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式典
9話 魔王様には逆らうな
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「おいレイ、さっきのは一体、、、?!レイ!」
控えの部屋に入った瞬間身体から力というチカラのすべてがそぎ落ちたかの様に、ボクは膝から崩れた。
「レイ!おい!どうなってる?!レイ!わかるか!!?」
ルイズさんの必死な声がどこか遠くで聞こえる。
でもごめんなさいルイズさん。
ボクは貧血にでもなったかのような感覚になり、目の前がチカチカして見えず、頭の中がグワングワン回りながらとてつもない痛みを与えてくる。
ルイズさんに支えられた態勢のままぎゅっと目をつむり、荒い息を繰り返してとりあえずはこの頭痛が収まるのを待つ。
こんなことに精一杯でルイズさんに「大丈夫。」の一言も言えず心配をかけている一方である。
一生懸命頑張ったがこの頭痛が収まることはなく、執事さんらしき人の声と共にルイズさんに抱えあげられる。
「(うわっ!ちょっ!お願いだから揺らさないで!!)」
そんな願いが通じるわけでもなく、ボクはルイズさんに抱えあげられた記憶を最後に意識を失った。
ーーーーー
再びレイがみんなのもとに顔を出す。
聴衆も大臣の言葉よりもレイの方が気になるらしく、大臣の言葉をほとんどの者が聞いていないように感じた。
大臣哀れ。
国王の言葉も終わり、レイが一歩前に出て一緒に軽く頭を下げる。
そんな些細な動作でさえ、美しく、お淑やかであった。
その後もレイが後ろに下がることがなく、なんだなんだと聴衆がざわめき始めると、突如レイの身体から清らかな温かい魔力が流れ込んできた。
それはここにいる聴衆も、国王も、ルイズもらしく、うえで驚いているのが伝わる。
「はぁ。」
ルイズの騎士としての情けなさを恥ずかしく思う。
騎士という者、こんな不測の事態にも驚いても落ち着き、冷静に表情を変えてはならんというのが常だろうに。
ましてや騎士団団長ともあろうものが。
俺の中にはルイズへの呆れ半分、怒り半分で溜息をついていた。
《この力、、、!売ったらいくらするんだ!いい獲物が出てきて助かったぜ。》
突如そんな心の声が聞こえてきた。
誰だ。俺の嫁を害しようとしているのは。
俺はすぐさまその声の主のもとに駆け付け、後ろから羽交い絞めにして、路地裏に連れ込んだ。
「おい貴様。お前今何を思った。吐け。」
そのまま体重をかけて問い詰める。
悪いが、今の俺は最高に機嫌が悪い。
「っなんなんでよ!思うくらいいいじゃねぇか!それにこんなに多くの人の前に神子様なんか出したら皆狙うだようよ!俺は別に手ぇ出し手ねぇだろ!離せよ!」
「あの方に対する危険分子はすべて取り除くと決まっておってな。吐かないならお前にこれ以上の価値はない。死ね。」
こんな奴の言葉になんか耳を傾けるわけもなく首の骨を折って殺す。
だが、この式典のせいでレイが狙われるのは避けようがないな。
そう思って再び大通りにもどると他国の貴族数組とうちの貴族の2組に怪しい行動が見られた。
そいつらはご丁寧に魔封じの魔法をかけており心の声が聞こえない。
俺があの者たちだけに魔法をかけるのであらば簡単にあんなちっぽけな魔封じの魔法など解けてしまうのだが、今はここら一体にいる者たち全てに魔法をかけているのでできないのがくやしい。
一度捕まえて聞いてみればとも思うが、相手は貴族だからあとあとうるさく言ってくるだろう。
俺は気にしないが、もしそれでレイが気に病んでしまっては本も子もない。
俺はぬぐい切れない不安を抱えたままレイたちが待っているであろう城の中に入っていった。
―――――――
「説明しろ。」
今俺の前には魔王がいる。
レイがいきなり倒れた後、執事のドミールが急いで部屋を整え、それを聞いてすぐにレイを運んだ。
レイは俺が抱えてすぐに意識を失い、今も俺たちの傍らで医術師や治癒師がてんやわんやとレイを診ている。
