愛され末っ子

記憶がなくなる前の話

46話

理玖斗サイド


「旦那様、静矢様より琉架様のことについてご相談したいことがあるそうです。」

「え？静矢から？」


予想しなかった相手からの緊急連絡につい聞き返してしまう。


静矢はまだ小学生三年生だというのにひどく頭がいい。
人当たりもいいし、少し子供っぽさがかけすぎてはいないかと不安になった時もあったけれど琉架が生まれて、それは杞憂に終わった。

琉架に対する執着や愛情が静矢が子供のころにあまり見せなかったものの代わりのようで。

まぁ、この執着にも少し度がすぎているんじゃないだろうかとヒヤヒヤすることもすくなくないけれど。


大人から見れば自分の大切なおもちゃを一生懸命に抱え込んでいるようにしか見えないし、そうであって欲しいと思う。

きっと本人にとってはそんな生半可なものじゃないのだろうけれど琉架のためを思うとそうであってほしかった。


竜葵に関してもだ。
あの子は少し不器用でいつも見ているこっちまで応援したくなるような焦ったさだし、小学校では勘違いをされたりしてうまくいかないこともある。

でもその辺に関しては自分たちは家族だから。

他人には見ることのできない竜葵が見えるし、頑張っている様子もわかる。

きっと理斗や琉架が成長してもこの兄弟は互いに互いをすくい取れるだろう。



とまぁ、こんな感じに株を上げておいたところで静矢の急なお呼び出しの話に戻る。

清水はすでに俺が帰れるようにと色々なところに電話をかけ始めた。


あちゃーこの人、どうせ白い目で見られるのは俺だからって、、、！！


まっ！そんなことは絶対に言わせないけどね。


「、、、さて。帰りますか。」

そんなに重くない腰が上がった。←