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桜ノ宮家
2話 愉悦部員の兄たち
しおりを挟む「それではお嬢様、わたくしはこれで失礼いたします。何かございましたらすぐにお呼びください。」
そう言って桜ノ宮家の医師・四葉は去っていった。
とはいえ私は三歳児。
傍で控えていた、私専属の侍女・まやさんに「くれぐれも!くれぐれもお嬢様からめを離さぬように、、、!」と念を押して帰っていった。
まやさんも「ッかしこまりました!」と背筋を伸ばしていた。
うんうん、愛されているな、最高だ、、、!
そしてまやさんにこれからのことについて」聞いているとドタバタと廊下から音がした。
「「「「あや、、、っ!」」」」
、、、これから私の欲のために犠牲になる兄たちであった。
申し訳ないとは思いつつも改めて兄たちの顔を見ると、ほんっとうに顔が良い。
めいいっぱい私におぼれてほしい。
なんてったってこの美形たちの妹である私だって超の付く美形なのだ。
何かしらハプニングは起こせるはず、、、!
美形たちに大切に守られている儚げで壊れかけのお嬢様、、、!
これが良い!
我ながらナイスアイデアだ。
大枠はこれで行こうと思う。
、、、となると何かきっかけが必要だな。
ただでさえ男兄弟の中でのたった一人の妹で守られはいるが、なにせまだまだ設定が甘い、、、!
とりあえず今は兄たちの中で「病弱だけど一生懸命頑張っている健気な妹」位置を確立しようと思う。
とりあえず、成長しないことには何も始まらない。
あと三年近くは仕込みにかけるか、、、。
「にーさま?」
コテンッ ウルウル
「ッ///あや、大丈夫なのか?」
「ッ///あや、まだ起き上がってはいけませんよ、寝ていなさい。」
「「ッ///あっあや、、、」」
「ッ///大丈夫か、、、?」
四人とも、それぞれの反応はしつつもこのかわいい顔立ちには弱いらしい。
みんな顔を赤らめてくれた。
「にーさま!キャッキャッあそぼ?」
寝ていなさいという杏兄様の言葉を無視して兄様たちに近づこうとベッドのふちに行く。
「(このままベッドから降りてつたない足取りで兄様たちのところに行きつつ躓けば今日は及第点かな、、。)」
そんな風に打算的に考えつつベッドから足を出して兄様たちの方を向くと足が床につくより先に詩那兄様に抱きしめられてしまった。
む、困った。
このままでは「一生懸命兄たちのもとにつたない足取りで歩いていく健気な妹」が実行できない。
「しなにーさま、あや、おりたい、、、。」
ぎゅっとされている態勢から無理やり顔を起こし、詩那兄様を見つめておねだりをする。
うぐっ、、、!と後ろの三人の兄様たちからは声が漏れ出ているので効果はあったはずだが、私はこういう効果を出したいんじゃないんだ。
「にいさまたちともっと遊びたい!兄様大好き!」を行動で表したいのだ。
だが詩那兄様は離してくれない。
んーっ!ともぞもぞすればさらにぎゅぅぅっときつく抱きしめられた。
「あや、いい子だから。いい子だからこれからしばらくはベッドの上で兄様たちと遊ぼう?ね?」
元気になるまでだから、と付け加えつつわたしをなだめるように言う。
詩那兄様のその声で、私の方に靡き?かけていたほかの三人の兄様たちもグッと自分を持ち直したようだった。
「兄様の言う通りです、あや。あやは気づいていないだけでまだ体は疲れているかもしれません。」
「あや、兄様たちもあやのベッドの上で遊ぶから、な?」
「あや、むり、だめだよ。」
えっっ
いや、兄様たちがそれでいいなら私は余計な労力を出さなくていいのでいいんだけど、、、
あれ?
思ってたより兄様たちって過保護なんじゃ、、、
悶々と考え込んでいると「あや?しんどいの?」と薫兄様が尋ねてきた。
ほかの兄様たちよりも目敏く私の変化に気づいてくれているようだ。
「ううん、かんがえg「それはいけない!あや!ほかに痛むところとかはある??!」ふぇ?」
ガバッと詩那兄様が抱きしめていた腕を伸ばし、私の顔を覗き込んでくる。
後ろで三人の兄様たちも眉を下げながらこちらを見つめている。
まやさんは血相をかえて四葉先生を呼びに戻ったみたいだ。
「(えー、、、全然元気なんだけどな、、、。でも何もしなくてもここまで過保護に思ってくれているなんてッ!)」
私は予想外のラッキーに胸を高鳴らせた。
「ッあや、なんだか顔が赤い。お熱、、、?」
薫兄様に興奮していたことに気づかれたみたいだ。
なんだか私が愉悦で興奮していることがそのうちばれそうでなんだか怖いのだが、、、(ブルッ)
「(いけない、薫兄様にバレた時のことを想像したら震えが、、、「あや!寒いのか?」え?」
詩那兄様は私の体を触れていたままだったので熱による寒気で震えているのだと思ったみたいだ。
素晴らしく好都合な勘違い、、、!
「いけない、兄様、あやを横に!」
杏兄様が何やら叫んでいる。
そういえば視界がぼやけてきた。
颯兄様の声も薫兄様の声も聞こえる。
あれ?これ、本当にこの体発熱しているんじゃ、、、。
ぼんやりと、兄様たちと10分でカムバックした四葉先生とまやさんの声を聴きながら、私の意識は沈んでいった。
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