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地獄編
生殺与奪
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「ぜぁ!」
「シィ!」
生肖の拳、ノーマンの剣がぶつかり合う。
ぶつかるたびに周囲の建物は壊れ、吹き飛ばされていく。
生肖は地面を強く踏み、破壊した。
両者は地下へと落下する。
ノーマンは壁に刀を突き刺し、落下の勢いを殺すと、そのまま壁をけり、落下する生肖に飛びかかった。
だが、それこそが彼の狙いである。彼は空中で回転すると、飛びかかったノーマンの顔面に蹴りを叩き込んだ。
「が…!」
そのまま地面に叩きつけられたノーマンに、生肖は容赦なく追い打ちをかける。ノーマンの首を手で掴むと、拳を鳩尾にめり込ませ、その勢いのまま壁へと叩きつけた。
「っ……!」
ノーマンは飛びそうになる意識を、舌を噛んで堰き止める。
生肖を振り払い、息を整える。
どうしたら、どうしたら勝てる?
「……!」
そうだ、今までどうして気づかなかった?
「灼陽の剣。」
ノーマンは太陽の剣をメリケンサックに変化させる。
武器の再生はまだ終わらない。
「物干し竿.雷撃の斧……」
次々と武器は生成され、手足に纏われていく。
「神罰の拳!」
彼の手足に黒く光る装甲が取り付けられた。
キィィィィン…
甲高い機械音が周囲に鳴り響く。
「なるほど…コピーを合わせてオリジナルを…」
ノーマンは地面を強く踏む。
生肖がガードを取るより前に、彼の懐にノーマンは潜り込んだ。
『早…』
咄嗟に全力でガードを行う。
だがその一撃は、その走行をあっさりと貫いた。
「がっ……!」
全身に衝撃が駆け巡る。痛みだけではない。熱、冷気、電気…ありとあらゆる要素がこの一撃に込められている。
生肖は吐血した。
『もう1発食らうとやばいな…』
仕方ない、やるか。
魔能力を解放する。
魔能力、魔力噴出。一度発動すると止められない。発動したが最後、加速する体を犠牲に全身の細胞を焼き尽くす事になる。
「……」
「……」
両者はぶつかり合った。
100を超える駆け引きが、1秒間という僅かな時間に行われるほどの世界。それが1分間続いた。
そして、両者の拳はほぼ同時に、互いの腹部にめり込んだ。
本来ならば吹き飛ばされる程の威力である。しかし、両者とも、地面を強く踏み、その場に踏みとどまるに至った。
「………!」
「っ……!」
あまりの痛みに全身が悶え苦しむ。だが、泣き叫ぶことはしない。
「おおおおおおお!」
生肖は拳を振るう。
「ラァ!」ノーマンは下にしゃがんでかわすと、即座に起き上がり、生肖の顎に拳を叩き込んだ。
「……!」
意識が飛ぶ。
負けるのか?俺は……
天仙のスラム街で俺は生まれた。
酷い世界だ。あっという間に人が死ぬ。母もそうだった。
そんな中だったんだ。
「なあ、少年。ビッグになるつもりはねえか?」
葉巻を口に咥えた若い男が、痩せこけた俺にそう言った。
何が何でも縋り付きたかった。
そいつはどうやら、マフィアを作って大成するつもりらしい。正直俺は疑っていた。
だが、そいつはわずか一年でマフィアを天仙最大規模にまで成長させた。夢のようだった。いつしか、俺は俺を救ってくれたあの男に、心の底からついていきたいと思うようになった。
だが、そんな中、男は死んだ。急性の心不全だった。
後継のものが受け継ぐ事になり、今まで通りに行くなら、と従った。だが、そうはいかなかった。
奴は麻薬だけはやらなかった。麻薬の商売を心底嫌っていたんだ。だが、新しくなった組織は、俺に秘密裏に麻薬の流通を行っていた。
気づいた頃にはもう遅かった。組織のものを虐殺し、俺は死体の上で煙草を吸っていた。
「あー……やっちまったなあ…」
かつての組織はどこにもないのだ、と落胆したが、本当に壊したのは自分だ。
もし、あんたが生き返るなら、あの時みたいにもう一度俺に見せてほしい。のしあがる姿を。
「ああああああ!」
生肖はノーマンに頭突きをする。
「っ……!」
「おおおおおおお!」
まだ、終わらない。ここで決めてやる。
ふと、遠くを見る。
そこにいたのは、奴だった。
どうして、そんな目をする。俺はアンタの為に。
あれ、何を言ってるんだろう。奴は一体何を。
ああ、そうか。分からない時点で、俺は終わっていたんだ。
ノーマンは手足の装甲を銃に変え、砲撃を発射する。
生肖はその衝撃に吹き飛ばされた。
「シィ!」
生肖の拳、ノーマンの剣がぶつかり合う。
ぶつかるたびに周囲の建物は壊れ、吹き飛ばされていく。
生肖は地面を強く踏み、破壊した。
両者は地下へと落下する。
ノーマンは壁に刀を突き刺し、落下の勢いを殺すと、そのまま壁をけり、落下する生肖に飛びかかった。
だが、それこそが彼の狙いである。彼は空中で回転すると、飛びかかったノーマンの顔面に蹴りを叩き込んだ。
「が…!」
そのまま地面に叩きつけられたノーマンに、生肖は容赦なく追い打ちをかける。ノーマンの首を手で掴むと、拳を鳩尾にめり込ませ、その勢いのまま壁へと叩きつけた。
「っ……!」
ノーマンは飛びそうになる意識を、舌を噛んで堰き止める。
生肖を振り払い、息を整える。
どうしたら、どうしたら勝てる?
「……!」
そうだ、今までどうして気づかなかった?
「灼陽の剣。」
ノーマンは太陽の剣をメリケンサックに変化させる。
武器の再生はまだ終わらない。
「物干し竿.雷撃の斧……」
次々と武器は生成され、手足に纏われていく。
「神罰の拳!」
彼の手足に黒く光る装甲が取り付けられた。
キィィィィン…
甲高い機械音が周囲に鳴り響く。
「なるほど…コピーを合わせてオリジナルを…」
ノーマンは地面を強く踏む。
生肖がガードを取るより前に、彼の懐にノーマンは潜り込んだ。
『早…』
咄嗟に全力でガードを行う。
だがその一撃は、その走行をあっさりと貫いた。
「がっ……!」
全身に衝撃が駆け巡る。痛みだけではない。熱、冷気、電気…ありとあらゆる要素がこの一撃に込められている。
生肖は吐血した。
『もう1発食らうとやばいな…』
仕方ない、やるか。
魔能力を解放する。
魔能力、魔力噴出。一度発動すると止められない。発動したが最後、加速する体を犠牲に全身の細胞を焼き尽くす事になる。
「……」
「……」
両者はぶつかり合った。
100を超える駆け引きが、1秒間という僅かな時間に行われるほどの世界。それが1分間続いた。
そして、両者の拳はほぼ同時に、互いの腹部にめり込んだ。
本来ならば吹き飛ばされる程の威力である。しかし、両者とも、地面を強く踏み、その場に踏みとどまるに至った。
「………!」
「っ……!」
あまりの痛みに全身が悶え苦しむ。だが、泣き叫ぶことはしない。
「おおおおおおお!」
生肖は拳を振るう。
「ラァ!」ノーマンは下にしゃがんでかわすと、即座に起き上がり、生肖の顎に拳を叩き込んだ。
「……!」
意識が飛ぶ。
負けるのか?俺は……
天仙のスラム街で俺は生まれた。
酷い世界だ。あっという間に人が死ぬ。母もそうだった。
そんな中だったんだ。
「なあ、少年。ビッグになるつもりはねえか?」
葉巻を口に咥えた若い男が、痩せこけた俺にそう言った。
何が何でも縋り付きたかった。
そいつはどうやら、マフィアを作って大成するつもりらしい。正直俺は疑っていた。
だが、そいつはわずか一年でマフィアを天仙最大規模にまで成長させた。夢のようだった。いつしか、俺は俺を救ってくれたあの男に、心の底からついていきたいと思うようになった。
だが、そんな中、男は死んだ。急性の心不全だった。
後継のものが受け継ぐ事になり、今まで通りに行くなら、と従った。だが、そうはいかなかった。
奴は麻薬だけはやらなかった。麻薬の商売を心底嫌っていたんだ。だが、新しくなった組織は、俺に秘密裏に麻薬の流通を行っていた。
気づいた頃にはもう遅かった。組織のものを虐殺し、俺は死体の上で煙草を吸っていた。
「あー……やっちまったなあ…」
かつての組織はどこにもないのだ、と落胆したが、本当に壊したのは自分だ。
もし、あんたが生き返るなら、あの時みたいにもう一度俺に見せてほしい。のしあがる姿を。
「ああああああ!」
生肖はノーマンに頭突きをする。
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「おおおおおおお!」
まだ、終わらない。ここで決めてやる。
ふと、遠くを見る。
そこにいたのは、奴だった。
どうして、そんな目をする。俺はアンタの為に。
あれ、何を言ってるんだろう。奴は一体何を。
ああ、そうか。分からない時点で、俺は終わっていたんだ。
ノーマンは手足の装甲を銃に変え、砲撃を発射する。
生肖はその衝撃に吹き飛ばされた。
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なろう版https://ncode.syosetu.com/n0704io/?p=2カクヨム版https://kakuyomu.jp/works/16817330669013450484
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