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二章 過去編
第63話
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「それにしても、気持ち悪いわ」
玲子は胸のあたりを手のひらで擦った。
朝よりも吐き気がひどくなっている気がする。
一応、昼食用に買ってきたお弁当も、今は欲しくない。
お腹が空いているのだが、体が受け付けない感じだ。
「風邪でも引いたのかしら」
最近の行動を思い返してみるが、思い当たる節がない。
いつもと変わらず、シェフが健康に気を使って作ってくれた料理を食べて、風呂で温まり、早い時間に就寝している。
首を傾げながら、目の前の弁当の蓋を閉め、玲子は席を立った。
食事が入らないなら、せめて飲み物でもと近くの社員食堂を目指した。
玲子は社員食堂の入り口にある、自動販売機で足を止めた。温かいものが飲みたかったので、ホットレモンを選択した。
ガタっと飲み物が落ちてきた音がして、それを取り出そうとしゃがんだ時だった。
目眩がして、体の力が一瞬で抜けていく。
足に力を入れようと思っても、支えがきかず、倒れそうになってしまったところを、誰かに体ごと支えられた。
「……大丈夫ですか」
ぼやけた視界に映ったのは、荒川だった。
心配そうに眉を下げて、玲子の顔を見ている。
「あ……、すみません」
玲子はきりきりと痛む眉間を片手で押さえつけて、体を起こした。
「お疲れですか?」
荒川が、地面に落ちたホットレモンの缶を玲子に渡しながら聞いた。
「いえ……」
「ちょっと座りましょう。顔色が悪いですよ」
玲子はこくりと頷き、近くにあったベンチへと腰を掛けた。
ブルタブを開けて、一口、口に含む。
それだけで、さっきよりかは体のだるさが少し軽くなった。レモンの匂いが吐き気を緩和してくれたようにも思う。
隣で、何もせず見守ってくれていた荒川に頭を下げた。
「あの、ご迷惑をおかけしてすみません」
「いえっ、迷惑だなんて……」
荒川は顔の前で、勢いよく手を横に振った。
「でも、やっぱり大変なんですね、秘書業務って」
「ええ、まあそれなりに……」
玲子はホットレモンを飲みながら答える。
玲子は胸のあたりを手のひらで擦った。
朝よりも吐き気がひどくなっている気がする。
一応、昼食用に買ってきたお弁当も、今は欲しくない。
お腹が空いているのだが、体が受け付けない感じだ。
「風邪でも引いたのかしら」
最近の行動を思い返してみるが、思い当たる節がない。
いつもと変わらず、シェフが健康に気を使って作ってくれた料理を食べて、風呂で温まり、早い時間に就寝している。
首を傾げながら、目の前の弁当の蓋を閉め、玲子は席を立った。
食事が入らないなら、せめて飲み物でもと近くの社員食堂を目指した。
玲子は社員食堂の入り口にある、自動販売機で足を止めた。温かいものが飲みたかったので、ホットレモンを選択した。
ガタっと飲み物が落ちてきた音がして、それを取り出そうとしゃがんだ時だった。
目眩がして、体の力が一瞬で抜けていく。
足に力を入れようと思っても、支えがきかず、倒れそうになってしまったところを、誰かに体ごと支えられた。
「……大丈夫ですか」
ぼやけた視界に映ったのは、荒川だった。
心配そうに眉を下げて、玲子の顔を見ている。
「あ……、すみません」
玲子はきりきりと痛む眉間を片手で押さえつけて、体を起こした。
「お疲れですか?」
荒川が、地面に落ちたホットレモンの缶を玲子に渡しながら聞いた。
「いえ……」
「ちょっと座りましょう。顔色が悪いですよ」
玲子はこくりと頷き、近くにあったベンチへと腰を掛けた。
ブルタブを開けて、一口、口に含む。
それだけで、さっきよりかは体のだるさが少し軽くなった。レモンの匂いが吐き気を緩和してくれたようにも思う。
隣で、何もせず見守ってくれていた荒川に頭を下げた。
「あの、ご迷惑をおかけしてすみません」
「いえっ、迷惑だなんて……」
荒川は顔の前で、勢いよく手を横に振った。
「でも、やっぱり大変なんですね、秘書業務って」
「ええ、まあそれなりに……」
玲子はホットレモンを飲みながら答える。
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