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地獄編
生殺与奪②
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「おいどーしたあ?!俺と決着つけるんじゃなかったのか?」
頼昌はケインに弓を飛ばす。
ケインは刀で弓を弾くと、急速に彼との距離を詰める。
「ははは!はええな!だがまだまだ…」
頼昌が防御を取った瞬間、ケインは刀を放り投げた。
あまりに予想外の行動に彼は一瞬硬直する。
「オラァ!」
放り投げた手でケインは拳を作り、頼昌の顔面に叩き込んだ。
「がっ!」
頼昌は吹き飛ばされる。
ケインは魔能力を発動し、一瞬時間を止めると、頼昌の背面に移動し、上に投げた刀ともう一本の刀の間に魔力を発生させる。
「超.重.力!」
が、その瞬間、頼昌の先ほど引いた弓が彼の元へと戻り、頼昌はその矢を掴んで攻撃を回避した。
その勢いのまま、彼はケインに向けて数十発の弓を発射する。
ケインがとった行動は、何もしない事だった。自身の動きに合わせて攻撃してきたのなら、動かなければ良い。
彼の予想通り、発射された矢は彼の目と鼻の先を通り抜けていく。
「黒死無錠!」
いまだ空中を舞う刀と、もう一本の刀の間に黒い魔力が発生し、巨大な一本の刃となる。
ケインはそれを大きく振り翳した。
解き放たれた魔力は周囲を覆い尽くし、破壊し始める。
「チィ!やはりこいつ…重力操作が魔能力じゃねえ!」
頼昌は矢を自身の周りに放ち、盾としてその魔法を弾いていく。
だが、彼はある自体を予測できていなかった。
「…!」
魔力の嵐の中、ケインが彼の懐まで潜り込んでいたのだ。
「クソ!」
咄嗟に右手でガードを取る。ケインの刀は、頼昌の手首を容赦なく切りつけた。
「いってぇぇ!」
頼昌は右手をぶらんとぶら下げた。
「…終わりだな。」
「…随分残念そうじゃねえの。」
ケイン自身も自覚していた。どこか自分が残念がっていることを。
「だが…これで終わりじゃねえんだよなあ。」
頼昌は魔殲を発動する。
「ははは!はははははは!最悪な奴だよお前は!」
ケインは天を仰ぎ、大笑いすると、同様に魔殲を発動した。
頼昌は矢を発射する。
「……?」
先ほどよりも遅い。弱体化か?ケインのその予想はその直後、覆される事となる。彼の腹部に、矢が突き刺さっていたのである。
「っ……!」
先ほどの痛みとは比にならない程の激痛が、彼の全身に走る。
「あっ……!がっ…!ああああ!」
「俺の魔殲は3秒ごとに3倍ずつ全ての効果が増大していく。ただし、上限は無しだ。」
「っ……らあ!はははは…」
ケインは矢を勢いよく引き抜き、睨みつけるような目つきで笑う。
「イカれてるな、お互いに。」
両者の攻撃は再び開始された。
矢を避けるケイン、距離を取る頼昌。時を止め、回避しつつ、ケインは全身を続ける。
「っ…!」
一瞬、ケインは踏みとどまり、上から降り注ぐ矢を回避した。
「お、学習済みかよ。」
「おおおおらぁ!」
ケインは刀を大きく伸ばすと、頼昌に向けて振り上げた。
「やべぇ!食らったら死ぬ!」
咄嗟に下に伏せ、回避する。だが、刀に纏われた重力は、それを許さなかった。それは新たな斬撃となって、頼将の首を切り付けた。勢いよく血煙が上がる。
「だが……そいつは隙を作る。」
頼昌は矢を発射し、ケインの頭をとらえた。
勝った………そう確信した次の瞬間には、彼の左腕は切り落とされていた。
「……?!」
何故だ、確実に仕留めたはず、なのに何故、奴は俺の後ろにいる。
「なるほど…それがテメェの魔殲か。」
「これで終わりだ、頼……」
彼にとどめを刺そうとした瞬間、ケインは激しく吐血した。
「っ……!」
全身の至る所が痙攣を起こす。
「なるほど…お互い限界かよ。」
「弓も引けねえお前よかマシだよ。」
「手がなけりゃあ、引けねえとでも思ったか?」
巨大な弓を頼昌は引く。
「そうかよ……口で、か。………よし、行くか。」
頼昌が矢を放つと同時に、ケインは前へと飛び出した。
発射された矢は、ケインを幾度となく貫いていく。
