傲慢令嬢、冷徹悪魔にいつの間にか愛されて縛られてました

萩の椿

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二章 過去編

第62話

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「確かに、受け取りました。ありがとうございます」

 しかし、そう伝えても荒川は秘書室から出て行かない。

 どうしたのかと、様子を伺っていると、荒川が口を開いた。

「よかったら、今度、仕事帰り飲みにでも行きませんか?」

 予想外の言葉に玲子が「え?」と聞き返したところで、秘書室の扉が開いた。

「ごめん、少し長引いて遅れた」

 アキラとの食事を終えた辰美が返ってきた。

「……何かあった?」

 玲子と荒川を見やり、辰美は首を傾げる。

「あっ、いえ。丁度今、頼まれた書類を持ってきたところで。失礼します」

 荒川は玲子と辰美に頭を下げてそそくさと秘書室を出て行ってしまう。


「何話してたの?」

 辰美がジャケットを脱ぎながら、聞いてくる。

「別に、大したことは何も」

 玲子は辰美の脱いだ上着を受け取り、ハンガーにかけながら答えた。

「ふーん」

 辰美は玲子の顔をじっと見つめる。

「なに?」
「別に」

 玲子の問いかけに、辰美はあっさりと返してデスクについた。











 翌日、玲子は少し体調を崩していた。動けない程しんどいわけではないが、何となく体がだるく、吐き気がする。

 それでも、いつもと変わらず辰美と共に会社に出勤して、仕事をこなしていた。

 そして、昼休み。昨日に引き続き、辰美はアキラと一緒に出掛けて行った。

 一応、辰美の秘書として、居場所が分かっておいた方が良いかと思い、「どこへ出かけるのか」と聞いてみたのだが、辰美は口角をあげて「ないしょー」とはぐらかし出て行ってしまった。

 まあ別に、たった一時間程留守にされるだけだから、良いのだけれど。

 男性同士で話し合いたい事でもあるのだろうと、玲子は特に気に留めていなかった。

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