傲慢令嬢、冷徹悪魔にいつの間にか愛されて縛られてました

萩の椿

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二章 過去編

第38話

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「まあ、俺は良いけど……」



「本当?助かるわ、今日は見たいドラマがあったのよね」


玲子は席を立ってそそくさと教材を片付け始めた。


辰美はこの後に一つ会議が入っていた。アメリカ支社とのかなり重要な会議なので準備も万端にしていたい。

今から帰れば、それも十分に可能だろう。




辰美も机の上の資料をまとめて鞄に入れていると、玲子がため息交じりに言った。



「辰美もさ、こんなくだらない授業いつまでもする必要ないのよ?やめたくなったら言ってね、私からお父様に頼んであげるから」


その哀れむような瞳が、いささか頭に来るが辰美は笑顔を浮かべて玲子を見る。


「いや、俺もお嬢が立派な女性になって欲しいし、もう少し頑張るよ」


心にも思ってないことだが、玲子との縁を切るわけにはいかない。


ここで突然やめてしまったら、きっと何かあったのではないかと怪しまれてしまう。


大輔の信頼を勝ち取るまで、あともう少しという所なのに、そんな勿体ないことはできない。


こんな少女一人に縋りつかないといけない自分が情けなく感じるが、東西グループ約三百人の社員を守るためにはそんな事を言っても仕方がない。





辰美の顔を一瞥した玲子は眉をひそめ「そう」とだけ言い残して部屋を去っていった。


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