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ありきたり過ぎて何も言えない
1話 幸運、使い果たしました
しおりを挟むボクの名前は海里怜。
極々普通の男子高校生です。
皆と少し違うところといえば男の人が好きなところでしょうか。
いや、少し語弊がありますね、、、。
ボクは小さい頃に両親を亡くしました。
おじいちゃんやおばあちゃんは生まれる前に亡くなっていて、両親が死んでからなんやかんやで天涯孤独となったボクは施設に預けられました。
ボクは気が弱いのでよく苛められました。
そんな中で唯一やさしくしてくれていたのがその男の子だったからです。
その男の子の引き取りが決まってからは、女子にも苛められるようになりました。
、、、女子って怖いですよね。
もちろん、苛めてくる男の子たちもこわかったけれどあの子のことがあったから女子よりもましだった。
まあ、そんなこんなでこんな口調が身に染みてしまったのだけれど、今は高校に行きながら自宅でできるバイトをしています。
あっ!もちろんちゃんとしたお仕事ですよ?!
怪しいことは一切していません。
今日は冷蔵庫の中身がきえかけているので買い出しに出ている。
経費削減のために自炊ばかりしているのでスーパーに向かってます。
ニャー
ふと、猫のなきごえがきこえてきました。
あたりを見渡すと道路のわきに子猫が。
今通っている道路に歩道はありません。
ビルが道路に沿って所狭しと並んでいます。
信号は青。
近くに車も通っていない。
ちゃんと確認しました。
だから、子猫のもとに向かいました。
誰があのモフモフの誘惑に勝てるのでしょうか。
、、、勝てるはずありません。
にゃ―
撫でるとさっきよりも優しい声で鳴いてくれました。
「♪♪♪」
暫くそうしていると猫がフッとどこかに消えてしまいました。
仕方がないですが自由気ままなところが猫のいいところです。
よいしょ、と立ち上がり帰ろうとした瞬間、すごく強い衝撃を受け、目の前が真っ暗になりました。
確かに、信号は青で車も通っていなかったのに。。。
ぼんやりとした視界。
ふわふわした感覚と共にどこか遠くで声がします。
うっすらと脳裏に再生されるのは、さっきの現場。
もう息のないボクの身体の上に誰か男性が乗っかっています。
どうやら、自殺をしようとした男性の下敷きになったようで。。。
きょうはいいことばかりだと思ったのに。
子猫ちゃんに出会ったことで僕の運を使い果たしてしまったんでしょうか。
残念です。
次はだれか一緒に生きてくれる人がいてくれる人生がいいです。
烏滸がましいかも、ですが。
「全然オッケーだぜ!」
突然、あたまの中に声が聞こえてきました。
「、、、だれ、ですか?」
「ん?俺?俺は~アヴィ!神様、、、みたいな?」
「みたいなって!!すごいじゃないですか!」
段々と姿が見えてきたアヴィを見て興奮が収まらない。
「おッおう。。ありがとな!」
「それで、神様が一体どんな御用で?やっぱり死んでしまったんですね、ボク。」
「ああ、、、。だが、あまりにも不憫な死に方だったからな。転生、してみないか?」
「なんで僕がそんな貴重なこと、、、。」
今までそんなに大したことをしたわけではないのに。。。
「お前はもう少し自分を大切にしろ。」
「???」
ボクは訳が分からず、?を浮かべる。
するとアヴィはため息をついた。
「ビクゥ!!ごっごめんなさい、、、。」
「いや、怒っているわけではないんだ。そうだよな?そんなにすぐその考え方が変わるわけじゃないしな、、、うん。」
ボクに怒っているわけではないと言ってくれているけれど、段々とアヴィの顔が険しく、怖くなってくる。
「、、、よし!怜は次に転生して過ごすところでたっくさん愛されてくるんだぞ!」
「はっはい!」
、、、?転生確定?
「大丈夫だ。皆優しいからゆっくり頼ってみるといい。そこで提案なのだが、、、その、、、俺は、、、その、、男が愛し合っているのを見るのが好きでな?少し俺的に修正してもよいだろうか、、、?」
鼻息を荒くしてアヴィは詰め寄ってくる。
「えっええ。。。もう一度生きなおさせていただくわけですし、、、。」
「ありがとう!じゃあ早速なんだが、転生じゃなくて転移でもいいか?あと結構な爵位の、、、できれば王族よりも上に扱われる感じで!それからやっぱり愛されといえば過保護、寵愛でしょ!あとあと~」
「わっわかりましたからもう好きにしてください!!」
何だなんだかわからないので、お任せすることにする。
「!!ほんとうか?!任せろぃ!」
目がキラキラしてる、、、。
「名前はどうなるんですか?」
「そのままでいいぜ!めんどくさいだろ?」
、、、あの説明を理解するほうがメンドクサイ。
「何か失礼なこと考えていないか?」
「いっいえ!何もっ!!」
段々アヴィのことが見えなくなってくる。
それにぼんやりしてきてすごく眠い。
「向こうに行ってから状況は理解してくれ!怖がらなくていいぞ!怜は愛されるからな!」
返事をしようとしたけれど眠気が勝ってしまった。
*****
目が覚めると豪華な天蓋付きのベッドの上だった。
「ここ、、、は?」
眠っていたせいか声が出しにくい。
「目が覚めたのか?!」
隣から声が聞こえた。
でも気配は2つある。
ボクは女子によく寝ているところを襲われた経験があるので声を聞いた瞬間飛び起きて、部屋の隅に駆ける。
いや、正しくはかけようとした。
足に力が入らなくて崩れてしまった。
「、、、、ぁ」
一度崩れるということを利かなくなってしまったボクの身体は近づいてくる男性二人に震えることしかできない。
「恐れないでくれ、大丈夫だから。神子様、、。」
困ったように言ってくる1人の男性。
そしてその後ろから心配そうに見つめているもう1人の男性。
それよりも、、、
「神子様、、、?」
「?ああ。つい先日創造神のアヴィ様が君を連れてこられたんだ。神子だと言って。」
「、、、アヴィ様は君のことをある程度は教えてくださった。大丈夫だ、何も怖いことはしない。」
アヴィ、直接降臨したんだ。。。
「ぁ、、、ぁぅ、、、」
ここでコミュ障発揮とは(呆)
「//////ッ失礼するぞ。」
そう言って優しく姫抱きにしてくれる。その瞬間にもビクッとなってしまい、もう一人の男性が優しく頭を撫でてくれるがやはりビクついてしまう。
もう許して、、、。
再びベッドに降ろされ、お礼を言いたくても言えずぎこちなく笑ってペコペコ頭を下げることしかできない。
「頭を上げてくれ。神子様は俺たちからしたら雲の上の存在なんだ。こんなことさせて頂くだけでありがたいんだ。」
そんなこと言われても、、、!!
