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魔人衝突編
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「兵は揃ったか?」
「ざっと2万、万全に揃ってますよ。」
「ふむ…グウェルガンドは?」
「まだ寝てますぜ。あの野郎は寝たらしばらく起きない。」
「…まあ良いだろう。奴はやる時はやる。そう言う男だ。」
魔族2人は列をなす兵を眺めながら会話をこなす。
「…なあに、アンタの出る幕じゃないですよ。ドレイクどもの死は最早何の問題にもならない。……唯一あの連中でまともだと思っていたんですがね、一番おかしかったのは奴だったようだ。」
「…セリアムの都市部までの侵攻と占領、それが今回の目標。それ以上でも以下でもなく…ね。だが結局どこまで行っても気を許しちゃいけない。…私と彼の出る幕がある可能性が一握りに存在するのならば、それはもはや不利に等しい。…覚えておくことだ。」
「ええ、申し訳無いです。」
長身の魔族は、小柄な魔族に謝罪した。
「さて…補給の用意は?」
「もう少しで十分な量になりますよ。…ホラ。」
長身の魔族は、後ろのモニターのスイッチを入れ、監視カメラに映る映像を彼に見せた。
チューブに繋がれた魔族が魔力を吸われていく様子が映されていた。彼らの口からは絶え間なく唾液が垂れ、瞳はひたすらに上を向き、もはやおおよそ理性と呼べるものはない。
「うーん…彼、魔力が尽きかけてないかい?生成魔力の限界が来次第、還元装置に入れる用に行っておいてくれ。」
「了解いたしやした。」
「…」
「何スか急に黙って。」
「いや、ドレイクの友人もあそこに、とね。」
「まあドレイクは暴力をアンタに振るったし、そもそもその動機のアレも元から使い物にならなかった。妥当でしょ?」
「…………」
「なんスかその表情。どうあっても奴は裏切りモンだ。始末されて当然ですよ。従えないものは死だ。」
「まあ友人が養分にされたとあれば、だな。…さて、補給の準備が終わり次第、軍を揃えて出陣と行こう。…我々『アレス』の初陣だ。」
魔族はコツコツと足音を立てて部屋の出口に向かう。
「ええ…わかってますよ?ああ…楽しみだなあ…始まるのが。俺の人生の始まりだ。」
長身の魔族は、1人窓を眺めて呟いた。
ーーーーー
「えっと…みんな起きたね?じゃあ今回うちの部隊に来たケイン君と花織ちゃんでーす!パチパチパチー!」
サリサが明るい口調で2人を隊員の前に出す。
10ほどの隊員の前に立たされた当の2人は、体がどこかむず痒く感じた。
「うーん…じゃあまず自己紹介から行こうか。アタシはサリサ.メルゼビスタ。一応白兵部隊第二部隊の隊長ね。まあ部隊長って言っても結構な数いるからそんなに固くならないでね。学校のクラスの学級委員やってまーすくらいの感じで。」
「えっと…|劉龍(りゅうろん)と言います。今年入りました…19歳です。役に立てるかわかんないけど…よろしくお願いします。まあどうせ無理ですよすぐ死にます…」
劉龍と言ったその少年の視線は常に下を向いていた。目を合わせるのが苦手なんだろう。ケインは一目で彼の事情を朧げに理解できた。
「えーっとねー…ベロニカ.メルトレンシアでーす。よろしくー」
「姉さん…もうちょっと姿勢ピシってして!僕は此方のベロニカの弟のメルケル.メルトレンシアです。」
弟であるメルケルの方は、まさに好青年という言葉が似合う見た目だった。対してベロニカには全く身なりへの拘りが見えず、目を隠すほどに髪が伸びきっていた。
「ガー…」
「起きて!」
「あ、はい…アルス.モラクラス。一応この班の班長です…。まあよろしくお願いします…ZZZ」
名前だけを口にし、アルスは再び眠りについてしまった。
「………」
こっちもこっちでロクでもないな、ケインは冷や汗を流した。
その後全員の紹介が終わり、話が切り替わった。
「さて…まあこんな状態だから訓練とやらは出来ないし…まあ組み手をちょっとやろうか。花織ちゃんはベロニカちゃんと組んでね。…で、ケイン君はエディ君と…。その他の人はクジで決めてね。念のため言うけど魔力の使用は一切禁止。いいね?」
