114 / 133
剣豪編
誰のために
しおりを挟む
「くそ…この野郎…オラァ!」
サスケは勢いよく結界に拳を振る。
だが、結界にあたるはずだった彼の拳は空を切り、サスケはバランスを崩した。
「ぐぇぇぇ!痛ってえええええ……!ん?結界が解けてる!」
「よ、待たせたな。」
その場に蹲るサスケの元に、何処からか現れたケインは駆け寄った。
「あれ?ケインお前…なんとかアイツを撒いたのか?」
「ああ、いや。俺が倒した。」
「は?」
ありえない。アレほどの怪物を打倒したと言うのか?
そうだ、よく見てみればこの男、明らかに雰囲気が違う。それも決定的なまでに。サスケはケインに、底しれない恐怖を抱き、一歩後退った。
「さーてさてさて…さっさと解放しちまおーぜ、こいつ。」
ケインは軽快な口調で花織を指さした。
「お前…本当にケインか?」
「あーそうだが?まあ…なんだ?色々と吹っ切れたっつー奴?自分勝手に他人を助けようっつー気概が身についたっつーか…まあいーのいーのそう言う細かいとこは!」
「………」
そうか、お前は行ってしまったんだな、そこに。どこかせつなげな表情で、サスケはケインを見る。
「…!」
すると、突然巨大な揺れが起こる。
「お…ごごごごご…」
周囲の怪物たちがうめき声を上げていく。
「なんだ?」
「これは…まずい、離れた前!」
クレアが叫び、その場にいた全員は怪物から距離を取る。
その直後、怪物たちの体が膨張し、何者かに吸収されるかのように、その体が消失を始めた。
「これは…!」
一同は、怪物たちの体の向かう方向に視線を移す。
バキバキ、と屋根を破壊し、巨大な何者かが咆哮を上げる。
その姿は、巨大な首を8つ持つ蛇だった。
「これは…八岐大蛇かいな!羽咲……やりおったな!」
貞能は舌打ちをする。
「なるほど…最後の保険というわけか!」
クレアは笑みを浮かべつつ、八岐大蛇に向けて銃撃を乱射した。だが、その銃撃は、全て魔力の壁に相殺されてしまった。
「まずい……これ街に向かいますよ。」
レドはシャーロットに視線を移す。
「おいおい、俺にやれってのか?あの壁に俺の魔法が一瞬でも阻まれたら、それが周囲に散って更に被害出るぞ?」
彼女は腕を組みながら答える。
魔力感知に疎いレドでさえも、目の前の怪物の放つ魔力を感じ取ることができた。これを野放しにするわけにはいかない。
何か、有効な手段はないのだろうか……
「オラァ!」
八岐大蛇はケインに蹴り飛ばされる。だが、それは吹き飛ばされる事もなく、即座に反撃を繰り出した。
「うーん…吸い込んどこ!」
八岐大蛇の真上に穴が空き、周囲のものを吸い込み始める。
「ケイン氏…なのか?」
クレアはゴクリと息を呑む。
「あいつ…化けたな。」
シャーロットは、満足げな表情を浮かべる。
だが、レドの表情は一才変わる事はなかった。
「……ダメだ、あれじゃ。」
八岐大蛇は、その膨大な重力を意にも介さず、ケインに牙を突き立てた。
「うお?!」
彼は咄嗟にガードをとり、牙を受け止める。
「コンニャロ…どうすっかな…これ以上被害出すのもなあ…」
腕の怪我を治療しつつ、ケインは独り言を漏らす。
「天叢雲剣やないとあかん。」
貞能がポロリと口に出した言葉を耳にした一同は、一斉に後ろを向く。
「おいどう言うことだ?」
「ようは花織ちゃんやないとあかんねん。あの娘、天叢雲剣の力を吸収しとる。」
ケインは花織の元へと走り出した。
「あ、おいケイン!」
シャーロットの声にも耳を貸さず、地下室へと彼は飛び込んだ。
「おい、花織。起きろ。今八岐大蛇とか言う奴が出てやがる。」
ケインは花織についた鎖を解き、しゃがみ込むと、彼女の肩を擦った。
「私…は……良いんです。どうせ今回も力になれない。足手纏いになる。私がいなくても…」
