異世界王道BL

西条ネア

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2人の旦那様

4話 かもしれない。、、、かもしれない。かもs((

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「、、、イ。、、、レイ。」
どこからか声が聞こえて意識が覚醒する。

「ん、、おはようござぃます、ルイズさん。」

目を開けるとルイズさんの顔が。
なかなか整っていて心臓に悪い。

「起きれるか?」
「はぃ。。」

ボクは目を擦りながら体を起こした。
その最中も、ルイズさんは甲斐甲斐しく背中に手を当ててくれたり、擦ると赤くなる、といって手をやんわりのけて瞼にキスをしてきてくれるなどルイズさんの愛情の深さを実感した。

「何時ですか?」
「もうすぐ9時だ。昨日はお昼前には寝たから、、、20時間くらい寝てるんじゃないか?」

にっ20時間?!
寝すぎなのでは。。。

「レイはまだ身体が丈夫じゃないんだ。そんなものさ。」
「あぅ~すみません。」
「敬語、直ってるぞ。」
「(゜ロ゜;!ハッ!」

クスクスとルイズさんの隠しきれていない笑い声が聞こえる。 
そういえば、慣れても体力には変わりがないってアヴィが言ってなかったっけ?
、、、まぁいっか。

「いつ、王様に挨拶できるの?」
ボクは初めてのちゃんとした挨拶に緊張が止まない。
心臓が飛び出そうなくらいだ。

「お昼前だ。あと2時間もいないうちに来ると思うぞ?」
「!!それは大変です!早く身支度を整えないと!」 

こんなみっともない姿晒したら追い出されるに違いない。
あと、変なことを言わないようにしないと。

「ははっそんなに固くならなくてもいいんだぞ?国民にも優しくて人気が高いんだ。大丈夫だよ。」

「そう、なんですか、、、でもやはり身支度はちゃんとしないと!」

「レイがそう言うならしかなねぇな。」
ほれ、と一枚のワンピースみたいなのを渡された。
ちなみに長袖。
でも、この世界のヒトの身長に合わせてあるから大きい。

着てみると、やっぱり大きい。
萌え袖になって、肩も意識しないとズレてくる。

「逆にこれは失礼なのでは、、、。」
「?なんでだ?目の保養なんだが?」

???
目の保養だからって王様に会う服着めていいの、、、?

「髪の毛はどうする?」

ルイズさんが聞いてくる。
ボクの髪の毛は鼻くらいまで伸びている。
宣言しよう。
前髪は神だ。
すごく便利だ。
「そのままでお願い、、、。」

もう懇願する。
これだけは残しておいて。。。

「わかったよ。もうすぐセネスが王を呼んでくると思うから待っていよう。」
「はい。」

なんだか申し訳ないことをした。
折角ボクのことを考えてルイズさんが提案してくれたのに理由も話さず拒否してしまった。
その瞬間、ボクはルイズさんに嫌われてそのまま見放されるのではないか、とヒヤリとしてしまった。
自分でもわかる。
これはヤバいかんがえかただと。
このままだといけないと分かっているのに一度出てきた不安は収まることを知らない。

