上 下
2 / 8
桜ノ宮家

2話 愉悦部員の兄たち

しおりを挟む


「それではお嬢様、わたくしはこれで失礼いたします。何かございましたらすぐにお呼びください。」


そう言って桜ノ宮家の医師・四葉は去っていった。
とはいえ私は三歳児。

傍で控えていた、私専属の侍女・まやさんに「くれぐれも!くれぐれもお嬢様からめを離さぬように、、、!」と念を押して帰っていった。

まやさんも「ッかしこまりました!」と背筋を伸ばしていた。
うんうん、愛されているな、最高だ、、、!

そしてまやさんにこれからのことについて」聞いているとドタバタと廊下から音がした。

「「「「あや、、、っ!」」」」

、、、これから私の欲のために犠牲になる兄たちであった。

申し訳ないとは思いつつも改めて兄たちの顔を見ると、ほんっとうに顔が良い。
めいいっぱい私におぼれてほしい。
なんてったってこの美形たちの妹である私だって超の付く美形なのだ。

何かしらハプニングは起こせるはず、、、!
美形たちに大切に守られている儚げで壊れかけのお嬢様、、、!

これが良い!
我ながらナイスアイデアだ。
大枠はこれで行こうと思う。

、、、となると何かきっかけが必要だな。

ただでさえ男兄弟の中でのたった一人の妹で守られはいるが、なにせまだまだ設定が甘い、、、!

とりあえず今は兄たちの中で「病弱だけど一生懸命頑張っている健気な妹」位置を確立しようと思う。
とりあえず、成長しないことには何も始まらない。
あと三年近くは仕込みにかけるか、、、。


「にーさま?」
コテンッ ウルウル

「ッ///あや、大丈夫なのか?」
「ッ///あや、まだ起き上がってはいけませんよ、寝ていなさい。」
「「ッ///あっあや、、、」」
「ッ///大丈夫か、、、?」

四人とも、それぞれの反応はしつつもこのかわいい顔立ちには弱いらしい。
みんな顔を赤らめてくれた。

「にーさま!キャッキャッあそぼ?」

寝ていなさいという杏兄様の言葉を無視して兄様たちに近づこうとベッドのふちに行く。

「(このままベッドから降りてつたない足取りで兄様たちのところに行きつつ躓けば今日は及第点かな、、。)」

そんな風に打算的に考えつつベッドから足を出して兄様たちの方を向くと足が床につくより先に詩那兄様に抱きしめられてしまった。

む、困った。
このままでは「一生懸命兄たちのもとにつたない足取りで歩いていく健気な妹」が実行できない。

「しなにーさま、あや、おりたい、、、。」

ぎゅっとされている態勢から無理やり顔を起こし、詩那兄様を見つめておねだりをする。
うぐっ、、、!と後ろの三人の兄様たちからは声が漏れ出ているので効果はあったはずだが、私はこういう効果を出したいんじゃないんだ。
「にいさまたちともっと遊びたい!兄様大好き!」を行動で表したいのだ。

だが詩那兄様は離してくれない。

んーっ!ともぞもぞすればさらにぎゅぅぅっときつく抱きしめられた。

「あや、いい子だから。いい子だからこれからしばらくはベッドの上で兄様たちと遊ぼう?ね?」
元気になるまでだから、と付け加えつつわたしをなだめるように言う。

詩那兄様のその声で、私の方に靡き?かけていたほかの三人の兄様たちもグッと自分を持ち直したようだった。

「兄様の言う通りです、あや。あやは気づいていないだけでまだ体は疲れているかもしれません。」
「あや、兄様たちもあやのベッドの上で遊ぶから、な?」
「あや、むり、だめだよ。」

えっっ

いや、兄様たちがそれでいいなら私は余計な労力を出さなくていいのでいいんだけど、、、
あれ?
思ってたより兄様たちって過保護なんじゃ、、、

悶々と考え込んでいると「あや?しんどいの?」と薫兄様が尋ねてきた。

ほかの兄様たちよりも目敏く私の変化に気づいてくれているようだ。

「ううん、かんがえg「それはいけない!あや!ほかに痛むところとかはある??!」ふぇ?」

ガバッと詩那兄様が抱きしめていた腕を伸ばし、私の顔を覗き込んでくる。
後ろで三人の兄様たちも眉を下げながらこちらを見つめている。
まやさんは血相をかえて四葉先生を呼びに戻ったみたいだ。

「(えー、、、全然元気なんだけどな、、、。でも何もしなくてもここまで過保護に思ってくれているなんてッ!)」

私は予想外のラッキーに胸を高鳴らせた。

「ッあや、なんだか顔が赤い。お熱、、、?」

薫兄様に興奮していたことに気づかれたみたいだ。
なんだか私が愉悦で興奮していることがそのうちばれそうでなんだか怖いのだが、、、(ブルッ)

「(いけない、薫兄様にバレた時のことを想像したら震えが、、、「あや!寒いのか?」え?」

詩那兄様は私の体を触れていたままだったので熱による寒気で震えているのだと思ったみたいだ。
素晴らしく好都合な勘違い、、、!

「いけない、兄様、あやを横に!」

杏兄様が何やら叫んでいる。
そういえば視界がぼやけてきた。
颯兄様の声も薫兄様の声も聞こえる。
あれ?これ、本当にこの体発熱しているんじゃ、、、。

ぼんやりと、兄様たちと10分でカムバックした四葉先生とまやさんの声を聴きながら、私の意識は沈んでいった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

めーめー
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこから彼女は義理の弟、王太子、公爵令息、伯爵令息、執事に出会い彼女は彼らに愛されていく。 作者のめーめーです! この作品は私の初めての小説なのでおかしいところがあると思いますが優しい目で見ていただけると嬉しいです! 投稿は2日に1回23時投稿で行きたいと思います!!

異世界転生したら悪役令嬢じゃなくイケメン達に囲まれちゃいましたっ!!

杏仁豆腐
恋愛
17歳の女子高生が交通事故で即死。その後女神に天国か地獄か、それとも異世界に転生するかの選択肢を与えられたので、異世界を選択したら……イケメンだらけの世界に来ちゃいました。それも私って悪役令嬢!? いやそれはバッドエンドになるから勘弁してほしいわっ! 逆ハーレム生活をエンジョイしたいのっ!! ※不定期更新で申し訳ないです。順調に進めばアップしていく予定です。設定めちゃめちゃかもしれません……本当に御免なさい。とにかく考え付いたお話を書いていくつもりです。宜しくお願い致します。 ※タイトル変更しました。3/31

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

目が覚めたら男女比がおかしくなっていた

いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。 一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!? 「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」 ##### r15は保険です

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

婚約者は醜女だと噂で聞いたことのある令嬢でしたが、俺にとっては絶世の美女でした

朝比奈
恋愛
美醜逆転ものの短編です。 男主人公にチャレンジしてみたくで以前書いたものですが、楽しんでいただければ幸いです。

ヤンデレお兄様から、逃げられません!

夕立悠理
恋愛
──あなたも、私を愛していなかったくせに。 エルシーは、10歳のとき、木から落ちて前世の記憶を思い出した。どうやら、今世のエルシーは家族に全く愛されていないらしい。 それならそれで、魔法も剣もあるのだし、好きに生きよう。それなのに、エルシーが記憶を取り戻してから、義兄のクロードの様子がおかしい……?  ヤンデレな兄×少しだけ活発な妹

処理中です...