「ばーか。お前を足手纏いだと思った事なんかねえよ。
お前が俺の前で泣いたあの日から、ずっとお前は俺の仲間だ。信じるぞ、花織。俺はお前を信じてみせる。俺の為に、お前を信じる。
だから立て。立って戦え。」
「……」
「んじゃ、待ってるからな。」
ケインはそう言うと、地下室の壁に開いた穴から出ていった。
「誰かに嘘をついて、誰かに助けられて、その人生の繰り返しだった。私が誰かを救った事なんかない。……なのに、私に何が…」
「それは違います、花織様。」
サスケは花織の前に座る。
「…?」
「貴方は多くの人を救ってきた。貴方の優しさが、ケインを、そして俺を救ってきた。
俺は貴方が何も救わないなんて事は許さない。これは使える身としてでの意見ではなく、俺個人の意見です。貴方が人々を救ってきたから、こうして多くの人が突き動かされた。
貴方はもう、人に優しくいる以外に生き方なんかないんだ。
だから、これからも救い続けなきゃいけない。
嘘をついていようが、助けられようが、そんな事は知った事じゃない。立ち上がれ、玄式花織!貴方が兄に憧れたその時から、これは決まったことなんだ!貴方の使命は他でもない!その優しさだ。」
花織はヨロヨロと立ち上がる。
刀を手に取り、飛び上がる。
どうすれば良いかなんてわからない。だけど、これだけは本当だ。私は、人を救いたい。誰かの為に生き続けたい。
彼が自分の為に人を救うなら、他人のために人を救って見せる。
突然飛び込んできた花織によって、ドゴン、と八岐大蛇は後ろへ倒される。
「グオオオオオオオオ!」
八岐大蛇は体勢を立て直し、彼女へと突進した。
咄嗟に彼女はその攻撃を受け止め、そのまま住宅街へと吹き飛ばされた。
「くっ…!」
既に彼女は満身創痍。本来立つ余裕すらない体である。
「待て待て、下がってな。」
何者かが、彼女の肩に手を置いた。
「…?」
修道服を着た女。そして、白衣を身に包んだ女、猫背の少年。そして、黒髪で長身の男。その4人が立っていた。
「ドラゴンクロウ、ここに揃ったな。」
シャーロットの言葉に続くように、一同は武器を構える。
「レドとクレアは防壁を貼れ。俺とケインはこいつを足止めする。
花織、トドメは任せたぞ。」
一同は一斉に飛び出した。
花織はそれに続くように、刀を引き抜く。
『不思議な気分だ……なんだろう、この感覚。』
レドとクレアは防壁を展開しつつ、両脇から砲撃を放つ。
視界を塞がれた八岐大蛇はその場を蠢き始める。
「よっしゃ、行くぞケイン!」
「はいよ!」
ケインの黒い質量の玉、そしてシャーロットの白い魔能力の玉が、空中でぶつかり合った。シャーロットの巨大な爆風をケインの魔能力が吸収し、その衝撃のみを八岐大蛇に伝える。天体規模にまで膨れ上がったその衝撃に、八岐大蛇は硬直する。
「行け!花織!」
ケインの指示が聞こえると同時に、花織は前に飛び出した。
「花織ちゃん…それの正体…分かっとんのやろ?それでも進むんやな…実の父を手にかけてでも進むんやな。
あーあ、叶わんわ、俺には。」
貞能は肩をすくめ、独り言を呟いた。
花織は刀を振り下ろす。8つの首を、一度に斬る。
だが、8つの首は彼女が魔能力を発動する直前に、防壁を展開してしまった。
これでは、斬る過程を飛ばせない。途中で阻まれてしまう。
だが、進む。ここで辞めたらいけない。そんな気がする。
彼女はそれでも刃を振るう。それしか彼女に残されていないのだから。
すると、その視界に変化が訪れた。本来彼女が魔能力を発動する場合、斬り始めてから斬り終わるまでの意識は無い。だが、静止した世界の中で、彼女は未だ意識を保っていたのである。
ウジャトの魔眼…
あらゆるものを見通し、介入不可能な領域への介入も可能とする。即ち、飛ばした過程にでさえも介入ができると言うこと。
天叢雲剣による魔力に乗せられ、彼女の潜在能力が覚醒した。
「玄式流.洛陽臨月.朧の舞。」
天叢雲剣の魔力を得た彼女が成せる技。削る斬撃と、聖なる魔力を合わせた、感知、干渉が不可能な一閃。
花織は体重を刀に乗せ、8つの首を全て切断した。
「さようなら…お父様。」
天を見上げながら、花織はポツリと呟いた。
そうして、いよいよ玄式は解体された。
貞能は連行される前にどこかに行ってしまった。
ただ、
『またどこかで会いましょ』
などと言う置き手紙が用意されていたので、元気でやれそうな気はする。
サスケは、忍者をやめて普通の社会人として生きるのだそう。
「だってぶっちゃけ忍者とかしんどいかったし…あ、連絡先来れな。」
ちゃっかり渡された電話番号は使い道があるのだろうか、と思いながらも、ポケットにしまった。
「ケインさん…その、嬉しかったです。あの時の言葉。」
帰りの飛行機で、花織は俺に照れくさそうな顔で言った。
「あ?……なんだってそれ。」
覚えていなかったのでそう答えた。
すると突然彼女は刀を抜き、俺の首元へと振り上げた。
「おいおいおい…ちょっと待てってこの野郎!うわあああ!」
他の乗客の冷めた目線はなんのその、キャビンアペンダントに注意されるまで、俺たちはしばらくもみくちゃになっていた。
サスケは勢いよく結界に拳を振る。
だが、結界にあたるはずだった彼の拳は空を切り、サスケはバランスを崩した。
「ぐぇぇぇ!痛ってえええええ……!ん?結界が解けてる!」
「よ、待たせたな。」
その場に蹲るサスケの元に、何処からか現れたケインは駆け寄った。
「あれ?ケインお前…なんとかアイツを撒いたのか?」
「ああ、いや。俺が倒した。」
「は?」
ありえない。アレほどの怪物を打倒したと言うのか?
そうだ、よく見てみればこの男、明らかに雰囲気が違う。それも決定的なまでに。サスケはケインに、底しれない恐怖を抱き、一歩後退った。
「さーてさてさて…さっさと解放しちまおーぜ、こいつ。」
ケインは軽快な口調で花織を指さした。
「お前…本当にケインか?」
「あーそうだが?まあ…なんだ?色々と吹っ切れたっつー奴?自分勝手に他人を助けようっつー気概が身についたっつーか…まあいーのいーのそう言う細かいとこは!」
「………」
そうか、お前は行ってしまったんだな、そこに。どこかせつなげな表情で、サスケはケインを見る。
「…!」
すると、突然巨大な揺れが起こる。
「お…ごごごごご…」
周囲の怪物たちがうめき声を上げていく。
「なんだ?」
「これは…まずい、離れた前!」
クレアが叫び、その場にいた全員は怪物から距離を取る。
その直後、怪物たちの体が膨張し、何者かに吸収されるかのように、その体が消失を始めた。
「これは…!」
一同は、怪物たちの体の向かう方向に視線を移す。
バキバキ、と屋根を破壊し、巨大な何者かが咆哮を上げる。
その姿は、巨大な首を8つ持つ蛇だった。
「これは…八岐大蛇かいな!羽咲……やりおったな!」
貞能は舌打ちをする。
「なるほど…最後の保険というわけか!」
クレアは笑みを浮かべつつ、八岐大蛇に向けて銃撃を乱射した。だが、その銃撃は、全て魔力の壁に相殺されてしまった。
「まずい……これ街に向かいますよ。」
レドはシャーロットに視線を移す。
「おいおい、俺にやれってのか?あの壁に俺の魔法が一瞬でも阻まれたら、それが周囲に散って更に被害出るぞ?」
彼女は腕を組みながら答える。
魔力感知に疎いレドでさえも、目の前の怪物の放つ魔力を感じ取ることができた。これを野放しにするわけにはいかない。
何か、有効な手段はないのだろうか……
「オラァ!」
八岐大蛇はケインに蹴り飛ばされる。だが、それは吹き飛ばされる事もなく、即座に反撃を繰り出した。
「うーん…吸い込んどこ!」
八岐大蛇の真上に穴が空き、周囲のものを吸い込み始める。
「ケイン氏…なのか?」
クレアはゴクリと息を呑む。
「あいつ…化けたな。」
シャーロットは、満足げな表情を浮かべる。
だが、レドの表情は一才変わる事はなかった。
「……ダメだ、あれじゃ。」
八岐大蛇は、その膨大な重力を意にも介さず、ケインに牙を突き立てた。
「うお?!」
彼は咄嗟にガードをとり、牙を受け止める。
「コンニャロ…どうすっかな…これ以上被害出すのもなあ…」
腕の怪我を治療しつつ、ケインは独り言を漏らす。
「天叢雲剣やないとあかん。」
貞能がポロリと口に出した言葉を耳にした一同は、一斉に後ろを向く。
「おいどう言うことだ?」
「ようは花織ちゃんやないとあかんねん。あの娘、天叢雲剣の力を吸収しとる。」
ケインは花織の元へと走り出した。
「あ、おいケイン!」
シャーロットの声にも耳を貸さず、地下室へと彼は飛び込んだ。
「おい、花織。起きろ。今八岐大蛇とか言う奴が出てやがる。」
ケインは花織についた鎖を解き、しゃがみ込むと、彼女の肩を擦った。
「私…は……良いんです。どうせ今回も力になれない。足手纏いになる。私がいなくても…」
「ばーか。お前を足手纏いだと思った事なんかねえよ。
お前が俺の前で泣いたあの日から、ずっとお前は俺の仲間だ。信じるぞ、花織。俺はお前を信じてみせる。俺の為に、お前を信じる。
だから立て。立って戦え。」
「……」
「んじゃ、待ってるからな。」
ケインはそう言うと、地下室の壁に開いた穴から出ていった。
「誰かに嘘をついて、誰かに助けられて、その人生の繰り返しだった。私が誰かを救った事なんかない。……なのに、私に何が…」
「それは違います、花織様。」
サスケは花織の前に座る。
「…?」
「貴方は多くの人を救ってきた。貴方の優しさが、ケインを、そして俺を救ってきた。
俺は貴方が何も救わないなんて事は許さない。これは使える身としてでの意見ではなく、俺個人の意見です。貴方が人々を救ってきたから、こうして多くの人が突き動かされた。
貴方はもう、人に優しくいる以外に生き方なんかないんだ。
だから、これからも救い続けなきゃいけない。
嘘をついていようが、助けられようが、そんな事は知った事じゃない。立ち上がれ、玄式花織!貴方が兄に憧れたその時から、これは決まったことなんだ!貴方の使命は他でもない!その優しさだ。」
花織はヨロヨロと立ち上がる。
刀を手に取り、飛び上がる。
どうすれば良いかなんてわからない。だけど、これだけは本当だ。私は、人を救いたい。誰かの為に生き続けたい。
彼が自分の為に人を救うなら、他人のために人を救って見せる。
突然飛び込んできた花織によって、ドゴン、と八岐大蛇は後ろへ倒される。
「グオオオオオオオオ!」
八岐大蛇は体勢を立て直し、彼女へと突進した。
咄嗟に彼女はその攻撃を受け止め、そのまま住宅街へと吹き飛ばされた。
「くっ…!」
既に彼女は満身創痍。本来立つ余裕すらない体である。
「待て待て、下がってな。」
何者かが、彼女の肩に手を置いた。
「…?」
修道服を着た女。そして、白衣を身に包んだ女、猫背の少年。そして、黒髪で長身の男。その4人が立っていた。
「ドラゴンクロウ、ここに揃ったな。」
シャーロットの言葉に続くように、一同は武器を構える。
「レドとクレアは防壁を貼れ。俺とケインはこいつを足止めする。
花織、トドメは任せたぞ。」
一同は一斉に飛び出した。
花織はそれに続くように、刀を引き抜く。
『不思議な気分だ……なんだろう、この感覚。』
レドとクレアは防壁を展開しつつ、両脇から砲撃を放つ。
視界を塞がれた八岐大蛇はその場を蠢き始める。
