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第2章

第30話

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「ルーシュ、ちょっといいか」


 ダリルが帰った夜、ノアはルーシュと共に寝室にいた。ベッドの上で向き合い、ルーシュの目を見据える。


「もう、大丈夫だから。俺に食事の量を合わせたりしなくていい。心配になるから、本当にやめてくれ」


「いや、しかしノアだけに辛い思いをさせるのは……」


「聞いてくれないなら、離婚だ」


「分かった。やめる」


「離婚」というワードには、ルーシュも流石に敵わない様で、即座に意見を変えてくれた。


 とりあえず、明日から普通の食事を食べてくれることに一安心しつつ、ノアは今まで内に秘めていたことを、ルーシュに話そうと切り出した。
 
「ルーシュ。俺は、肝が据わってるタイプじゃないし、ビビりだから出産も怖い」


 ルーシュはノアの手を握り、まっすぐにノアを見ている。


「だから、ルーシュがずっとそばで支えてくれ。弱音を吐いて情けないと思うかもしれないけど、そんな時は俺を励ましてくれ」


「ノアの事を情けないなんて思ったことは一度もない。今までよくやってくれているじゃないか。書斎に通っているのだって、生まれてきた子どもに本を読み聞かせてあげたいからだろ?」


 書斎に通っていたのは、単純に居心地がいいというのもあるけれど、一番の目的はルーシュの言った通り、生まれてきた子どもに読み聞かせができるようになりたいと思ったからであった。

 まだ、簡単な本しか読めないけれど、それでも、頑張った甲斐は着実に表れ、どんどん読める本が多くなっていった。


「お前は、読み書きが苦手だったのに、大したものだ」


 ノワールの文字は少し難しく、言葉は問題なく通じるのだが、手紙や本など、文字が活用される場合はまったく理解できなくなる。ルーシュと勉強していた時はすぐに放り出してしまったが、子どもの為だと思うと案外頑張れた。

「ノア、今まですまなかった」

「俺もごめん」

 ノアとルーシュはお互いに頭を下げて謝り、そしてどちらからともなく唇を重ねた。



 ノアの体が後ろに倒され、ベッドが沈み込む。


「ルーシュ、がっつきすぎだってば」


 ノアは首筋に顔を沈めるルーシュに向かって、微笑んだ。


「ここ数カ月、お前に触れられなくて限界だった」

「……するの?」

「だめか?」

「ダメじゃないけど……」

 子どもができてからは、ルーシュとはそういうことをまったくしてこなかった。久しぶりに誘われて、緊張してしまう。


「大丈夫だ。乱暴にはしないから」


 ルーシュは、ノアの耳元で静かに呟き、ノアのバスローブの紐をそっと解いた。


「ここも膨らんできたな」


 ルーシュは露わになったノアの乳首を愛らしく見つめ、舌で愛撫する。ルーシュとの営みで、より敏感に開発された乳首は、どんな些細な刺激でも感じてしまう。


「もうっ、やだっ……」


「でも、お前はここが一番感じるじゃないか」


 ルーシュの肩を掴み、やめさせようとするも、力が入らなくなってしまった体では抵抗もろくにできない。ルーシュは思う存分そこを舐ったあと、段々と下へ向かっていく。


「ああっ」


 自身のモノを掴まれて、ノアは嬌声を上げた。もう、そこでなくても快感を得ることはできるが、やっぱり擦られると気持ちいい。


 ルーシュはノアの昂ぶりを上下に擦り上げ、たまに亀頭を親指の腹でこすった。



「ルーシュ……、きもちいいっ」


 苦しそうに浅い呼吸を繰り返しながら、ノアはルーシュを見上げた。久しぶりに見る、ルーシュの優しい顔つきに自然と笑みがこぼれる。


「そろそろ、イキそうか?」


 張り詰めたノアの昂ぶりを確認したルーシュは、擦り上げる速度を上げた。


「んんっ……あっ、ああっ」


 白濁が勢いよく腹の上に飛び散り、ルーシュの手の甲を伝い落ちる。しばらく、抜いていなかったせいか、今日の精液はいつもより量が多かった。


「ノア、苦しくないか?」
「うん。大丈夫」


 その後、ノアはルーシュを中へと招き入れ、二人はお互いの体温を確かめ合うように抱き合った。

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