「……」
花織は下唇と噛んでサリサを見る。
「不満?アタシとやらせて欲しいって顔だね。じゃあベロニカちゃんに勝ったらやろうか。」
花織は不服そうにベロニカに視線を移す。
「勝っちゃうぞー!」
ベロニカは両手を組んで仁王立ちした。
「しっかし…覇気がねえなあオメエらは。やっぱシャーロットのワンマンか?いや…この有様じゃあ魔女といわれた奴もどうだか…ねえ?」
エディ、と呼ばれた隊員は、ニヤニヤと笑いながらケインを見る。
「じゃあ初めー。」
サリサがそう言ったのと同時に、エディの右手がケインに襲い掛かる。
「うわっ!ちょっ…待っ…」
ケインは流れるようにその場に取り押さえられる。
ベロニカに抑えられた花織からは、信じられないと言う言葉が発せられていた。
「さて…どうだった?」
抑えられ、床に顎をつける2人にサリサはそう質問を投げる。
「最高ですよコノヤロウ。」
「うん、いい目だね。じゃこの後もローテーションでやってくから。…あと龍君はもっと頑張って。」
「は、はいいい~…」
押さえつけられた劉龍は、か細い声で答える。
極度の疲労の中でケインはヨロヨロと立ち上がる。
「ったく…お前みたいなの連れてきて意味なんかあんのか…?」
エディが小声でそう呟いていたのを彼は一瞬耳にしてしまった。
「……」
ケインはエディを睨みつけ、次の相手へと視線を移す。
しかし、結局殆ど組み手に勝つことはできなかった。
「はあ…はあ…」
『クソ…なんでだ…これじゃ…これじゃ俺はいる価値が…』
ケインは胸を抑える。呼吸が乱れる。脈拍が頻度を増していくのを直に感じる。しかし思考が追いつかない。頭は回っても思考が回らない。
そこで彼の意識は途切れた。
ーーーーーーー
セリアム国籍だった母と、大和の間に生まれたのが俺。生まれてしまったと言った方が正しいだろう。何せ望まれていないのだから。妊娠したと分かるや否や父は逃げ、母は次第に俺を突き放すようになった。
お前はあの男と同じと叩かれ、物を投げられた。それでも愛情を感じたかったのだろう。愚かな事に母の絵を描いたこともあった。その数秒後には鼻で笑われ、破り捨てられた紙が床に散らばるだけだったが。
そして突如母は出て行った。
『ちょっと用事があるから』
そう言ったっきり帰ってこなかった。それでも帰りが来ると思っていたんだろう。食料が無くなっても、部屋中にハエがたかっても、全く家から動こうとしなかった。それでも徐々に理解していった。ああ、自分は捨てられたのだと。
家から出る事を決めたは良いが、当然行く宛など無いゴミ箱を漁る生活が始まった。汚物を汚物として感じない様になり、夜は魔道士から逃げ回った。その生活の中、基本街を歩くような事はしなかった。勿論最初はした。だが向けられるのは軽蔑と同情、助けの手など何処にもない。
『オヤガチャントシテナイカラコウナル』
『ドウセダレカガタスケテクレル』
『コッコウガイケナイ。コンナコドモヲホオッテオイテ』
目線からはそんな言葉が伝わってきた。どんな人間も安全圏から物を言い、そして誰かを悪者にしてシラを切る。社会の仕組みを一桁の年齢で知った。
そこから知らぬうちに10になって、それでも生活は変わらなかった。ただ一つ変わったのは、俺自身に何か特別な力がある事がわかった事だった。国公に見つかっても逃げられる様になり、自分が無敵になったような気分にもなった。…でもそれだけだった。それでも一生1人だった。誰も声をかけないし、見ないふりをする。一生変わらなかった。その結果、その結果至ってしまった。ある一つの思考に。
「…死のう。誰か殺して死んでやる。」
何故こんな思考に至ったのかは分からない。自分一人で死にたくなかったのだろうか、だが今になって見ると、その言葉は、自身の限界を迎えた状況から出たような言葉では決してなく、俺自身の本質なのだと思う。
ナイフを服に忍ばせて夜道を歩く。…あれで良いや。修道服の女。金髪の女。あの女と同じ髪…殺してやる。この手で殺す。
一瞬だった。一瞬の内にナイフは彼女の背中を貫いた。そして直後に抱きしめられていた。
「……辛いよな。大丈夫。苦しまなくて良い。」
いつ彼女が俺の事情を察したのかはわからない。一瞬で見抜いたのか、そもそも俺の存在に気づいていたのか。それでもただ売れしかった。背中を撫でたその右手がたまらなく暖かかったのだ。
「名前は…?」
「ケイン。」
「今幾つだ?」
「10。」
「んで、お前親は?」
すぐ近くの公園のベンチに座らされた俺に、金髪の女はそう問いただした
「……」
「知らねえのか。…何年くらいこの生活なんだ?」
「…2年。」
「…2年か。他に仲間は…?」
「いない。」
「協力する者もいない中で国公から2年逃げ続ける…もしや魔能力持ちか?…まあ良い。取り敢えず国公に預けて…」
「待って!嫌だ…!戻るのは嫌だ!」
親のところに戻されると思っていた。信頼できる大人は彼女だけだった。これまでに無いほどに脈拍が上昇していく。
「まあ待て。……親から何かされたか?」
「………」
「されたんだな。……安心しろ俺も魔道士だ。」
「…!」
「あーあー警戒しないでくれよ…俺は国公じゃねえよ。フリーランスって奴。…まあ要するにあの連中とは別モンだよ。」
「…」
「大丈夫だ、危険なら俺がなんとかする。国公が総力あげても勝てないくらいには俺は強いからな。」
悪戯でもしようと言うような顔で女は俺を見た。とんでもない人を殺そうとした、と子供ながらに思ったが、同時に心を預けて良いかもしれない、と言う安心感も芽生えた。
「あー…名前名乗ったのがまずかったな…。民間設置所に行っただけでこれだ。」
民間設置所にて、シャーロットと女が自身の名を名乗り、本部に魔道士が連絡をした途端、若干高圧的だった魔道士らの態度が一変し、獣でも見るかのような目で高待遇となった。
「……」
「…怖いか?…大丈夫だよ。人は未知の存在が怖えのよ。…お前を助けなかった大人もお前が怖い。怖がられてる!つまり俺は強い!くらいのスタンスで行っとけ。」
なんだか良くわからなかったが、励まされているのはわかった。
そこからは意外にもトントン拍子だった。気がついたら大量の車がランプを回転されて設置所を囲い、僕を保護し、彼女を拘束するような絵面になってしまった。
「…それで、お父さんとお母さんはどこにいるのか分かるな?」
コンクリートに囲まれた狭い部屋で、魔道士はシワを寄せながら俺に質問した。……怖い。怖い怖い怖い…殴られる…。そんな思考しか頭にはなかった。
「うーん…困っちゃったな。…ちょっと待って。その目の色…朝峰さん!この子朱色の目ですよ!」
「え?!じゃあこの子…」
またもや俺を見る目が変わった。…汚い。視界から消えろ。自然とそんな言葉が脳裏をよぎっていた。
「えっとね…君のお父さんの髪の色って何色?」
「え…?え…?…わ、わかんない…です…」
「お母さんは?」
「……………金」
「父親の方か…」
早くここから出て行きたかった。
それから次の日になり、ようやく連絡が取れ、家で引き取ってくれるとの話が出た。それでも全く嬉しくなかった。生きた心地なんて全くなかった。
「あの人は…?あの一緒に来た人…」
「あの人はちょっともう今は…」
「今は何だ?」
魔道士の男の言葉を遮るように、シャーロットは突然目の前に現れた。
「な…?!結界をどうやって…」
「あれで止められると思ったのかい?」
「貴方が肩入れする問題では…」
「へー…でも随分怯えてるぜ?同行した方が良いんじゃねーの?コイツの意志の尊重無しってのもよお…随分と良くねえじゃねえの。え?…それとも黒式家の権威を管理できるようにするのに利用する事しか考えてなかったか?」
「くっ…!分かりました。」
彼女の表情は、誰より汚れていて、なによりも綺麗な気がした。
「こんにちは…今日から家族として暮らしていくんだよ?」
次の日現れた男は、見た目こそ今まで見てきた中で誰より優しかった。だが、その奥底が全て読み取れてしまった。
俺は車に乗り込み、シャーロットは車の窓ガラス越しに俺に手を振る。これで良かったのだろうか。そう思った直後、男の口から放たれた言葉に、俺は深い絶望を覚えた。
「後で皆に伝えろ。新しい召使いが出来たとな。……まああそこに行く前に教えてやると良いさ。」
執事と思わしき老人は、眉ひとつ動かす事なくそれに同意した。ああ、また始まるのだ、地獄が。そう思いながら俺は屋敷に入って行った。
「さて…まずは調教から始めようか。連れて行け。」
召使いを思わしき女2人が俺の腕を掴む。
「嫌だ…嫌だ…嫌だ嫌だ…ああああ…あああああ!」
床を引き摺られながら抵抗する。
「全く…つくづくどうしようもない弟だ。借金を作って逃げ…殺して終わりかと思えばこんな餓鬼まで…」
「そうだな…どうしようもねえよ。時代に取り残されてこんなことしてさあ。」
天井から突如女の声が聞こえる。
「貴様…!あの時の…!何者だ!」
「シャーロット.ギルティ.ホワイト。……まあ取り敢えずそいつを放せ。」
「な…!ついてきていたのか…?!まあいい…シャーロットとと言えば魔人戦争……いや、それ以前の100年以上の戦いで魔族を殺して回った化け物だ!がこの国にいる訳がない!奴は国に厳重に管理されているはずだ!ハッタリも大概に…」
「ははは!別に国の目の届くとこ以外にも行く方法あんだろ?まあ汚ねえ仕事のついでだよ。ヤクザひとつ沈めた帰りさ。」
「構えろ!その女を殺せ!」
男は刀を引き抜きそう叫んだ。すると、天井、壁共々から、一斉に大量の屋敷の従者が飛び出し、刀をシャーロットに浴びせる。
が、シャーロットは全てをそれらの刀を全て避け、体を捻った体勢から、一瞬の内に従者を全て吹き飛ばした。
「避けた…?!馬鹿な!見えるはずが…」
「避けたんじゃ無い…見えてるんだ…。」
明らかに見える前に行動していた。原理は不明でも、只ならぬ強さである事は確かだった。
「はあ…取り敢えず玄式には伝えとくわ。黒式は解体すべきだって。」
「ま、待て!それじゃあ私はどうなるのだ!」
「知らねえよ。切腹でもすれば?覚悟があるとは思えんがな。」
そう言うと、シャーロットは背中を向ける。行ってしまうのか?行かないで、もう1人になりたく無い。己の呼吸が荒ぶるのを感じる。すると、シャーロットは足を止め、此方に再び顔を向けた。
「ほれ、ボケッとしてないで付いてこいよ。」
呼吸は通常の感覚に戻った。走る事もしなかった。ただ彼女の元に、ゆっくり歩いてついていく俺がそこに居た。1人じゃ無いんだ、そう思えた人生初の瞬間だった。
だが、だがそれが偽りだったと気付くのは時間の問題だった。
ーーーーーーー
「あ、起きた?」
ケインは自分がベッドに寝ていた事に気づき、先程声が聞こえた方に目を運ぶ。
「ごめんね、無理させて。」
訓練時とは打って変わって、彼女の表情は柔らかかった。
「すいません…ホントに…。」
「でも申し訳ないけど、ついて行って貰わないと困るからね。いつ来るか分からないし。24時間体制で監視してるけど、動きがあったら即座に出撃するような状態だから。」
「…わかってます。」
「…なんだか必死なんだね、君。自分をなんとか取り繕おうって感じがする。」
「……」
「分かるよそう言うの。…アタシもそんな感じだし。今日はゆっくり休んでね。」
サリサはそう言うと、休憩室を出て行った。
『優しいんだか冷淡なんだか…よく分からない人だな。』
ケインはベッドから出て立ち上がると、不意に頭を掻きむしった。
ーーー
「おおケインか。…お前倒れたんだってなあ。」
セシルはニヤニヤとケインを見ながら言う。
「…まあお恥ずかしながら。」
「後汗臭えから風呂行け。…風呂閉まるまで後10分だぞ?」
「マジっすか?!ちょっと待ってくれよ…」
ケインは早足にシャワールームへと向かった。
「アブネー…さっさと洗って…」
不意にシャワーの仕切りから目にした顔に、ケインの視線は固定された。それは紛れもなくサリサだった。
「……あ、もう大丈夫?」
「え…?あ、はい。」
男?いや姿はどう考えても女だ。口調に関しても同様にそう。
「…見惚れちゃった?やっぱ可愛い?あー言わないで!髪が綺麗で匂いを嗅ぎたいですって言いたいんでしょ?やっぱ男の人は臭い気にするって言うし?」
「いや俺はロングよりショート派と言うか…」
「冷静に言われると逆に困るんだけど?!」
「ついでに言うと体細い方が…」
「筋肉バッキバキの国公は性的対象ではないと?!知るもんか!知るもんかあ!」
サリサはわざとらしく顔を覆い、シャワー室を出て行く。
「あーあ…いつもは誰もいない時間だから油断してたなあ。」
サリサは周囲に誰もいないことに安堵すると、そんな独り言を漏らした。
「ざっと2万、万全に揃ってますよ。」
「ふむ…グウェルガンドは?」
「まだ寝てますぜ。あの野郎は寝たらしばらく起きない。」
「…まあ良いだろう。奴はやる時はやる。そう言う男だ。」
魔族2人は列をなす兵を眺めながら会話をこなす。
「…なあに、アンタの出る幕じゃないですよ。ドレイクどもの死は最早何の問題にもならない。……唯一あの連中でまともだと思っていたんですがね、一番おかしかったのは奴だったようだ。」
「…セリアムの都市部までの侵攻と占領、それが今回の目標。それ以上でも以下でもなく…ね。だが結局どこまで行っても気を許しちゃいけない。…私と彼の出る幕がある可能性が一握りに存在するのならば、それはもはや不利に等しい。…覚えておくことだ。」
「ええ、申し訳無いです。」
長身の魔族は、小柄な魔族に謝罪した。
「さて…補給の用意は?」
「もう少しで十分な量になりますよ。…ホラ。」
長身の魔族は、後ろのモニターのスイッチを入れ、監視カメラに映る映像を彼に見せた。
チューブに繋がれた魔族が魔力を吸われていく様子が映されていた。彼らの口からは絶え間なく唾液が垂れ、瞳はひたすらに上を向き、もはやおおよそ理性と呼べるものはない。
「うーん…彼、魔力が尽きかけてないかい?生成魔力の限界が来次第、還元装置に入れる用に行っておいてくれ。」
「了解いたしやした。」
「…」
「何スか急に黙って。」
「いや、ドレイクの友人もあそこに、とね。」
「まあドレイクは暴力をアンタに振るったし、そもそもその動機のアレも元から使い物にならなかった。妥当でしょ?」
「…………」
「なんスかその表情。どうあっても奴は裏切りモンだ。始末されて当然ですよ。従えないものは死だ。」
「まあ友人が養分にされたとあれば、だな。…さて、補給の準備が終わり次第、軍を揃えて出陣と行こう。…我々『アレス』の初陣だ。」
魔族はコツコツと足音を立てて部屋の出口に向かう。
「ええ…わかってますよ?ああ…楽しみだなあ…始まるのが。俺の人生の始まりだ。」
長身の魔族は、1人窓を眺めて呟いた。
ーーーーー
「えっと…みんな起きたね?じゃあ今回うちの部隊に来たケイン君と花織ちゃんでーす!パチパチパチー!」
サリサが明るい口調で2人を隊員の前に出す。
10ほどの隊員の前に立たされた当の2人は、体がどこかむず痒く感じた。
「うーん…じゃあまず自己紹介から行こうか。アタシはサリサ.メルゼビスタ。一応白兵部隊第二部隊の隊長ね。まあ部隊長って言っても結構な数いるからそんなに固くならないでね。学校のクラスの学級委員やってまーすくらいの感じで。」
「えっと…|劉龍(りゅうろん)と言います。今年入りました…19歳です。役に立てるかわかんないけど…よろしくお願いします。まあどうせ無理ですよすぐ死にます…」
劉龍と言ったその少年の視線は常に下を向いていた。目を合わせるのが苦手なんだろう。ケインは一目で彼の事情を朧げに理解できた。
「えーっとねー…ベロニカ.メルトレンシアでーす。よろしくー」
「姉さん…もうちょっと姿勢ピシってして!僕は此方のベロニカの弟のメルケル.メルトレンシアです。」
弟であるメルケルの方は、まさに好青年という言葉が似合う見た目だった。対してベロニカには全く身なりへの拘りが見えず、目を隠すほどに髪が伸びきっていた。
「ガー…」
「起きて!」
「あ、はい…アルス.モラクラス。一応この班の班長です…。まあよろしくお願いします…ZZZ」
名前だけを口にし、アルスは再び眠りについてしまった。
「………」
こっちもこっちでロクでもないな、ケインは冷や汗を流した。
その後全員の紹介が終わり、話が切り替わった。
「さて…まあこんな状態だから訓練とやらは出来ないし…まあ組み手をちょっとやろうか。花織ちゃんはベロニカちゃんと組んでね。…で、ケイン君はエディ君と…。その他の人はクジで決めてね。念のため言うけど魔力の使用は一切禁止。いいね?」
「……」
花織は下唇と噛んでサリサを見る。
「不満?アタシとやらせて欲しいって顔だね。じゃあベロニカちゃんに勝ったらやろうか。」
花織は不服そうにベロニカに視線を移す。
「勝っちゃうぞー!」
ベロニカは両手を組んで仁王立ちした。
「しっかし…覇気がねえなあオメエらは。やっぱシャーロットのワンマンか?いや…この有様じゃあ魔女といわれた奴もどうだか…ねえ?」
エディ、と呼ばれた隊員は、ニヤニヤと笑いながらケインを見る。
「じゃあ初めー。」
サリサがそう言ったのと同時に、エディの右手がケインに襲い掛かる。
「うわっ!ちょっ…待っ…」
ケインは流れるようにその場に取り押さえられる。
ベロニカに抑えられた花織からは、信じられないと言う言葉が発せられていた。
「さて…どうだった?」
抑えられ、床に顎をつける2人にサリサはそう質問を投げる。
「最高ですよコノヤロウ。」
「うん、いい目だね。じゃこの後もローテーションでやってくから。…あと龍君はもっと頑張って。」
「は、はいいい~…」
押さえつけられた劉龍は、か細い声で答える。
極度の疲労の中でケインはヨロヨロと立ち上がる。
「ったく…お前みたいなの連れてきて意味なんかあんのか…?」
エディが小声でそう呟いていたのを彼は一瞬耳にしてしまった。
「……」
ケインはエディを睨みつけ、次の相手へと視線を移す。
しかし、結局殆ど組み手に勝つことはできなかった。
「はあ…はあ…」
『クソ…なんでだ…これじゃ…これじゃ俺はいる価値が…』
ケインは胸を抑える。呼吸が乱れる。脈拍が頻度を増していくのを直に感じる。しかし思考が追いつかない。頭は回っても思考が回らない。
そこで彼の意識は途切れた。
ーーーーーーー
セリアム国籍だった母と、大和の間に生まれたのが俺。生まれてしまったと言った方が正しいだろう。何せ望まれていないのだから。妊娠したと分かるや否や父は逃げ、母は次第に俺を突き放すようになった。
お前はあの男と同じと叩かれ、物を投げられた。それでも愛情を感じたかったのだろう。愚かな事に母の絵を描いたこともあった。その数秒後には鼻で笑われ、破り捨てられた紙が床に散らばるだけだったが。
そして突如母は出て行った。
『ちょっと用事があるから』
そう言ったっきり帰ってこなかった。それでも帰りが来ると思っていたんだろう。食料が無くなっても、部屋中にハエがたかっても、全く家から動こうとしなかった。それでも徐々に理解していった。ああ、自分は捨てられたのだと。
家から出る事を決めたは良いが、当然行く宛など無いゴミ箱を漁る生活が始まった。汚物を汚物として感じない様になり、夜は魔道士から逃げ回った。その生活の中、基本街を歩くような事はしなかった。勿論最初はした。だが向けられるのは軽蔑と同情、助けの手など何処にもない。
『オヤガチャントシテナイカラコウナル』
『ドウセダレカガタスケテクレル』
『コッコウガイケナイ。コンナコドモヲホオッテオイテ』
目線からはそんな言葉が伝わってきた。どんな人間も安全圏から物を言い、そして誰かを悪者にしてシラを切る。社会の仕組みを一桁の年齢で知った。
そこから知らぬうちに10になって、それでも生活は変わらなかった。ただ一つ変わったのは、俺自身に何か特別な力がある事がわかった事だった。国公に見つかっても逃げられる様になり、自分が無敵になったような気分にもなった。…でもそれだけだった。それでも一生1人だった。誰も声をかけないし、見ないふりをする。一生変わらなかった。その結果、その結果至ってしまった。ある一つの思考に。
「…死のう。誰か殺して死んでやる。」
何故こんな思考に至ったのかは分からない。自分一人で死にたくなかったのだろうか、だが今になって見ると、その言葉は、自身の限界を迎えた状況から出たような言葉では決してなく、俺自身の本質なのだと思う。
ナイフを服に忍ばせて夜道を歩く。…あれで良いや。修道服の女。金髪の女。あの女と同じ髪…殺してやる。この手で殺す。
一瞬だった。一瞬の内にナイフは彼女の背中を貫いた。そして直後に抱きしめられていた。
「……辛いよな。大丈夫。苦しまなくて良い。」
いつ彼女が俺の事情を察したのかはわからない。一瞬で見抜いたのか、そもそも俺の存在に気づいていたのか。それでもただ売れしかった。背中を撫でたその右手がたまらなく暖かかったのだ。
「名前は…?」
「ケイン。」
「今幾つだ?」
「10。」
「んで、お前親は?」
すぐ近くの公園のベンチに座らされた俺に、金髪の女はそう問いただした
「……」
「知らねえのか。…何年くらいこの生活なんだ?」
「…2年。」
「…2年か。他に仲間は…?」
「いない。」
「協力する者もいない中で国公から2年逃げ続ける…もしや魔能力持ちか?…まあ良い。取り敢えず国公に預けて…」
「待って!嫌だ…!戻るのは嫌だ!」
親のところに戻されると思っていた。信頼できる大人は彼女だけだった。これまでに無いほどに脈拍が上昇していく。
「まあ待て。……親から何かされたか?」
「………」
「されたんだな。……安心しろ俺も魔道士だ。」
「…!」
「あーあー警戒しないでくれよ…俺は国公じゃねえよ。フリーランスって奴。…まあ要するにあの連中とは別モンだよ。」
「…」
「大丈夫だ、危険なら俺がなんとかする。国公が総力あげても勝てないくらいには俺は強いからな。」
悪戯でもしようと言うような顔で女は俺を見た。とんでもない人を殺そうとした、と子供ながらに思ったが、同時に心を預けて良いかもしれない、と言う安心感も芽生えた。
「あー…名前名乗ったのがまずかったな…。民間設置所に行っただけでこれだ。」
民間設置所にて、シャーロットと女が自身の名を名乗り、本部に魔道士が連絡をした途端、若干高圧的だった魔道士らの態度が一変し、獣でも見るかのような目で高待遇となった。
「……」
「…怖いか?…大丈夫だよ。人は未知の存在が怖えのよ。…お前を助けなかった大人もお前が怖い。怖がられてる!つまり俺は強い!くらいのスタンスで行っとけ。」
なんだか良くわからなかったが、励まされているのはわかった。
そこからは意外にもトントン拍子だった。気がついたら大量の車がランプを回転されて設置所を囲い、僕を保護し、彼女を拘束するような絵面になってしまった。
「…それで、お父さんとお母さんはどこにいるのか分かるな?」
コンクリートに囲まれた狭い部屋で、魔道士はシワを寄せながら俺に質問した。……怖い。怖い怖い怖い…殴られる…。そんな思考しか頭にはなかった。
「うーん…困っちゃったな。…ちょっと待って。その目の色…朝峰さん!この子朱色の目ですよ!」
「え?!じゃあこの子…」
またもや俺を見る目が変わった。…汚い。視界から消えろ。自然とそんな言葉が脳裏をよぎっていた。
「えっとね…君のお父さんの髪の色って何色?」
「え…?え…?…わ、わかんない…です…」
「お母さんは?」
「……………金」
「父親の方か…」
早くここから出て行きたかった。
それから次の日になり、ようやく連絡が取れ、家で引き取ってくれるとの話が出た。それでも全く嬉しくなかった。生きた心地なんて全くなかった。
「あの人は…?あの一緒に来た人…」
「あの人はちょっともう今は…」
「今は何だ?」
魔道士の男の言葉を遮るように、シャーロットは突然目の前に現れた。
「な…?!結界をどうやって…」
「あれで止められると思ったのかい?」
「貴方が肩入れする問題では…」
「へー…でも随分怯えてるぜ?同行した方が良いんじゃねーの?コイツの意志の尊重無しってのもよお…随分と良くねえじゃねえの。え?…それとも黒式家の権威を管理できるようにするのに利用する事しか考えてなかったか?」
「くっ…!分かりました。」
彼女の表情は、誰より汚れていて、なによりも綺麗な気がした。
「こんにちは…今日から家族として暮らしていくんだよ?」
次の日現れた男は、見た目こそ今まで見てきた中で誰より優しかった。だが、その奥底が全て読み取れてしまった。
俺は車に乗り込み、シャーロットは車の窓ガラス越しに俺に手を振る。これで良かったのだろうか。そう思った直後、男の口から放たれた言葉に、俺は深い絶望を覚えた。
「後で皆に伝えろ。新しい召使いが出来たとな。……まああそこに行く前に教えてやると良いさ。」
執事と思わしき老人は、眉ひとつ動かす事なくそれに同意した。ああ、また始まるのだ、地獄が。そう思いながら俺は屋敷に入って行った。
「さて…まずは調教から始めようか。連れて行け。」
召使いを思わしき女2人が俺の腕を掴む。
「嫌だ…嫌だ…嫌だ嫌だ…ああああ…あああああ!」
床を引き摺られながら抵抗する。
「全く…つくづくどうしようもない弟だ。借金を作って逃げ…殺して終わりかと思えばこんな餓鬼まで…」
「そうだな…どうしようもねえよ。時代に取り残されてこんなことしてさあ。」
天井から突如女の声が聞こえる。
「貴様…!あの時の…!何者だ!」
「シャーロット.ギルティ.ホワイト。……まあ取り敢えずそいつを放せ。」
「な…!ついてきていたのか…?!まあいい…シャーロットとと言えば魔人戦争……いや、それ以前の100年以上の戦いで魔族を殺して回った化け物だ!がこの国にいる訳がない!奴は国に厳重に管理されているはずだ!ハッタリも大概に…」
「ははは!別に国の目の届くとこ以外にも行く方法あんだろ?まあ汚ねえ仕事のついでだよ。ヤクザひとつ沈めた帰りさ。」
「構えろ!その女を殺せ!」
男は刀を引き抜きそう叫んだ。すると、天井、壁共々から、一斉に大量の屋敷の従者が飛び出し、刀をシャーロットに浴びせる。
が、シャーロットは全てをそれらの刀を全て避け、体を捻った体勢から、一瞬の内に従者を全て吹き飛ばした。
「避けた…?!馬鹿な!見えるはずが…」
「避けたんじゃ無い…見えてるんだ…。」
明らかに見える前に行動していた。原理は不明でも、只ならぬ強さである事は確かだった。
「はあ…取り敢えず玄式には伝えとくわ。黒式は解体すべきだって。」
「ま、待て!それじゃあ私はどうなるのだ!」
「知らねえよ。切腹でもすれば?覚悟があるとは思えんがな。」
そう言うと、シャーロットは背中を向ける。行ってしまうのか?行かないで、もう1人になりたく無い。己の呼吸が荒ぶるのを感じる。すると、シャーロットは足を止め、此方に再び顔を向けた。
「ほれ、ボケッとしてないで付いてこいよ。」
呼吸は通常の感覚に戻った。走る事もしなかった。ただ彼女の元に、ゆっくり歩いてついていく俺がそこに居た。1人じゃ無いんだ、そう思えた人生初の瞬間だった。
だが、だがそれが偽りだったと気付くのは時間の問題だった。
ーーーーーーー
「あ、起きた?」
ケインは自分がベッドに寝ていた事に気づき、先程声が聞こえた方に目を運ぶ。
「ごめんね、無理させて。」
訓練時とは打って変わって、彼女の表情は柔らかかった。
「すいません…ホントに…。」
「でも申し訳ないけど、ついて行って貰わないと困るからね。いつ来るか分からないし。24時間体制で監視してるけど、動きがあったら即座に出撃するような状態だから。」
「…わかってます。」
「…なんだか必死なんだね、君。自分をなんとか取り繕おうって感じがする。」
「……」
「分かるよそう言うの。…アタシもそんな感じだし。今日はゆっくり休んでね。」
サリサはそう言うと、休憩室を出て行った。
『優しいんだか冷淡なんだか…よく分からない人だな。』
ケインはベッドから出て立ち上がると、不意に頭を掻きむしった。
ーーー
「おおケインか。…お前倒れたんだってなあ。」
セシルはニヤニヤとケインを見ながら言う。
「…まあお恥ずかしながら。」
「後汗臭えから風呂行け。…風呂閉まるまで後10分だぞ?」
「マジっすか?!ちょっと待ってくれよ…」
ケインは早足にシャワールームへと向かった。
「アブネー…さっさと洗って…」
不意にシャワーの仕切りから目にした顔に、ケインの視線は固定された。それは紛れもなくサリサだった。
「……あ、もう大丈夫?」
「え…?あ、はい。」
男?いや姿はどう考えても女だ。口調に関しても同様にそう。
「…見惚れちゃった?やっぱ可愛い?あー言わないで!髪が綺麗で匂いを嗅ぎたいですって言いたいんでしょ?やっぱ男の人は臭い気にするって言うし?」
「いや俺はロングよりショート派と言うか…」
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「ついでに言うと体細い方が…」
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サリサはわざとらしく顔を覆い、シャワー室を出て行く。
「あーあ…いつもは誰もいない時間だから油断してたなあ。」
サリサは周囲に誰もいないことに安堵すると、そんな独り言を漏らした。
0
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