157 / 293
第4章 燔祭
御子神様 2
しおりを挟む
早朝の『森ノ部の郷』一宮境内は、避難中であるにも関わらず賑やかだ。郷のほぼ全員、三百名余りの人々が、レスキューの炊き出しに列を作り、食事を受け取った者から順に、境内のあちこちで食事を始めている。広く作られているとはいえ、この人数にはやや手狭である事は否めない。(境内とはいえ元々、郷の集会場的な場所で、祭り会場や宴会などにも利用される公園を兼ねている)
ヘリコプター(時空間制御機能を持つが、気流コントロールや、時空間制御に影響が出やすいPSID災害地区での活動の為、回転翼が補助的に付随している。その外観から『ヘリコプター』の名称が使われている)からの、レスキュー隊降下から始まり、ものの十数分ばかりで、朝食の炊き出しが始まったのは、娯楽の少ない郷では、お祭りさながらのちょっとしたイベントとなった。
IN-PSID から派遣された救援チームも、レスキュー隊に続きヘリから降下して、境内の端の方で、救護テントの設営、診察ブースの開設を終え、救援活動を始めていた。
ポツポツとIN-PSID のテントにも受診者が訪れる。食事時なのも手伝ってか、閑散としたものだ。
「はい、大丈夫ですよ」
秦野は、サポートアンドロイドを助手にして、ここに避難してくる途中、小枝で腕を怪我したという子どもの手当を手早く済ませる。母子は、軽く礼を述べるとレスキューの炊き出しの方へと向かっていった。
「……これ、来る意味あったっすかねぇ……」
境内を見渡し、若い医師はボヤいた。
レスキューの炊き出しで、朝食を楽しむ郷の者達は、和気あいあいと盛り上がっている。重傷者やPSI シンドロームの気配は微塵もない。
「ピクニックっスよ、こりゃ……」溜息を漏らす若い医師に、神取は苦笑で返す。
「PSIシンドロームは、急性でない限り、表面上、症状が見えにくい場合の方が、むしろ多い。油断は禁物です」「え……ええ、わかってます、わかってますよ、ははは」
「あ……あのぅ……」秦野は、背後から声をかけられ、苦笑の顔のまま咄嗟に振り返った。
声をかけてきたのは、三十代前半ほどの子連れの女性だった。炊き出しでもらってきたのであろう、弁当を三つ、手にしていた。
子供の方は、大きめの野球帽とマスクで顔がよく見えない。
「は、はい!あ、どうぞどうぞ」若い医師は、取り繕うように二人を招き入れる。
「もう……なんて事ないよ」母親の影に隠れ、少年は尻込みする少年に、神取は奇妙な感覚を覚えた。
「そう?……でもぉ」母親は、戸惑いながらも、「す、すみません……やっぱり大丈夫みたいなので……」と踵を返そうとした。秦野も、「はあ、そうですか……」と、手を振る子供に、手振りで返しながら、力なく二人を見送っていた。
「お待ちなさい」
不意に放たれた、神取の研ぎ澄まされた言葉の刃が、親子の足を止める。
振り向いた子供の瞳が、神取をじっと見詰めかえす。一瞬、意識の惑いを感じた神取は、努めて声を張る。
「その子をこちらに」「は、はぁ……」
息子と神取の顔を見比べながら、戸惑いを見せる母親。
「さあ、早く!」神取は、更に語気を強めて促す。
「か……神取先生?」秦野は、神取の声に目を丸める。
「……ふふ。この先生……」「えっ……ちょ、ちょっと……」
狼狽える母親の陰から、先程までとはすっかり態度を一変させた少年が、歩み出てきた。
「さ、サク!」
呼び止める母に構う事なく、少年は神取の前に立つ。マスクの下でニッコリと笑みを浮かべているようだ。
「……私に、微笑む必要はありませんよ」
神取は、少年を見下ろしたまま、微動だにしない。
「……そのようだね」
少年のマスクと帽子の間から覗く両眼から、笑みが消える。
「先生には……これ、わかるのかな?」
徐に少年は、マスクと帽子をとる。
「こ……これは!?」真っ先に、秦野が声を上げ、神取の細目が見開く。
少年の顔には、幾筋もの赤黒く紋様のような痣が浮かび上がっていた。よく見れば、顔だけではない。その痣は、首を伝って身体中に拡がっている事は容易に推測できた。
身体には、『気』が巡る『経絡』があるとされる。神取は、その痣がほぼ『経路』に沿って走っていることを瞬時に見抜いていた。
「まずはこちらへ」救護テントの奥へと招き入れると、神取は秦野をまるで助手のように使い、PSI医療診察機器を準備させた。
「……気づいたのは、さっき。頂いた朝食を食べようとしていた時……咲磨が、顔を隠して、マスクを外すのを嫌がるので、無理にとってみたら……」
付き添う母親がいつからと問いただすと、咲磨と呼ばれた少年は、地震の直後から、少しずつ出始めていたのに気づいていた事を、しぶしぶ認めたという。
「本当はね。小さいのは、時々、出ることがあったんだ……でも、いつもすぐに消えちゃうから。今日もすぐ消えると思ってたんだけどね」穏やかな笑みをこぼしながら、少年は語った。朝の草原のような、爽やかな咲磨の笑みには、神取も自然と心が和む。
