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レッツ大脱走
27話 手当てとあたたかみ
しおりを挟む「怪我はしていないのか、、、?」
ルイズさんが僕の顔を覗き込んで聞いてくれる。
不思議なことにルイズさんに抱きしめられてさっきまでの耳鳴りはだいぶ良くなった。
「っとにかくスメローとローザを部屋に呼んだ。はやく戻ろう。」
セネスさんが周りの警吏に何か指示を出しながらルイズさんに伝える。
「レイ。そういうわけだから抱き上げるぞ。」
「、、、ッ」
ルイズさんが僕のことを姫抱きにして歩きはじめた。
僕は道中、一言も発せなかった。
ーーーーーーーーー
「レイ、下ろすぞ。」
部屋について僕はさっきまでいたベッドの上に下ろされた。
僕の頭の中は手紙の事とこれからのみんなの安否についてどうしようかということしかなくて、抱えきれない責任に押し潰されそうで声なんて出すことができなかった。
それなのに降ろされたベッドはいつも通りふかふかで優しく僕を受け入れてくれた。
「、、、レイ様。失礼いたします。」
前回の通りルイズさんが僕の後ろに僕を抱えるように座り、毛布で僕を包んで抱きしめてくれている。
ルイズさんが僕の服の前ボタンを毛布の中で外してくれたらしく、スメローさんが問診してくれる。
おそらく、そばにいるローザさんも治癒の魔法を使ってくれているのだろう。
僕は何もする気が起こらず、ただボーッとしていた。
「レイ様、どこか違和感のあるところは他にありますか?」
スメローさんが耳をへちょんとさせて聞いてくれる。
ルイズさんも僕の頭を撫でながら僕の顔とルイズさんの顔を添わせて返事を待ってくれているようだ。
扉の外で話終わったセネスさんも部屋の中に入ってきて僕の手をとってくれた。
「、、、、、、、、、(フルフル)」
すごくゆっくり僕は顔を横に振った。
いつもならもっとはやく振れるはずなのにこれが僕の精一杯だった。
なんだか不思議な感じ。
僕の体なのに動かすのにすごく気力がいる。
体を動かすことが辛いや、、、
「、、、では一応身体のチェックをさせていただきますね。失礼します。」
そう言ってスメローさんは瞳孔、頭、首、肩、腕、、、と上から順番に軽く動かしていく。
そうして左足首に順番が回ってきた。
「、、、っ」
すごく痛いわけじゃない。
なんだか変な感じがするなー程度の違和感だった。
外にいた時はあんなにズキズキ痛んだのに。
不思議だなぁ。
「左足首ですね。骨は、、、折れてはいない様ですが結構ひどい捻挫の様です。あまり動かさない様にしてください。そのまま骨折に、なんてこともありますから。」
そう言って湿布を貼って上から留めてその上から包帯で巻かれていく。
その様子をどこかふわふわした気持ちで見つめる。
あぁ、僕のせいで。
僕が失敗したせいでみんなが死んじゃう、、、
どうしよう、そう思った時には息が苦しくなっていた。
一番最初に気づいてくれたのは前から様子を伺っていたセネスさんだったか、体を添わせていたルイズさんだったか。
ほぼ同時に2人は僕の名前を呼んで、深呼吸を促してくれた。
「ッレイ、俺と一緒にすーはーできるか?」
「レイ、セネスと一緒に大きく息を吸うんだ。」
セネスさんは僕が胸を掻きむしっていない方の手をぎゅっと握りしめて深呼吸してくれる。
僕はもう全てがどうでも良くて、なんならこの大きな責任から逃れたくて苦しくなるままに息を吸って、吸って、吸い込んだ。
胸も少しだけ掻きむしった。
「ッレイ!」
どちらの声かわからない声がして、次にふと意識が帰ってきた頃には目の前にセネスさんの顔が。
「っふっ、、、ンンッ」
「っハッ、、、んっ」
苦しくて涙が出てきて顔をセネスさんから離そうとするも後頭部をがっちりホールドされていて離れられない。
セネスさんの舌遣いに合わせているうちに呼吸が落ち着いてきた。
「ハンッ、、、ッ⁈ぷはっ」
ちゅう、ちゅう、とセネスさんが僕の舌と唇を吸い始めて驚くと漸く解放された。
はぁ、はぁ、と肩で息をする。
「よく頑張ったな」とルイズさんに後ろから囁かれ、頭を撫でられる。
目の前にはセネスさんの心配そうな顔とそれでも隠しきれていないギラついた瞳と目があった。
「、、、ッ///」
「コホンッえーレイ様も落ち着いたことですし、我々は失礼いたしますね。こちらが湿布と包帯の替えです。もしかしたら今日のストレスでお熱を出されるかもしれないのでセネス殿とルイズ様はよくレイ様を見ておいてくださいね。」
「私も失礼いたします。レイ様に治癒魔法をかけ終わりましたので。それでは。」
何かあったらまたお呼びくださいと言って2人は出て行った。
ぼーっとしているとルイズさんにボタンを閉められる。
「レイ、いつかは言おうと思っていたんだが、これを機に3人同じ部屋で過ごそう。本来は婚姻の儀が済んでからでないといけないが俺たちゃ我慢の限界なんだ。」
頼むよ、と言いながら頬っぺたをスリスリ添わせてくるルイズさん。
「、、、セネスさんは、、、?」
「俺も一刻も早くレイとともに過ごしたい。」
それなら、と返事をすると後ろからルイズさんが首元にガブリと噛み付いた。
そして反対の頸にセネスさんが前からガブリと噛み付いた。
「やっと手に入ったんだ。」
「俺たちの愛しのレイ。」
「「もう、絶対に逃がさない。」」
2匹の優しい獣に愛を告げられながら僕は意識を飛ばした。
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リク、感想、日常会話何でもオッケー!!とにかく作者が寂し死にしないようにお願いします。はしゃいではしゃいで語りまくれ!※愚痴でも可※作者の本体否定不可
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