落ち着いてあらためて部屋を見渡すと、程よい感じに高級感あふれるいい部屋だった。
ボクにはこんなに豪華な部屋にいること自体初めてで萎縮してしまう。
「神子様、名前を教えてくれないだろうか、、、?無礼は承知の上だ。だが君のことそのものを愛したいんだ。」
「俺からも、お願いできないだろうか?」
二人が頭を下げてくる。
「っ頭を上げてください!ケホッボクは海里怜です。レイと呼んでください。敬称も何も要らないので。。。」
なんだか声が出しにくい。
「大丈夫か?!そんなに無理はしなくていい!すまない、起きたばかりなのに、、、。」
たった一つの咳でここまでって、、、過保護だな。。
「大丈夫ですよ。お二人のお名前も、もしよろしければ伺いたいのですが。」
「もちろんだ!ぜひ名前で呼んでくれ!俺はルイズだ。こっちの無口の方が、、、」
「セネスティだ。セネスと呼んでくれ。」
「はい!ルイズさん、セネスさんよろしくお願いします。」
「「////ッ」」
なんだか二人の顔が赤い。
「あの、、、アヴィに何を話されたのか教えていただけないでしょうか?ボクに何も言わずアヴィはボクをここに連れてきたので。できればこの世界のことについてもお願いします。」
「もちろんだ。だがその前にベッドに横になったほうがいい。顔色が悪い気がする。」
ルイズさんがボクの背中に手を添えてさあ、と身体を倒そうとしてくれる。
「いや、、でもせっかくお話ししてくださるのに臥せった状態というのは、、、。」
流石に失礼だろう、と困ったように眉を寄せルイズさんを見上げる。
薄々思ってはいたけど、二人とも身長が高い。
ボクの本体そのものは変わっていないはずだから、、、2メートルは優に越していそう。
ちなみに僕は173センチ。
大体の標準である。
もしかしたらこの世界の人たちは平均身長が大きいのかもしれない。
「さっきもせき込んでいたし、怜が以前いたところと環境というか世界の仕組みそのものが違うから体の負担が大きいと聞いた。無理はしないほうがいい。」
「そうなのですか。。。ではお言葉に甘えさせていただきます。」
ボクがこのフカフカなベッドに横になるまでもヒヤヒヤしながら見守り、補助や掛布団をかけてくれる二人の尽くし度に驚いた。
そしてボクがベストポジションに入ってから二人はいろいろと教えてくれた。
・4日前にこの国の中心である魔法塔に突如大きな魔方陣が出てきて創造神アヴィが現れた
その時の並外れた膨大な魔力に皆、アヴィを創造神だと瞬時に悟ったようだ
・アヴィの腕の中でボクは眠っていた
・ボクは創造神アヴィが愛する神子だといった
・アヴィは神の力を使ってルイズさんとセネスさんを選出した
・ボクの扱いは国王より上である
・国民にボクの降臨は知られているので警備が万全なこの国、ウェイナード国の王宮にいること
・容姿はもとのせかいとかわらないこと
・この世界には科学がなく、魔法というものが人々の生活を支えていること
・人族は絶滅しており現在はイレギュラーなボクだけで他は獣人であること
(ちなみにルイズさんは獅子族でセネスさんは狼族なんだそう)
・男性しかいないこと
ボクが一番驚いたのは男性しかこの世界に存在しないことだった。
ボクの過去の経験を考えてアヴィが過ごしやすいようにしてくれたからだと思うことにした。
アヴィの趣味のことは、、、知らない。
生まれつきどちらが子を成せるかは決まっているらしいが、流石異世界。
多額のお金を積み込めば前の世界で言う性転換的なことができるらしい。
神子はもう絶対アヴィの仕込みたと思うけど、子を成すほうらしい。
ルイズさん、セネスさんはもうお決まりな気がするけど前の世界で言う男性的ポジション。
あと、さっきセネスさんが言っていた神子の身体はこの世界において負担が大きいらしい。
ボクの身体には腐るほどの魔力があるらしい。
でもそれを実用化するにも体力が必要でボクには大きなことはできないらしい。
宝の持ち腐れとはこのことだ。
そんなことをいろいろ考えていたら瞼が重くなってきた。
「やはり負担が大きかったよな。すまねぇ。しっかり休んでくれ。」
ルイズさんの声を聞きながらボクの意識はシャットアウトした。
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リク、感想、日常会話何でもオッケー!!とにかく作者が寂し死にしないようにお願いします。はしゃいではしゃいで語りまくれ!※愚痴でも可※作者の本体否定不可
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