愛され末っ子

記憶がなくなる前の話

4話

藍羅サイド


「母さん！るぅが！るぅが死んじゃう！！」

竜葵の声が理斗と琉架の部屋から聞こえてきた。

子供部屋は合計５つ。
そのうち琉架が使っているのは、、

ああ！もう！家が広いと移動がめんどくさい！！

イライラして焦りながら息子たちの元へ向かう。

琉架は私たちの4人めの子供。
可愛くて私そっくり。

双子の理斗は活発でよく真似をして一緒に遊ぼうとしているけどあの子は体がおどろくほどによわい。

陽の光にも気をつけているし、毎朝の体調管理も怠っていない。

今日もそうだった。

何がいけなかったのだろうか。
何か、見落としたのだろうか。

移動しながら振り返るけれどあの子にとってどんなものでもその儚い命を奪う凶器になりうるのだからキリがない。


「琉架！」
竜葵の声が聞こえる。

静矢は理斗をなぐさめてくれていたようだ。

私が入ったら琉架は竜葵に抱き抱えられ息を荒くしていた。

よっぽど激しい運動でもしていたのだろうか。
でも静矢やましてや私たちよりもこの子たちを溺愛している竜葵がいたんですもの。

まぁ、この子は不器用すぎてうまくいってないのだけれど。

まぁそこが微笑ましい。

ってそうじゃなくて。

竜葵から琉架を預かる。
内心、焦りまくっているけれどこの子たちを不安にさせないために琉架に優しく声をかける。

「っあぁ～るぅ、気持ち悪いのね？大丈夫よ。一緒に病院行きましょう？」

そういうと少しこちらを見てくれたけれどすぐに焦点が合わなくなっていく。

瞼がゆっくり閉じていく。
息も上がったままだ。

「るぅ！琉架！！ママを見て！寝ちゃダメ！！」

私の決死の願いも虚しく琉架の瞳は閉じられてしまった。

「ッ佐々木！今すぐ香月先生を呼んで！早くッ！」

それから屋敷中が大騒ぎだった。

バタバタと理斗と一緒ではない琉架専用の部屋を調整して琉架を寝かせる。