普通こういう時って一緒に隣で心配するもんじゃないんですか魔o...セネスさん。
俺は今、レイが眠っているベッドの傍で正座していた。
目の前には何度も言うが魔王がご降臨なさっている。。。
「だから、気づいたらレイから魔力が大量にあふれて少しの間大丈夫だったから何とも思わなかったら、控室にもどった瞬間レイが倒れた。」
そんで運んだ、とセネスに言うがもう怒りを通り越して呆れられているようでため息をつかれる。
「だから俺が今問うているのはだな、、、!」
何故わからんのだと言ってくる。
「レイ、苦しそうだった。」
「ブチッ」
何かが切れる音がした。
「だから!俺が今お前に聞いているのはそんなことではない!そんな事、今のレイの様子からわかる!俺が聞きたいのは、なぜあんなにレイが大量の魔力を放出したというのに大丈夫だと思えるんだ?!そして何故体調の悪いレイを勢いよく何の躊躇いもなく抱えあげたんだ?!ドミールから聞いたぞ!ヒヤリとしたとな!!」
セネスから見える犬歯が恐ろしい。
「ぅっすまなかった。」
「俺に謝ることではないだろう?」
そのままここで2時間正座しながら護衛しろ!とセネスは言って医術師と治癒師と共に部屋を出ていった。
ついでにこんな言葉を残して。
「今回の罰として、レイの初めては俺が先にもらう。」
「ちょっ!なっ?!はぁ?!!それはねえだろう!!」
衝撃的発言に思わず腰を上げる。
「なんだ?そんなに俺に譲ってくれるのか。だったらその次も、、、。」
「ちょっ!なんでそーなんだよ?!」
俺も怒られ、反省している身だがついつい殺気立つ。
「ハァ。。。だったらおとなしく正座して反省と今後の対策をその筋肉しかない頭をフル回転してひねり出せ。そういうすぐ行動や表情に出るところが騎士として情けない。」
そう言い残して今度こそは本当に部屋の外に話をしに出ていった。
取り残された俺は、うなだれつつレイを見ながらこう思った。
「、、、俺、本当にセネスの上司だよな、、、?」
控えの部屋に入った瞬間身体から力というチカラのすべてがそぎ落ちたかの様に、ボクは膝から崩れた。
「レイ!おい!どうなってる?!レイ!わかるか!!?」
ルイズさんの必死な声がどこか遠くで聞こえる。
でもごめんなさいルイズさん。
ボクは貧血にでもなったかのような感覚になり、目の前がチカチカして見えず、頭の中がグワングワン回りながらとてつもない痛みを与えてくる。
ルイズさんに支えられた態勢のままぎゅっと目をつむり、荒い息を繰り返してとりあえずはこの頭痛が収まるのを待つ。
こんなことに精一杯でルイズさんに「大丈夫。」の一言も言えず心配をかけている一方である。
一生懸命頑張ったがこの頭痛が収まることはなく、執事さんらしき人の声と共にルイズさんに抱えあげられる。
「(うわっ!ちょっ!お願いだから揺らさないで!!)」
そんな願いが通じるわけでもなく、ボクはルイズさんに抱えあげられた記憶を最後に意識を失った。
ーーーーー
再びレイがみんなのもとに顔を出す。
聴衆も大臣の言葉よりもレイの方が気になるらしく、大臣の言葉をほとんどの者が聞いていないように感じた。
大臣哀れ。
国王の言葉も終わり、レイが一歩前に出て一緒に軽く頭を下げる。
そんな些細な動作でさえ、美しく、お淑やかであった。
その後もレイが後ろに下がることがなく、なんだなんだと聴衆がざわめき始めると、突如レイの身体から清らかな温かい魔力が流れ込んできた。
それはここにいる聴衆も、国王も、ルイズもらしく、うえで驚いているのが伝わる。
「はぁ。」
ルイズの騎士としての情けなさを恥ずかしく思う。
騎士という者、こんな不測の事態にも驚いても落ち着き、冷静に表情を変えてはならんというのが常だろうに。
ましてや騎士団団長ともあろうものが。
俺の中にはルイズへの呆れ半分、怒り半分で溜息をついていた。
《この力、、、!売ったらいくらするんだ!いい獲物が出てきて助かったぜ。》
突如そんな心の声が聞こえてきた。
誰だ。俺の嫁を害しようとしているのは。
