愛され末っ子

記憶がなくなる前の話

15話

香月サイド

「っよし。呼吸安定してきたね。このまま安静に、ね？」

結構ヤバかったと漏らせば理玖斗がありがとう、という。

あの理玖斗から感謝の言葉が出るとか恐怖でしかない。

でもそれだけ今回の琉架様の容態は危なかったし、それだけ大事にきてるってとこで解消された。

「るぅ、、本当にごめんなさい。」
「ごめんなさい。」

静矢様と竜葵様が理玖斗に謝っている。

「顔上げて。大丈夫。琉架も助かったし、静矢や竜葵、もちろん理斗のせいでも誰のせいでもないから。」

なんて重いのだろう、と俺は思った。

まだ10歳に満たない、守られるべき小さな子供が、ひとつの命ーーひいては家族の儚い尊い命ーーをその小さな手の中に抱えているのだ。

少し違えば、自分のせいでひとつの命の未来を壊してしまう。

そんな重責に真っ向から向き合う彼らに同情するとともに尊敬した。

きっと理斗様もそんな重責なんてはねのけてしまうくらいの勢いで、静矢様と竜葵様と理玖斗たちと琉架様を守っていくのだろう

嗚呼、彼らの未来を見てみたい。



俺は彼らのもとにいることが出来ることに感謝し、期待に胸を躍らせた。