その度、彼は何処からともなく蘇り、頼昌の目の前へと迫った。
ここまで来たか、だが甘い。
頼昌の顔面へと向かっていた筈の刀は、突如左飛び出した矢に弾かれ、彼の右腕へと方向を逸らした。
「やっぱ学習しねえな、お前は。」
ケインの瞳に灯っていた魔力が消える。
『あれで1度目、これで2度目。1日に2回も魔殲なんざ聞いたことがねえが…これで終わりだ!』
頼昌はケインの背中に矢を放った。
だが、消えたはずの炎は、再び彼の瞳に宿った。
「3度目…だと?!」
「ああああああ!」
ケインは握っていた刀を、下から振り上げた。
頼昌の半身は両断され、そのまま地面へと落下した。
幼い頃から、俺は武士だった。
大和の武士の家系に生まれ、幼い頃からそのためだけに育てられた。剣、弓、槍…あらゆる武術を施された。
だが、それは突然に崩れ去る事になる。
3年前…俺が16の時、俺の家系は嘘のように崩壊した。
武士の家系にも階級というものがあり、ウチはどうやら没落のようだった。最終的に政界にまで手を伸ばす上流のものたちの機嫌を損ね、圧力をかけられ、最終的に崩壊したと言うわけだ。
それから俺は他の家系に吸収された。
だが、武士としては育てられず、屋敷仕事ばかりを押し付けられる事になった。俺の人生は?俺の今まで歩んできたものに何の意味があったんだ?
どうにか証明したかった。なんとか俺の生き方に結末をつけたかった。だから、今回の一件に乗ったんだ。
「……」
頼昌は夜空を眺めていた。
「よお、頼昌。」
「よお、黒式。」
「はは…体半分切られて何で生きてんだよ。」
「ゴキブリみたいだとは昔から言われてたからな。」
「…ありがとな、頼昌。お前のお陰で気づけたよ。俺は殺し合いが大好きだ。殺し合いは俺の孤独を埋めてくれるし、死にそうなやつを見て俺が楽しむこともできる。
そう言うのを含めて大好きだ。だから取り敢えず、感謝しておく。」
ケインは、明るい笑顔でそう言った。
「はは…そうか…そうかよ。」
頼昌の頬に涙が伝う。
かつて自分を引き取った家系。それが玄式だった。
かつて上流だったところからその下に落とされた家系。さりとて、自分の因縁の一つ。
これはこれでありかな。頼昌はゆっくりと目を閉じ、息を引き取った。
頼昌はケインに弓を飛ばす。
ケインは刀で弓を弾くと、急速に彼との距離を詰める。
「ははは!はええな!だがまだまだ…」
頼昌が防御を取った瞬間、ケインは刀を放り投げた。
あまりに予想外の行動に彼は一瞬硬直する。
「オラァ!」
放り投げた手でケインは拳を作り、頼昌の顔面に叩き込んだ。
「がっ!」
頼昌は吹き飛ばされる。
ケインは魔能力を発動し、一瞬時間を止めると、頼昌の背面に移動し、上に投げた刀ともう一本の刀の間に魔力を発生させる。
「超.重.力!」
が、その瞬間、頼昌の先ほど引いた弓が彼の元へと戻り、頼昌はその矢を掴んで攻撃を回避した。
その勢いのまま、彼はケインに向けて数十発の弓を発射する。
ケインがとった行動は、何もしない事だった。自身の動きに合わせて攻撃してきたのなら、動かなければ良い。
彼の予想通り、発射された矢は彼の目と鼻の先を通り抜けていく。
「黒死無錠!」
いまだ空中を舞う刀と、もう一本の刀の間に黒い魔力が発生し、巨大な一本の刃となる。
ケインはそれを大きく振り翳した。
解き放たれた魔力は周囲を覆い尽くし、破壊し始める。
「チィ!やはりこいつ…重力操作が魔能力じゃねえ!」
頼昌は矢を自身の周りに放ち、盾としてその魔法を弾いていく。
だが、彼はある自体を予測できていなかった。
「…!」
魔力の嵐の中、ケインが彼の懐まで潜り込んでいたのだ。
「クソ!」
咄嗟に右手でガードを取る。ケインの刀は、頼昌の手首を容赦なく切りつけた。
「いってぇぇ!」
頼昌は右手をぶらんとぶら下げた。
「…終わりだな。」
「…随分残念そうじゃねえの。」
ケイン自身も自覚していた。どこか自分が残念がっていることを。
「だが…これで終わりじゃねえんだよなあ。」
頼昌は魔殲を発動する。
「ははは!はははははは!最悪な奴だよお前は!」
ケインは天を仰ぎ、大笑いすると、同様に魔殲を発動した。