俺はすぐさまその声の主のもとに駆け付け、後ろから羽交い絞めにして、路地裏に連れ込んだ。
「おい貴様。お前今何を思った。吐け。」
そのまま体重をかけて問い詰める。
悪いが、今の俺は最高に機嫌が悪い。
「っなんなんでよ!思うくらいいいじゃねぇか!それにこんなに多くの人の前に神子様なんか出したら皆狙うだようよ!俺は別に手ぇ出し手ねぇだろ!離せよ!」
「あの方に対する危険分子はすべて取り除くと決まっておってな。吐かないならお前にこれ以上の価値はない。死ね。」
こんな奴の言葉になんか耳を傾けるわけもなく首の骨を折って殺す。
だが、この式典のせいでレイが狙われるのは避けようがないな。
そう思って再び大通りにもどると他国の貴族数組とうちの貴族の2組に怪しい行動が見られた。
そいつらはご丁寧に魔封じの魔法をかけており心の声が聞こえない。
俺があの者たちだけに魔法をかけるのであらば簡単にあんなちっぽけな魔封じの魔法など解けてしまうのだが、今はここら一体にいる者たち全てに魔法をかけているのでできないのがくやしい。
一度捕まえて聞いてみればとも思うが、相手は貴族だからあとあとうるさく言ってくるだろう。
俺は気にしないが、もしそれでレイが気に病んでしまっては本も子もない。
俺はぬぐい切れない不安を抱えたままレイたちが待っているであろう城の中に入っていった。
―――――――
「説明しろ。」
今俺の前には魔王がいる。
レイがいきなり倒れた後、執事のドミールが急いで部屋を整え、それを聞いてすぐにレイを運んだ。
レイは俺が抱えてすぐに意識を失い、今も俺たちの傍らで医術師や治癒師がてんやわんやとレイを診ている。
普通こういう時って一緒に隣で心配するもんじゃないんですか魔o...セネスさん。
俺は今、レイが眠っているベッドの傍で正座していた。
目の前には何度も言うが魔王がご降臨なさっている。。。
「だから、気づいたらレイから魔力が大量にあふれて少しの間大丈夫だったから何とも思わなかったら、控室にもどった瞬間レイが倒れた。」
そんで運んだ、とセネスに言うがもう怒りを通り越して呆れられているようでため息をつかれる。
「だから俺が今問うているのはだな、、、!」
何故わからんのだと言ってくる。
「レイ、苦しそうだった。」
「ブチッ」
何かが切れる音がした。
「だから!俺が今お前に聞いているのはそんなことではない!そんな事、今のレイの様子からわかる!俺が聞きたいのは、なぜあんなにレイが大量の魔力を放出したというのに大丈夫だと思えるんだ?!そして何故体調の悪いレイを勢いよく何の躊躇いもなく抱えあげたんだ?!ドミールから聞いたぞ!ヒヤリとしたとな!!」
セネスから見える犬歯が恐ろしい。
「ぅっすまなかった。」
「俺に謝ることではないだろう?」
そのままここで2時間正座しながら護衛しろ!とセネスは言って医術師と治癒師と共に部屋を出ていった。
ついでにこんな言葉を残して。
「今回の罰として、レイの初めては俺が先にもらう。」
「ちょっ!なっ?!はぁ?!!それはねえだろう!!」
衝撃的発言に思わず腰を上げる。
「なんだ?そんなに俺に譲ってくれるのか。だったらその次も、、、。」
「ちょっ!なんでそーなんだよ?!」
俺も怒られ、反省している身だがついつい殺気立つ。
「ハァ。。。だったらおとなしく正座して反省と今後の対策をその筋肉しかない頭をフル回転してひねり出せ。そういうすぐ行動や表情に出るところが騎士として情けない。」
そう言い残して今度こそは本当に部屋の外に話をしに出ていった。
取り残された俺は、うなだれつつレイを見ながらこう思った。
「、、、俺、本当にセネスの上司だよな、、、?」
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リク、感想、日常会話何でもオッケー!!とにかく作者が寂し死にしないようにお願いします。はしゃいではしゃいで語りまくれ!※愚痴でも可※作者の本体否定不可
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