だが、この少年が発する穏やかな気質に、神取は違和感を覚えていた。
「なるほど。今回の地震はPSID、つまりPSI特性災害だと判明してきています。PSIシンドロームの可能性もないとは言い切れませんね」
「PSIシンドローム!?」母親は、顔を覆って狼狽する。
PSIシンドロームは、インナースペースから心身に何らかの『現象化』作用をもたらす事によって発生することはわかってきている。だが、発症の仕方は、個人によって様々であり、"万人に効く"治療法は未だ確立できていない。(その為、IN-PSIDでは、PSIクラフトによるインナーミッションに希望を託しているわけではあるが)一般的には、治療法が見出されていない難病で、最悪、死に至るケースもあるという認識だった。
「だ、大丈夫ですよ!お母さん!可能性の話です!それにPSIシンドロームだったとしても、適切なケアをしていけば、症例も軽く抑えられ、支障なく社会生活出来ている人も沢山いるので!と、とにかく検査を」
秦野は、手振りで神取に「ストレートに言わないで」と忠告しながら、咲磨を検査機器へと誘導する。
「ああ……サク……」
「とりあえず、こちらに記入を」神取は、タブレットに問診票を表示させ、母親に渡す。
「イン……サイド?」問診票に表示された、「IN-PSID」の表記に戸惑う母親。
「ええ、ご存知ありませんか?」「い……いえ、名前くらいは……でも……」
国連機関であるにもかかわらず、IN-PSIDは、国内での評判は、二十年前の大震災の発端となった、JPSIO水織川研究センターとの関係や、研究内容の秘匿性が高いなど、批判の矛先を向けられることも多い。
一方で、PSI医療の水準の高さは、評価されてはいるものの、国内外の富裕層の利用などが報じられたこともあり、いつしかIN-PSIDにかかるには、高額な医療費が必要などの噂が、巷には広まっていた。
「ご安心を。この診察は無料です。それに我々の医療を受ける事になっても、法外な請求はありませんので」咲磨の検査にあたっている秦野が、母親の様子に気づいて、明るく声を掛けてくる。
「……私も実は、外部の人間なのですが。IN-PSID の医療技術は抜きん出ています。噂は噂です」
神取の心を見透かすような視線に、母は思わず首をすくめ問診票の記入を手早く進めた。
問診票の記入が終わる頃、検査機がデータサンプリングの終了を伝える無機質な電子音を鳴らす。
「もういいよ」秦野が促すと咲磨は、ニッコリ微笑み、母の元へと駆け戻った。
ただちにサンプリング結果が、救護ブースに置かれたモニターに表示される。
「神取先生、この反応は……」「ええ……」
ヘリコプター(時空間制御機能を持つが、気流コントロールや、時空間制御に影響が出やすいPSID災害地区での活動の為、回転翼が補助的に付随している。その外観から『ヘリコプター』の名称が使われている)からの、レスキュー隊降下から始まり、ものの十数分ばかりで、朝食の炊き出しが始まったのは、娯楽の少ない郷では、お祭りさながらのちょっとしたイベントとなった。
IN-PSID から派遣された救援チームも、レスキュー隊に続きヘリから降下して、境内の端の方で、救護テントの設営、診察ブースの開設を終え、救援活動を始めていた。
ポツポツとIN-PSID のテントにも受診者が訪れる。食事時なのも手伝ってか、閑散としたものだ。
「はい、大丈夫ですよ」
秦野は、サポートアンドロイドを助手にして、ここに避難してくる途中、小枝で腕を怪我したという子どもの手当を手早く済ませる。母子は、軽く礼を述べるとレスキューの炊き出しの方へと向かっていった。
「……これ、来る意味あったっすかねぇ……」
境内を見渡し、若い医師はボヤいた。
レスキューの炊き出しで、朝食を楽しむ郷の者達は、和気あいあいと盛り上がっている。重傷者やPSI シンドロームの気配は微塵もない。
「ピクニックっスよ、こりゃ……」溜息を漏らす若い医師に、神取は苦笑で返す。
「PSIシンドロームは、急性でない限り、表面上、症状が見えにくい場合の方が、むしろ多い。油断は禁物です」「え……ええ、わかってます、わかってますよ、ははは」
「あ……あのぅ……」秦野は、背後から声をかけられ、苦笑の顔のまま咄嗟に振り返った。
声をかけてきたのは、三十代前半ほどの子連れの女性だった。炊き出しでもらってきたのであろう、弁当を三つ、手にしていた。
子供の方は、大きめの野球帽とマスクで顔がよく見えない。
「は、はい!あ、どうぞどうぞ」若い医師は、取り繕うように二人を招き入れる。
「もう……なんて事ないよ」母親の影に隠れ、少年は尻込みする少年に、神取は奇妙な感覚を覚えた。
「そう?……でもぉ」母親は、戸惑いながらも、「す、すみません……やっぱり大丈夫みたいなので……」と踵を返そうとした。秦野も、「はあ、そうですか……」と、手を振る子供に、手振りで返しながら、力なく二人を見送っていた。
「お待ちなさい」
不意に放たれた、神取の研ぎ澄まされた言葉の刃が、親子の足を止める。
