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第3章 禁種と覚醒
幕間 ― 爛れる怒り ―
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不死鳥は灰の中から蘇る、という伝説がある。
火の化身である彼の鳥は、火で死ぬことはないからだ。
しかしこれは自身の制御下にある火に限ることであり、他者の魔力が込められた炎であれば死ぬ。
種族特性として火に強い耐性はあるが、火に対して無敵という訳ではない。
そして、禁種グランホムラも同じく火属性の存在である。
世界中を探してもグランホムラより火に強い生物は極僅かしかいない。
例えば、炎龍。
例えば、炎の精霊。
そして、フラム・アブレイズもその極僅かに入る存在だった。
火の禁種として新たに生誕したフラムは、それまで炎の禁種として君臨していたグランホムラをあろうことか火属性で圧倒してみせた。
同属性の存在として、格の違いを見せ付けたのである。
彼のファイアボールはグランホムラの尊厳と命を焼き尽くした。
それは間違いない。
「――ぐ」
森の一角、何かの灰が堆積している場所。
その真下にある地中から、土を押し退けて黒々とした腕が生えた。
地面を掴み、体を押し上げ、元の巨体から半分ほどにまで縮んだ体を地表に投げ出す。
全身は焦げ付き、あるいは焼け爛れ、いまだに赤熱した部分すらある。
山羊頭の禁種、グランホムラは死に体でありながら、意識があった。
彼の命は既にない。
もう僅かな時間しか残っておらず、その身を意志と魔力だけで動かしていた。
死ぬのは時間の問題、それは間違いない。
だが、まだ体が動くのであればグランホムラが成すべきことはひとつ。
「許、さぬ。……ころす」
爛れた喉は碌に声を発することもできない。
つまり全詠唱は不可能であり、略詠唱もできるか怪しい。
高熱により肉体が変形し、複雑な動きは阻害される。
だが、グランホムラは止まらない。
彼が成すべきは、尊厳を取り戻すこと。
奪われた命は取り戻せずとも、それだけは黄泉への旅路に持っていく。
ひび割れた魔核に誓い、グランホムラは当てもなく足を動かした。
完全なる偶然でありながらフラムの行く先を引き当てたのは、執念の成す偶然か、悪魔の祝福か。
獄炎の残火がフラム達に迫っていた。
火の化身である彼の鳥は、火で死ぬことはないからだ。
しかしこれは自身の制御下にある火に限ることであり、他者の魔力が込められた炎であれば死ぬ。
種族特性として火に強い耐性はあるが、火に対して無敵という訳ではない。
そして、禁種グランホムラも同じく火属性の存在である。
世界中を探してもグランホムラより火に強い生物は極僅かしかいない。
例えば、炎龍。
例えば、炎の精霊。
そして、フラム・アブレイズもその極僅かに入る存在だった。
火の禁種として新たに生誕したフラムは、それまで炎の禁種として君臨していたグランホムラをあろうことか火属性で圧倒してみせた。
同属性の存在として、格の違いを見せ付けたのである。
彼のファイアボールはグランホムラの尊厳と命を焼き尽くした。
それは間違いない。
「――ぐ」
森の一角、何かの灰が堆積している場所。
その真下にある地中から、土を押し退けて黒々とした腕が生えた。
地面を掴み、体を押し上げ、元の巨体から半分ほどにまで縮んだ体を地表に投げ出す。
全身は焦げ付き、あるいは焼け爛れ、いまだに赤熱した部分すらある。
山羊頭の禁種、グランホムラは死に体でありながら、意識があった。
彼の命は既にない。
もう僅かな時間しか残っておらず、その身を意志と魔力だけで動かしていた。
死ぬのは時間の問題、それは間違いない。
だが、まだ体が動くのであればグランホムラが成すべきことはひとつ。
「許、さぬ。……ころす」
爛れた喉は碌に声を発することもできない。
つまり全詠唱は不可能であり、略詠唱もできるか怪しい。
高熱により肉体が変形し、複雑な動きは阻害される。
だが、グランホムラは止まらない。
彼が成すべきは、尊厳を取り戻すこと。
奪われた命は取り戻せずとも、それだけは黄泉への旅路に持っていく。
ひび割れた魔核に誓い、グランホムラは当てもなく足を動かした。
完全なる偶然でありながらフラムの行く先を引き当てたのは、執念の成す偶然か、悪魔の祝福か。
獄炎の残火がフラム達に迫っていた。
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