異世界王道BL

西条ネア

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2人の旦那様

5話 お元気で何よりです。王様。。。

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しばらくすると扉をノックする音がこの大きな部屋に響いた。
ルイズさんが返事をすると、セネスさんとその後ろにいかにも王様って感じの威厳溢れるお爺さんがいた。
ルイズさんとセネスさんが王さまは優しい方だとおっしゃっているけど、やっぱり怖い。

「君がレイ・カイリかい?うちの騎士二人を受け入れてくれてありがとう。」
そういって王様は柔らかに微笑まれた。
さっきまで醸し出していた威厳オーラは一切なく、正に「おじいちゃん」だ。

ーーまあ、お爺ちゃんなんてどういうものかわからないのだけれど。 

それはそうと、こちらも挨拶しなければ。
取りあえずベッドから降りた方がいいよね?

そう思ってルイズさんを見上げるが、余り正確に伝わった手応えがない。
「王、レイは先程少し過呼吸を起こしまして身体がまだ弱っているのでこのままでお許しいただけないでしょうか?」

嗚呼。
やっぱり伝わってなかった。 

もう大体予想はできてましたけど。

「儂は別に構わんぞ。それよりレイ殿は大丈夫か?なんならこのまま儂は帰ろうか?」
「いえいえ!全然大丈夫です。ルイズさんが心配性なだけなので。むしろこんなところから申し訳ありません。異世界から来ましたレイ・カイリです。敬称はいりません。不束ものながらルイズさんとセネスさんの伴侶、です。。。」

言い終わるとそのままぎゅっとルイズさんにしがみつきそのまま顔を埋める。

「(やった!ちゃんといいきった!ボク頑張った!)」
アヴィの降臨がなかったら今ごろボクは不敬罪で極刑だろう。

「、、、ぃ」
「??」
王様が何かを呟かれた。
ボクには分からなかったけど二人には聞こえていたようで、ため息?をついている。

「可愛いぞ!レイくん!いや、レイちゃん!」
「えっ?!いや、、レイ、ちゃん?」

突然の王様の発言にボクは勢いよく顔を上げる。
王様の目がすごくキラキラしている。
そのキラキラの厚がスゴい。。。

「ぁぅ~////。。。」
どうして良いか分からず服の袖で顔をかくす。
このときばかりはこの大きな服に感謝した。

「ふぁぁぁぁああ!最高じゃ!ルイズにセネスよ。よくこんな可愛い神子をゲッツしたな!儂は嬉しいぞ!さぁ~レイちゃん儂のことはゼナウドと呼んでくれ!敬称なんか要らん!あっあっあっ!おじいちゃんでもオッケーじゃぞ?!」

「ぁぅ~うぅ~」
何か返さないとと思うんだけど呻き声しかでない。
言葉が喉の奥に詰まって出てくるのを怖がっている。
何も言えなくて、それがゼナウドさんに申し訳なくて焦ってくる。

ポンッ
不意に頭に暖かな手が覆い被さった。

「大丈夫だ。レイ。落ち着いて、深呼吸だ。」
ルイズさんかと思えばセネスさんだった。
焦っているうちに軽く過呼吸を起こしていたらしい。
さっきのが残っていたのか、やはり身体が弱くなっているからなのか。
はたまたどちらもか。

「、、、す。、、ぅ、さん。」

はくはくと口を動かして今言わなくちゃいけないことをとりあえず言う。
声となって届いているはずないけどゼナウドさんは頷いてくれた。

「ああ。こちらこそよろしくな!レイちゃん!」

やっぱりこの国の王様はルイズさんとセネスさんが言うように優しかった。

「ルイズ。今日は俺の番のはずだろう?代わるんだ。」
「ぇ~けちぃなぁ~セネスは。、、、ヘイヘイ代わりますよ。」
なんかセネスさん、段々キャラ変わってきてませんか?
であった頃はもっと無口でクールな感じだった筈なんですけど。。。

「ふぉっふぉっふぉっ!仲が良いのぅ~微笑まじゃ!ほほえま!d=(^o^)=b」

王様も顔に合わない現代語お使いになるんですね。

そんなことを思っているうちにセネスさんに抱き上げられていた。
考え事をしていただけのはずなのに気づかないってヤバくないですか?

「せっセネスさん!?降ろしてください!」
視界がぐんと高くなるのが怖い。
体調が悪くてそんなことを言ってられないときは仕方がないけど、今はやめてほしい。
意識がはっきりしている分怖い。

そして何より背が高すぎる。
王様も身長が高いのでやはりこの世界の人は平均身長が高いらしい。

「すまない、レイ。急に抱き上げて。」
少ししょんぼりしたセネスさんがボクを抱えたまま近くのソファに座る。
尋常じゃないくらいの負のオーラだ。

「そんなに落ち込まないでください。ごめんなさい。。。少しだけ、昔に担がれて訳のわからないところまで連れていかれたことがあって。。。その、、、少しだけ思い出してしまうというか、、、」
別にボクを担ぎ上げて何処のかもわからない倉庫に連れ込まれて殴ってきた人たちとセネスさんは違うというのに、どうしても思い出してしまう。

「すみませっ、、、!」
申し訳なくて涙が流れそうになる。

「泣かないでくれ。俺の方こそすまなかった。。。迂闊だったよ。」
そういって後ろから抱き締めて首筋にキスを落とされた。

「ッん。。。」
ピクリと反応してしまう。

「「ン""ン""ッ」」

「儂は出ていこうか?」
「レイ、エロすぎるぞ。」

恥ずかしくてカァ~////っと赤くなる。
でもセネスさんはどこ吹く風。
その鋼の心臓がほしい。。。

「ハァ。で、これからのことなんじゃがな?神子様が降臨したという式典をこの国でやろうと思う。それこそ庶民から貴族、他国の王族たちとも掛け合って。じゃが、今日見ている限りそれはレイちゃんには厳しそうじゃな、、、。」

「うぅ~すみません。」

その通りすぎてぐうの音もでない。
絶対に即昏倒する。

「まあでも、ちょっと皆から見える高い位置にたって手を振るくらいでいいんだぞ?あとはすわっとくだけで。あっでも一曲は踊らないといけないか。。。」

「そう固くならなくていいと思う。皆がホールに集まるときはただ座っておくだけでもいい。神子様の声は神聖なものだからお告げの時にしか聞けないとかなんとか言って。」

唯の人形の真似でいいのか?!
それならできそう。

「それくらい、なら。。」

「ッ!本当か!レイちゃん!感謝する!これで国王会議の時にブチブチ言われないで済む!」
そう言って目を輝かせたゼナウドさんは凄まじい勢いではしっていかれた。

お元気で何よりです。

「じゃ!俺も見回り行ってくるわ!セネス頼んだぞ!」
「ああ。」
「いってらっしゃい、ルイズさん。頑張ってね。」

するとルイズさんはボクのおでこにキスを落として出ていかれた。



「レイ。さっきルイズが言っていたが過呼吸になったとか。。。大丈夫なのか?」
セネスさんがボクに訪ねてきた。

「はい!今はもう大丈夫です!」

「本当か?さっき王が来たときぐったりとしていなかったか?」
ほっ本当にセネスさんはよく見ていらっしゃる。

「いや、、、ええまぁそうだけど、今は大丈夫なので!」
もう敬語とタメ口の差が解らない!!

「ならいいのだが。。。」
セネスさんはボクの答えに何か考え事をしているようでいつものように口調で笑われなかった。

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