「(きっとこのまま見放されてここからも追い出されて周りの人からも疎まれて、、、)」 

どんどん「かもしれない」が増えていく。

もしかしたら、もう呆れられているのではないか。
王様に会うのではなく追放するために警備の人等を呼んでいるのではないか。

絶対にないとは言い切れない。






ーー嗚呼、死にたい。


やっと新しい人との出会いがあったけど。
アヴィには悪いことをしてしまうけど。

迷惑がられて疎まれるのは嫌だ。
暴力はまだいい。
それでもボクのことを必要とされているから。
暴力の最中でも言われた、ボクの存在否定。
あれだけは悲しかった。

もし、今ルイズさんにボクの存在が否定されているとしたら。


「、、、ぃ」
「どうした、レイ。」

ボクはそのままルイズさんの方に顔をあげた。
ひゅっ!とどこかでルイズさんが息をのむのが聞こえる。

「レイ!分かるか?!レイ!」
「、、、。」

肩を揺さぶられた気もするけどボクは構わず目の前のテーブルにおいてあるペーパーナイフをとって首にあてた。

「、、、、、、。」

そのまま手前に引こうとしたら不意に手を捕まれた。
「ッレイ!!」

カラン、とペーパーナイフが絨毯に落ちるのをボーと見る。

「、、、レイ。」

そのまま背中に暖かみがくる。

「、、、ぁ。ごめ、、なさっ!ヒュ」
気づけばルイズさんに抱きしめられていた。
心なしか息がしにくい気がする。

「謝らないでいい。どこも怪我をしていないか?、、、、、、レイ?」

ルイズさんの心配してくれている声にも答えられない。
息がしにくい。

「ぁヒュッハァハァハヒュッ」
何とか口を開いて大丈夫ですから、と笑みを向けて見せるがダメらしい。
胸の辺りが痛んできて捕まれていない左手で胸をぎゅぅと握る。

「ッレイ!焦るな!深呼吸だ!大丈夫。ほら、俺に合わせてみろ。」
そういってルイズさんが一緒に深呼吸をしてくれる。

「んッハァ~ヒュッヒュハッハァー。」
 だんだんできてきてはいるんだろうけど呼吸を操作するのは難しくて涙が出てくる。

「できてるからな?レイ。そのままそのまま。」
いつの間にかボクをそのまま床に座らせ、横から抱くように座っていたルイズさんが背中をポンポンしてくれていた。

「んッはーすぅーはぁ、、、」

呼吸がなおった頃にはもう30分くらい経っていた。
そのままダルくてルイズさんに体を預ける。

「大丈夫か?このままベッドにいくぞ?」

そういって優しく降ろしてくれる。
「王がいらっしゃるまで寝てるといい。大方準備は整っているしな。」
「ありがとうございます。。。」
もう頭が上がらない。

「クスッ敬語。」

こんなときにまで敬語じゃなくていいだなんてルイズさんは優しすぎますよ。


ーーーーーーーーー

普通に話していたらレイが俯いて何も言わなくなった。
おかしいな、と思い顔を覗きこもうとするがその前にレイの顔が上がる。

ッ?!


レイの瞳は何も写してはいなかった。
何処か遠くと言うわけでもなく、正に無。

呼び掛けても応答がない。
、、、おいおいやばくねぇか?
どうしたものかと悩んでいると何かを呟き、スッと立ち上がりテーブルに向かうレイ。

「??レイ。そんなものもってどーする。」

レイが手にしたのはペーパーナイフだった。
この部屋の備え付けのものだ。
また返事をしないレイを不審に思っていると、唐突にそのペーパーナイフを首に宛がった。

ヤバイ

俺は凄まじい瞬発力でレイの手からペーパーナイフをはたきおとした。
それでもまだレイの瞳は無表情に落ちていくペーパーナイフを見つめるだけ。
俺は勢いのままにレイを後ろから抱き締めた。

このときほど騎士団にはいっていて良かったと思えた日はこれまでにない。

「レイ。」
もう一度呼び掛けると正気に戻ったようであやまってきた。
謝ることなんて何もないのに。
むしろ俺が何かレイをあんな風にさせるような発言をしたのだろう。

段々レイの息遣いがおかしくなってきた。
ヒュッハヒュッと口をはくはくと動かして空気を取り込もうとしている。そのくせ吐き出せていない。

過呼吸か?

この国の人間は余り、というか全くそういうことにはならない。
怪我も魔物と対峙したときだけだ。
病なんて小さい子供はかかるかも知れねぇが成人してからはほとんどない。
故に対処法がわからず、深呼吸だ!と空っぽの頭をフル回転にして言う。
レイも一生懸命それに答えようとしてくれるが気持ちだけがはやりすぎて中々上手くいかない。
段々苦しくなっていく一方のようでレイの目には涙が溜まり、俺が掴まなかった左手で胸をきつく握りしめる。
そんなレイの姿にひどくそそられた。

これは俺が悪いわけではないと思う。

今はレイを苦しみから解放してやることが最優先だから、必死に切り替える。
レイは自分を支えるための呼吸もままならないらしく、くたっと崩れていくのをやんわりと受け止めた。
時折背中をさすってやったり、涙を拭ってやったりしているうちに30分くらいたち、レイの息遣いが戻ってきた。

レイは体に力が入らないらしく、俺にすべてを預けている。
ふわりとかおるレイのいい匂いが俺を包み込む。

そのままレイをベッドに寝かせてやり、軽く話しているとスゥースゥーと心地いい寝息が聞こえる。
セネスと王が来るまで一時間はあるから少しは休めるだろう。

俺はレイが眠るベッドの側で椅子に座り、俺のどんな発言がいけなかったのか脳内反省会を開始したのだった。

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