異世界王道BL

西条ネア

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式典

11話 酒は飲んでも、、、

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「神子様、どうぞこちらに。」
そう言って目の前にいる侍女さん(、、、確かキリスさんだっけ?)が少し屈んで先を指す。

その方角には大きな豪華な扉がドーンとそびえていた。


―――――遡ること2時間前。

「ん、、、。ここ、、、」
ボクが目を覚ますとここ最近ずっと見てきた部屋の天井だった。

「(あれ、、、?ボクなんでこんなとこにいるんだろう。。。)」
自分でベッドに入った記憶がないのでどうしたものかと唸る。
とは言っても、ボクがここに来てから自分からベッドで寝ていたことはなかった。
初日こそ、横になりながら2人の話を聞いたけれど、それ以降は絶対にボクからベッドに入っていることはなかった。

正直、怖かったし、どうしたらいいのかわからなかったからだ。
今まで冷たい廊下、運が良くて薄いタオル付の即席布団で寝ていたボクには恐れ多くて近づけなかった。
誰かが部屋に来て「寝ていなさい。」と言われたら渋々ベッドに横になっていた。
最初は”まくら”をどうしたらいいのか、これは何なのかわからなくて大変だった。
無礼のないように、と聞くのは一瞬の恥!聞かぬは一生の恥!と何度も唱えながら頑張ったのはすごく記憶に残っている。
そんな普通の知識も持たないボクに2人やここに出入りする人たちは1つ1つ丁寧に教えてくれた。
でも、やっぱり自分からベッドに行くのは勇気が必要で。
結局、誰も来ていないとき(そんな時間はルイズたちが騎士たちに手を回して警護させているのでないのだが。。。by西条)は部屋の隅に体育座りをしてなるべく体を小さくして何もせず過ごした。

そんなおかしく迷惑極まりないボクの行動にも、みんな気遣ってくれて思わず涙した。
ルイズさんの目の前で泣いてしまって、ルイズさんがアタフタしているときにセネスさんも来て、ボクたちの姿を見るが早いか、ルイズさんに斬りかかっていた。

、、、あれには驚いて感動の涙だというのにすぐに引っ込んでしまった。

まあそんなこんなでボクは自分からベッドにはいかない。
眠くなってうとうとしているときに必ず誰かが来てベッドまで運んでくれていた。
眠気には勝てなくて、目がぱっちりしている時はきっちり断ったり抵抗するのにこの時だけはどうもされるがままだった。

今回ももしかしたらそうなのかもしれない。
けど、何か忘れているような、、、

何か大事なことはあったというのにぼんやりとしていて思い出せない。
「(何か、すごくドキドキしたような、、、何だっけ?)」
う~ん、とうねって考えるが思い出せない。

暫くそうしていると、急にバシャーンっと水か何かが盛大にぶちまけられたような音がした。
ビックリして音のしたほうを見ると今のボクの驚いている瞳よりも大きく瞳を開いているセネスさんの姿が。

「??セネスさん?大丈夫でs「起きたのか!!」」
こぼれたものも気にせずセネスさんはこちらに駆けてきた。
突然のことで何が何だかわからないままセネスさんを抱きしめ返す。
そのボクの行動にバっ!と反応したセネスさんはそのまま勢いよくボクからほんの少し距離を取り、全身をジ~っと見る。

「あっあの!セネスさん?どうかなさいました?」
声も前回とは違い出しやすいのでそんなに長い間眠っていたわけでもなさそうだ。
なのに何故??
ボクの頭は余計にこんがらがる。
それにしてもセネスさんの恰好、いつもと違うな、、、。
なんか厳つい。
”ザ・戦い”って感じだ。
ってあれ??
確か意識のあった限りでは、、、!

「ごごごご御免なさい!セネスさん!ケホッボク式典を台無しにしたんじゃっケッホゲッホ」
早口にしゃべり、且つ大声で一気に話したからかすごい勢いで咽る。
それを聞いてセネスさんが慌てて水差しで水をくれる。

「、、、、落ち着いたか?」
セネスさんがシュン...と反省したかのように耳を垂らしてボクに聞いてくる。
「はい。ありがとうございました。すみません、迷惑かけて。。。」
「敬語、なおってるぞ。」
「うう、あっありがとう。それより式典は?ボクのせいで大変なことになっちゃったんじゃ。。。」
国一体、ましてやこの世界全体に何か失態をあの後犯してしまったのでは!と焦る。

「なんでだ?むしろ大盛況だったぞ?神子様万歳!とかいう奴もいたくらいだ。」
そう言いながらセネスさんは優しい笑顔で微笑んでくれる。

「そっそれはそれでどうかと、、、。」
「それより、むせていたが大丈夫か?後二時間くらいで今度は宴が始まるんだが、、、出席できそうか?」
そう言えばそんなのもありましたね。。。
「はぃ。。。身体的には全然元気だから大丈夫だよ。」
精神的にどうかと聞かれると無理だ。
断言できる。
でも、しないといけないことだから。

「すまない。本当に必要なところだけでイイからな。」
セネスさんもそんな僕の気持ちを汲み取ってくれたのか、ありがたい提案をしてくれる。

ーーーーー
そんな感じで色々と用意をしていたら、いつの間にかこの大きな扉の前に立っていた。
ここまでの用意の間に二人の侍女さんと二人の僕の看病をしてくれた人の紹介を受けた。
まず、一人目の侍女さんがキリスさん。
羊族で銀色の髪をしている。
二人目の侍女さんがメリーさん。兎族だ。
羊じゃないんかい!と突っ込みたかったけどこらえたボク、賢い。

医術師のスメローさん(犬族)
治癒師のローザさん(猫族)
医術師と治癒師の差は魔法関連かどうからしい。
ボクは魔法を遣って倒れたけど身体にも影響があるかもしれないとスメローさんも呼んだらしい。

「神子様の御成門です。」
 そう考えていたらいつのまにか時間が迫っていた。
ボクは横にたっているセネスさんをチラッと見ると、セネスさんは安心させるように微笑んでくれた。

「よし!」
ボクは意気込んで開かれた扉をくぐった。


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