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第一章
第9話 軽い仕置 2
しおりを挟むそれから、玲子は辰美によって3度絶頂へと追いやられた。
ぐったりと横たわる玲子の姿を見下ろしながら辰美はベルトを外す。
玲子は、自分の口を塞ぐようにして縛られた両手の手のひらを当ててどこか虚ろな目をしていた。しかし、遠くから聞こえる金具音に嫌でも意識が呼び戻される。
「そんな……、」
玲子は目の前の光景に絶望に打ちひしがれる。
「お願い……もうやめて……お願い辰美」
もうプライドは微塵も残っていないかった。早くこの行為をやめて欲しい。目に涙をため、すがるように辰美に言った。
すると、辰美は手を止めて玲子を見やる。
「心底嫌い」
「……え?」
辰美は玲子の体にまたがり、動揺する瞳を見据えた。
「さっき、お嬢が言った言葉。あれ傷ついたな」
「……ご、ごめんなさい」
「軽蔑してるって」
「してない……ごめんなさい」
「本当に?」
玲子は何度も頷いた。
辰美は玲子の目を覗き込むようにしてじっと見つめる。その目が心の奥を見透かしてくるような、そんな気がして玲子は慌てて目を逸らした。
「嘘つくなよ」
冷ややかな声が玲子を突き離した。
「嘘じゃない!本当に……」
辰美はベルトを外し、膨れ上がった欲望を玲子の目の前に晒した。一郎とは違う、その息を呑む程立派なモノを前にして玲子は後ろにさがった。
「いやっ……もうこれ以上は……」
痺れる体に鞭打って、体を反転させ、辰美の下から抜け出そうと自由のきく足を一生懸命動かす。
「もしかして、バックがいいの?」
しかし、辰美はまるで子どもをあやす様に、玲子の体を簡単に捕まえて腰を引き寄せる。そして、辰美の欲望が、玲子の中へと押し入り、甲だかい悲鳴が部屋に響いた。
「動くよ」
辰美が玲子の耳元で囁き、ベッドが軋む。
「あぁ……、だめ、……だめ」
辰美が玲子に覆いかぶさり、体をより密着させる。玲子はシーツに顔を押し付け、その予想以上の圧迫感に必死で耐えた。
暫くすると、辰美は腰を大きくグラインドさせ、意地悪く玲子のいい所ばかりを突くように腰を動かし始める。
「あ……ひ…ぁ……っ」
ダメになってしまう。
快楽に溺れてしまう。
そう、自分を手放してしまいそうになった時、玲子の頭に一郎が浮かんだ。
一郎が、笑顔で玲子を呼んでいる姿。
「……あぁ……い…ちろ…う」
ベットに頬を擦り付けながら消え入る声で呟いた。一郎以外のものを受け入れてしまっている、そんな自分がどうしようもなく情けなく、そして汚く思えた。
こんな他人と体を重ねた自分を一郎はまだ好きだと言ってくれるのだろうか?
いや、きっと言ってくれない……。
「ごめ…なさ…、いち…ろう、ごめん…なさい」
玲子の目から涙がこぼれ落ちた。
ぽろぽろと、ベッドシーツにシミができ、次第に広がっていく。
そんな玲子の震える声を聞いた辰美は律動を止め、玲子の体を仰向けにさせた。
「お嬢、俺の事煽ってる?」
辰美は、顔を歪ませて涙を流す玲子の頬を撫でながら、首を傾げ、いっそう深く玲子の中を突いた。
「ああっ!……」
「ほら、足閉じないで」
本能的に足を閉じようとした玲子だが、辰美の体が阻止する。辰美は再度玲子の足を抱えた。
「お嬢、よく覚えておいて」
辰美がまた玲子の中で動き出す。
「んっ……」
玲子は声を押し殺して辰美を見た。
「あんまし俺を怒らせない方が身のためだよ」
辰美の屈強な体が、表情がぼやけて見える。
「出すよ」
枯れた喉からはこれ以上声が出なかった。
やめて、玲子は強く首を横に振った。
しかし、辰美が玲子の願いを聞き入れてくれることはなかった。熱い液体が中に広がるのを感じながら、玲子は涙を流した。
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