頼昌は矢を発射する。
「……?」
先ほどよりも遅い。弱体化か?ケインのその予想はその直後、覆される事となる。彼の腹部に、矢が突き刺さっていたのである。
「っ……!」
先ほどの痛みとは比にならない程の激痛が、彼の全身に走る。
「あっ……!がっ…!ああああ!」
「俺の魔殲は3秒ごとに3倍ずつ全ての効果が増大していく。ただし、上限は無しだ。」
「っ……らあ!はははは…」
ケインは矢を勢いよく引き抜き、睨みつけるような目つきで笑う。
「イカれてるな、お互いに。」
両者の攻撃は再び開始された。
矢を避けるケイン、距離を取る頼昌。時を止め、回避しつつ、ケインは全身を続ける。
「っ…!」
一瞬、ケインは踏みとどまり、上から降り注ぐ矢を回避した。
「お、学習済みかよ。」
「おおおおらぁ!」
ケインは刀を大きく伸ばすと、頼昌に向けて振り上げた。
「やべぇ!食らったら死ぬ!」
咄嗟に下に伏せ、回避する。だが、刀に纏われた重力は、それを許さなかった。それは新たな斬撃となって、頼将の首を切り付けた。勢いよく血煙が上がる。
「だが……そいつは隙を作る。」
頼昌は矢を発射し、ケインの頭をとらえた。
勝った………そう確信した次の瞬間には、彼の左腕は切り落とされていた。
「……?!」
何故だ、確実に仕留めたはず、なのに何故、奴は俺の後ろにいる。
「なるほど…それがテメェの魔殲か。」
「これで終わりだ、頼……」
彼にとどめを刺そうとした瞬間、ケインは激しく吐血した。
「っ……!」
全身の至る所が痙攣を起こす。
「なるほど…お互い限界かよ。」
「弓も引けねえお前よかマシだよ。」
「手がなけりゃあ、引けねえとでも思ったか?」
巨大な弓を頼昌は引く。
「そうかよ……口で、か。………よし、行くか。」
頼昌が矢を放つと同時に、ケインは前へと飛び出した。
発射された矢は、ケインを幾度となく貫いていく。
その度、彼は何処からともなく蘇り、頼昌の目の前へと迫った。
ここまで来たか、だが甘い。
頼昌の顔面へと向かっていた筈の刀は、突如左飛び出した矢に弾かれ、彼の右腕へと方向を逸らした。
「やっぱ学習しねえな、お前は。」
ケインの瞳に灯っていた魔力が消える。
『あれで1度目、これで2度目。1日に2回も魔殲なんざ聞いたことがねえが…これで終わりだ!』
頼昌はケインの背中に矢を放った。
だが、消えたはずの炎は、再び彼の瞳に宿った。
「3度目…だと?!」
「ああああああ!」
ケインは握っていた刀を、下から振り上げた。
頼昌の半身は両断され、そのまま地面へと落下した。
幼い頃から、俺は武士だった。
大和の武士の家系に生まれ、幼い頃からそのためだけに育てられた。剣、弓、槍…あらゆる武術を施された。
だが、それは突然に崩れ去る事になる。
3年前…俺が16の時、俺の家系は嘘のように崩壊した。
武士の家系にも階級というものがあり、ウチはどうやら没落のようだった。最終的に政界にまで手を伸ばす上流のものたちの機嫌を損ね、圧力をかけられ、最終的に崩壊したと言うわけだ。
それから俺は他の家系に吸収された。
だが、武士としては育てられず、屋敷仕事ばかりを押し付けられる事になった。俺の人生は?俺の今まで歩んできたものに何の意味があったんだ?
どうにか証明したかった。なんとか俺の生き方に結末をつけたかった。だから、今回の一件に乗ったんだ。
「……」
頼昌は夜空を眺めていた。
「よお、頼昌。」
「よお、黒式。」
「はは…体半分切られて何で生きてんだよ。」
「ゴキブリみたいだとは昔から言われてたからな。」
「…ありがとな、頼昌。お前のお陰で気づけたよ。俺は殺し合いが大好きだ。殺し合いは俺の孤独を埋めてくれるし、死にそうなやつを見て俺が楽しむこともできる。
そう言うのを含めて大好きだ。だから取り敢えず、感謝しておく。」
ケインは、明るい笑顔でそう言った。
「はは…そうか…そうかよ。」
頼昌の頬に涙が伝う。
かつて自分を引き取った家系。それが玄式だった。
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