Heavens Gate

酸性元素

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剣豪編

無力と孤独③

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「……で、いつにするよ?」
シャーロットは忍者のいなくなった窓を眺めながら言う。
「決まってんでしょ。」
「今すぐに、だね。」
「作戦は決めましょう?」
最早彼らを阻むものはない。邪魔をするなら殺すだけ。
それぞれは武器を構え始める。
「おいおい正気か?」
舞い戻ってきた忍者達は武器を構える。
「んじゃ……まずはこいつらから聞き出すところからだな。」
シャーロットはポキポキと指を鳴らす。
「あ、シャーロットさんはじっとしててください。」
「えー…」
レドに釘を刺され、シャーロットは拗ねるようにソファに座った。
「そんじゃ…行くか!」
忍者が襲いかかると同時に、ケインは窓から飛び降りる。
『あの感覚…思い出せ。』
目一杯に魔力を込める。頼昌との戦いで掴んだ、己の真の魔能力。無数のクナイがケインに向かって飛ぶ。
「ここだ!」
クナイは空中で静止する。いな、時が静止したのだ。
止まった世界の中で、ケインは次々と忍者達を切りつけていく。
「…ありゃ?」
最後の1人になった途端、時間と停止が解除されてしまった。
「あーちょいちょいちょいちょい…」
ケインは咄嗟に刀を投げ、忍者の1人を突き刺した。
「はははは!良いねえこの感じ!たまには撃っとかないとスッキリしないよ!」
「ほどほどにして…くださいよ!」
空に向けて銃を乱射するクレアに対し、レドは1発1発丁寧に忍者を狙い撃つ。
「な、なんだこいつら…まるで歯が立たない!まずい…撤退…」
「させねーっての。」
屋上に立つ1人の女が、魔法を発動した。
光の巨大な縄が、空中を散らばる忍者たちを一斉に捕獲した。
「あー…やっぱ捕獲するにはデカすぎんな、これ。」
シャーロットはボリボリと頭を掻く。案の定、縄は下へと落下し、道路に亀裂を走らせた。
「あっ…やべ。」
「おいコラー!」
「何やってんだ!」
車の運転席から怒号が飛んだ。

「んで……リーダーは誰よ?」
縛り付けられた忍者の内、1人が立ち上がった。
「アンタか。名は?」
シャーロットはその忍者にタバコを向け、質問する。
「サスケ。」
「サスケ、か。どうだ?協力する気はねえか?」
「無いね、付き従うのが忍者だからだ。」
「付き従う…ねえ。裏社会で働く忍者もいるんだが…」
ケインが何気なく呟いた言葉に、サスケは予想外の反応を見せる。
「何?そいつは誰だ?!どんな名だった!」
突然詰め寄られたケインは困惑する。
「……ハンゾウ。」
「………!そいつの、魔能力は?」
「物の……縮小だ。だけどもう、この世にはいないよあいつは。」
「…わかった、アンタらに協力しよう。」
先ほどとは打って変わって、純真な目でサスケは答える。
「付き従う要素、どこおおおおお?!」
一同は一斉にツッコミを入れた。
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