振り向いた子供の瞳が、神取をじっと見詰めかえす。一瞬、意識の惑いを感じた神取は、努めて声を張る。
「その子をこちらに」「は、はぁ……」
息子と神取の顔を見比べながら、戸惑いを見せる母親。
「さあ、早く!」神取は、更に語気を強めて促す。
「か……神取先生?」秦野は、神取の声に目を丸める。
「……ふふ。この先生……」「えっ……ちょ、ちょっと……」
狼狽える母親の陰から、先程までとはすっかり態度を一変させた少年が、歩み出てきた。
「さ、サク!」
呼び止める母に構う事なく、少年は神取の前に立つ。マスクの下でニッコリと笑みを浮かべているようだ。
「……私に、微笑む必要はありませんよ」
神取は、少年を見下ろしたまま、微動だにしない。
「……そのようだね」
少年のマスクと帽子の間から覗く両眼から、笑みが消える。
「先生には……これ、わかるのかな?」
徐に少年は、マスクと帽子をとる。
「こ……これは!?」真っ先に、秦野が声を上げ、神取の細目が見開く。
少年の顔には、幾筋もの赤黒く紋様のような痣が浮かび上がっていた。よく見れば、顔だけではない。その痣は、首を伝って身体中に拡がっている事は容易に推測できた。
身体には、『気』が巡る『経絡』があるとされる。神取は、その痣がほぼ『経路』に沿って走っていることを瞬時に見抜いていた。
「まずはこちらへ」救護テントの奥へと招き入れると、神取は秦野をまるで助手のように使い、PSI医療診察機器を準備させた。
「……気づいたのは、さっき。頂いた朝食を食べようとしていた時……咲磨が、顔を隠して、マスクを外すのを嫌がるので、無理にとってみたら……」
付き添う母親がいつからと問いただすと、咲磨と呼ばれた少年は、地震の直後から、少しずつ出始めていたのに気づいていた事を、しぶしぶ認めたという。
「本当はね。小さいのは、時々、出ることがあったんだ……でも、いつもすぐに消えちゃうから。今日もすぐ消えると思ってたんだけどね」穏やかな笑みをこぼしながら、少年は語った。朝の草原のような、爽やかな咲磨の笑みには、神取も自然と心が和む。
だが、この少年が発する穏やかな気質に、神取は違和感を覚えていた。
「なるほど。今回の地震はPSID、つまりPSI特性災害だと判明してきています。PSIシンドロームの可能性もないとは言い切れませんね」
「PSIシンドローム!?」母親は、顔を覆って狼狽する。
PSIシンドロームは、インナースペースから心身に何らかの『現象化』作用をもたらす事によって発生することはわかってきている。だが、発症の仕方は、個人によって様々であり、"万人に効く"治療法は未だ確立できていない。(その為、IN-PSIDでは、PSIクラフトによるインナーミッションに希望を託しているわけではあるが)一般的には、治療法が見出されていない難病で、最悪、死に至るケースもあるという認識だった。
「だ、大丈夫ですよ!お母さん!可能性の話です!それにPSIシンドロームだったとしても、適切なケアをしていけば、症例も軽く抑えられ、支障なく社会生活出来ている人も沢山いるので!と、とにかく検査を」
秦野は、手振りで神取に「ストレートに言わないで」と忠告しながら、咲磨を検査機器へと誘導する。
「ああ……サク……」
「とりあえず、こちらに記入を」神取は、タブレットに問診票を表示させ、母親に渡す。
「イン……サイド?」問診票に表示された、「IN-PSID」の表記に戸惑う母親。
「ええ、ご存知ありませんか?」「い……いえ、名前くらいは……でも……」
国連機関であるにもかかわらず、IN-PSIDは、国内での評判は、二十年前の大震災の発端となった、JPSIO水織川研究センターとの関係や、研究内容の秘匿性が高いなど、批判の矛先を向けられることも多い。
一方で、PSI医療の水準の高さは、評価されてはいるものの、国内外の富裕層の利用などが報じられたこともあり、いつしかIN-PSIDにかかるには、高額な医療費が必要などの噂が、巷には広まっていた。
「ご安心を。この診察は無料です。それに我々の医療を受ける事になっても、法外な請求はありませんので」咲磨の検査にあたっている秦野が、母親の様子に気づいて、明るく声を掛けてくる。
「……私も実は、外部の人間なのですが。IN-PSID の医療技術は抜きん出ています。噂は噂です」
神取の心を見透かすような視線に、母は思わず首をすくめ問診票の記入を手早く進めた。
問診票の記入が終わる頃、検査機がデータサンプリングの終了を伝える無機質な電子音を鳴らす。
「もういいよ」秦野が促すと咲磨は、ニッコリ微笑み、母の元へと駆け戻った。
ただちにサンプリング結果が、救護ブースに置かれたモニターに表示される。
「神取先生、この反応は……」「ええ……」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。


【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる