Heavens Gate

酸性元素

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決戦編

総攻撃

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人造人間の群れは、一同に襲いかかった。
「任せた前!」
メリッサは、次々と糸でそれらを巻き取っていく。
「よっしゃあここじゃぁぁぁぁ!!」
嬉々とした顔で、ジハイドは人造人間を倒していく。
「あーーーー!」
オーガスタスは体を変化させると、勢いよく振り下ろした。
「おいおいジハイド、お前浮気か?」
ジハイドの右に、セクトが並ぶ。
「あー、お前かセクト。まあお前死んじまったしなあ。」
気まずそうにジハイドは言う。
「ひでぇなあ……まあ、久しぶりにあれやるか?」
「りょーかい!」
ジハイドとセクトは周囲を駆け回り、人造人間の群れを倒していく。
「ははははは!!いーなあこう言うのも!」
「あーあ‥‥なんで俺死んじまったんだか。」
セクトはゲラゲラと笑うジハイドの横で、残念そうに呟いた。
「よっしゃあ行くぜ大将!!」
クロロは勢いよく前に飛び出す。
「言われなくとも。」
ドレイクは彼の後ろで右手を構えた。
人造人間から砲撃が発射される。ドレイクは右手でそれを吸収し、左手で全て解き放った。
「うおおおおお!やべえやべえ死ぬ!!」
勢いよく飛び出したは良いものの、クロロは勢いを止めることができず、人造人間に激突する。
放たれた砲撃は、前に貼られた盾によってガードされた。
「何してんのさアンタ。」
シルビアはため息をつきつつ、刃を発射する。
「ケイン.クロシキ。行け!」
ギルゼウスは触手を伸ばして足場を作り出す。ケイン達はその上に乗り、前へと走る。
「いててて……。」
地面に転がったクロロは起き上がる。
「ったく、しっかりしろよ。」
何者かが、彼に手を差し伸べる。
「あんたな……」
「久しぶりだな、クロロ。」
姿形が変わっても、彼にはわかった。グウェルガンド。自身の兄だった。
「兄貴ぃ……!」
クロロの両目から涙が溢れる。
「寂しくさせてごめんな。……よし、いっちょやろうぜ!」
兄弟は同時に前に飛び出した。
切り刻むクロロフォート、破壊するグウェルガンド。両者の攻撃が周囲を巻き込んでいく。
「強くなったな、クロロ。」
「そーいう兄貴は変わらねえな。」
兄弟は拳を合わせた。
「よーし、行くよメルク!」
「まーた姉さんは飛び出すんだから……」
ベロニカとメルケルは武器を入れ替えながら敵を気を刻む。
「はい避けて避けてー。」
2人は右に避ける。するとその直後、アルスによって投げられた槍が、辺り一面を吹き飛ばした。
「………来るか、あいつら。」
グウェルガンドはポツリと呟く。
「ひゃっはっは!Wildに行こうぜ!」
電撃が巻き起こる。
「風の斬撃……食らいな!」
風の刃が周囲に巻き起こる。
「さて……今一度協力するとしよう。」
メルディベールは上に両手を構える。
その上空から、魔力が解き放たれた。
地を揺らし、天を裂く。その一撃は、全てを灰へと変えた。
「龍くん、久しぶり。」
龍の隣に、何者かが立つ。
「サリサさん、行きましょう。」
彼はその名を呼んだ。
雷撃の斧ケラウノス!」
2人はそれぞれ斧を取り出し、勢いよく振り下ろした。
「えーと……自分は何をすれば……」
エズラはセシルに問う。
「あー……そうだな、取り敢えず魔能力撃て!」
彼はセシルに言われるがまま、無我夢中で魔能力を放つ。
彼の右手から飛び出した刃が、人造人間の体を両断した。
「おおっ!やっぱすげえのか俺!」
「ん?なんか言ったか?」
彼を振り返ったセシルは、凄まじい速度で敵を倒して行っていた。
「あっ……いや…なんでも……」
自身との余りの戦績の差に、エズラは肩を落とした。
「よーし……やりますよ師匠!」
「テンション高えなあお前……ま、それが良いんだが。」
アンナとアンは、凄まじい速度で弾幕を放つ。
弓と弾、交差するそれらは、敵を一瞬のうちに殲滅させた。
「じゃ、いつものバフ行くよー。」
セシルとレナは、魔能力を発動する。
周囲の人間の感覚と身体能力が著しく向上する。
「よーし、やりますかあ。」
ゾルダはボリボリと頭を掻くと、妖精たちを両手に集める。
「じゃ、いってらっしゃい。」
凄まじい爆発が巻き起こり、あたりに揺れを起こした。
そして光の道を作り出し、ケイン達の為の足場を作った。

「全く、相変わらずじゃのう、シャーロット。」
シャーロットの頭上から声がする。見ると、紛れもなくヴァイオレットだった。
「お前なあ……こいつまで呼び出したのかよ。」
シャーロットはケインにため息をつく。
「なんじゃその言い方は!!協力してやらないもんねー!」
ムスッと頬を膨らませ、ヴァイオレットはそっぽを巻いてしまった。
「あー……すまんすまん。謝るから、な?」
「ふふふふ……謝らせたぞこいつにぃぃぃ!!はい我の勝ちー!」
何やら珍妙な動きを取り、ヴァイオレットは彼女を煽った。
「お前そんなキャラだったのかよ……」
シャーロットは目を細めた。
「それでは……行くぞ!」
ヴァイオレットの右手から、血液の塊が放たれる。
それらは氷のようにあたりを押し固め、人造人間の群れをその場に固定させた。
「行け!お前の決着をつけてみろ!」
ヴァイオレットは彼らに背中を向けた。
「へっ……素直じゃない奴。」
シャーロットが彼女の方を向くことはなかった。

「さてさて……久しぶりだな、黒式。」
「げっ!お前かよ。」
頼昌の登場に、ケインは顔を顰める。
「んな顔すんなって……ま、ここは俺らが開ける。」
頼昌は矢を解き放ち、人造人間の内部を捉える。
「よし、行くぜノーマン。」
ノーマンを強制的に連れてきた生肖は、敵の大群を次々と殴り飛ばしていく。
「あーもー…なんでこーなるし。」
ノーマンはさも面倒そうに頭を掻くと、刀を取り出し、敵を凄まじい速度で切っていった。
「よーしよしよし……いー感じだね。」
リリッシュは人造人間を改造し、巨大な怪物を作り出す。
「神よ!神よ神よ神よ!!我の為に……戦いたまえ!」
ジョージは十字架を振り回し、周囲の敵を吹き飛ばしていく。
「はっはあ!こんなバケモンをぶん殴れるたあ夢にも思わなかったぜ!」
ビスケットは全身からカッターを取り出し、人造人間の体を削り取る。
「メリッサ、行くよ。」
「わかっています、兄様。」
グレゴリオとメリッサは背中を合わせ、魔能力を解き放った。
無限の兵が、無限の糸の上を駆け上がり、次々と人造人間を倒していく。
「ちょいと失礼するぜー?」
エイブラハムはスケートボードを乗り回し、辺りを駆け回りながら敵を倒す。
「めんどくさいなあ…ほんと。
デニングはあくびをしつつ、魔能力を発動する。
「…ん?あれは僕……」
レドは、デニングの呼び出したものをまじまじと見る。
それは、紛れもなくレド自身だった。
彼の呼びだしたレドは砲撃を放ち、人造人間を吹き飛ばした。
「拳デ語ル……!」
アイルアドラは地面に拳を叩きつけ、その衝撃で敵を全て塵へと変える。
「さっさとやるぞ底辺マフィア。」
「こっちのセリフだエセ吸血鬼。」
ヴィルヘルムとアンドレアは、背中を合わせて互いの魔能力を発動した。
「さて……私も加勢するとしよう。
死の槍ロンギヌス!」
ベクターは右手を上に上げ、巨大な槍を解き放った。
「ったく……また俺のコピーかよ。」
シャーロットは、満足げな表情で笑った。

「花織ちゃーん、久しぶりやなー。」
貞能はひょいと顔を出す。
「げっ!貴方ですか。」
花織は彼から一歩距離を置いた。
「よし、ケイン。ここらは俺たちが道を……」
サスケが刀を取り出したその時、後方から何者かが着地した。
「またあったな、黒式。」
それは、紛れもなく武蔵だった。
「おう、久しぶり。」
淡白なケインの返しに、武蔵はフッと笑う。
「では……行くぞ!」
武蔵の号令と同時に、ケインは前へと飛び出した。
武蔵とケインは、次々と敵を切っていく。
「ふぅ……ははは!こういうのも悪くねえなあ!」
ケインの言葉に、武蔵は同意するように笑い返す。
「とはいえいつまでもこうしているわけにもいかん……行くといい。」
武蔵は前を指差した。
ケイン達はそのまま走って行った。
彼らが進んだ先には、巨大な球場のドームが形成されていた。
「よ、またあったな。ここは俺が切り開く。」
アダムは、一同にそう言うと、球の前に群がる人造人間を吹き飛ばした。
「じゃ、ここらで俺たちもいくぞ。」
「ええ。」
「はい。」
「わかってるよ。」
シャーロットの言葉に、レド、花織、クレアは同意する。
4人の一撃は、球を完全に破壊した。
「行け、ケイン。死人の俺たちじゃだめだ。お前じゃないといけない。」
ケインは空いた穴に入っていく。
残った4人は、彼に向けて穴の入り口から手を振った。
「………これで良かったんですか?」
レドは、クレアに問う。
「ああ、良いんだよ。私はね。」
彼女は一切曇りのない目で答える。
「そうですか……まあ、そんな別れも良いですかね。」

球の中は、暗闇だった。
ケインは手探りで壁を探す。すると、突然明かりがつき、その中に立つフラメルが、彼を迎え入れた。
「ここが、天界と現実世界を直接つなげる装置。私を倒さねば、これは破壊も停止も不可能だ。
さあ、来い!人類の、世界の希望よ!!」
ケインは一歩、一歩と距離を詰め、フラメルに拳を振るう。
彼もまた、それに応えるように、ケインに向けて拳を振るう。
互いの拳は、互いの顔面に同時に叩き込まれた。
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