「よっしゃ、行くぞケイン!」
「はいよ!」
ケインの黒い質量の玉、そしてシャーロットの白い魔能力の玉が、空中でぶつかり合った。シャーロットの巨大な爆風をケインの魔能力が吸収し、その衝撃のみを八岐大蛇に伝える。天体規模にまで膨れ上がったその衝撃に、八岐大蛇は硬直する。
「行け!花織!」
ケインの指示が聞こえると同時に、花織は前に飛び出した。
「花織ちゃん…それの正体…分かっとんのやろ?それでも進むんやな…実の父を手にかけてでも進むんやな。
あーあ、叶わんわ、俺には。」
貞能は肩をすくめ、独り言を呟いた。
花織は刀を振り下ろす。8つの首を、一度に斬る。
だが、8つの首は彼女が魔能力を発動する直前に、防壁を展開してしまった。
これでは、斬る過程を飛ばせない。途中で阻まれてしまう。
だが、進む。ここで辞めたらいけない。そんな気がする。
彼女はそれでも刃を振るう。それしか彼女に残されていないのだから。
すると、その視界に変化が訪れた。本来彼女が魔能力を発動する場合、斬り始めてから斬り終わるまでの意識は無い。だが、静止した世界の中で、彼女は未だ意識を保っていたのである。
ウジャトの魔眼…
あらゆるものを見通し、介入不可能な領域への介入も可能とする。即ち、飛ばした過程にでさえも介入ができると言うこと。
天叢雲剣による魔力に乗せられ、彼女の潜在能力が覚醒した。
「玄式流.洛陽臨月.朧の舞。」
天叢雲剣の魔力を得た彼女が成せる技。削る斬撃と、聖なる魔力を合わせた、感知、干渉が不可能な一閃。
花織は体重を刀に乗せ、8つの首を全て切断した。
「さようなら…お父様。」
天を見上げながら、花織はポツリと呟いた。
そうして、いよいよ玄式は解体された。
貞能は連行される前にどこかに行ってしまった。
ただ、
『またどこかで会いましょ』
などと言う置き手紙が用意されていたので、元気でやれそうな気はする。
サスケは、忍者をやめて普通の社会人として生きるのだそう。
「だってぶっちゃけ忍者とかしんどいかったし…あ、連絡先来れな。」
ちゃっかり渡された電話番号は使い道があるのだろうか、と思いながらも、ポケットにしまった。
「ケインさん…その、嬉しかったです。あの時の言葉。」
帰りの飛行機で、花織は俺に照れくさそうな顔で言った。
「あ?……なんだってそれ。」
覚えていなかったのでそう答えた。
すると突然彼女は刀を抜き、俺の首元へと振り上げた。
「おいおいおい…ちょっと待てってこの野郎!うわあああ!」
他の乗客の冷めた目線はなんのその、キャビンアペンダントに注意されるまで、俺たちはしばらくもみくちゃになっていた。
0
なろう版https://ncode.syosetu.com/n0704io/?p=2カクヨム版https://kakuyomu.jp/works/16817330669013450484
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ハズレ召喚として追放されたボクは、拡大縮小カメラアプリで異世界無双
さこゼロ
ファンタジー
突然、異世界に転生召喚された4人の少年少女たち。儀式を行った者たちに言われるがまま、手に持っていたスマホのアプリを起動させる。
ある者は聖騎士の剣と盾、
ある者は聖女のローブ、
それぞれのスマホからアイテムが出現する。
そんな中、ひとりの少年のスマホには、画面にカメラアプリが起動しただけ。
ハズレ者として追放されたこの少年は、これからどうなるのでしょうか…
if分岐の続編として、
「帰還した勇者を護るため、今度は私が転移します!」を公開しています(^^)

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる