってやろうと、再び口を開いた玲子に辰美は口づける。
何度も、何度も。
そして、ようやく玲子が静かになった時、辰美が口を開いた。
「幸之助様に言われたからじゃない。俺はずっとお嬢の事が好きだったんだよ」
「冗談言わないで」
もうこの手の話は聞き飽きた玲子は、呆れがちに呟く。
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