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魔人衝突編
予兆③
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「…という訳で念の為復習を。…魔能力の種類については理解できていますか?」
「はい。主に魔能力は物体や思念を読み取る解析型、物体を操作したり魔力を具現化する念動型、ある程度の記憶した魔力情報を物体や場に付与、記憶させる定着型の三種類に分かれている…でしたっけ?」
「はい。…そこら辺は理解しているようですね。では魔能力を使用する際にそこから魔法に派生させるには?」
「それぞれの系統の魔能力には魔力の性質の違いがあるので、自身の能力に他の系統の性質の魔力を組み合わせる事で一つの魔法に派生させる。……二つの系統の魔力同士を組み合わせたものを二層魔法、三つの魔力同士を組み合わせたものを三層魔法と言う。」
「……まるで教科書をそのまま読んでいるような説明の仕方ですね。」
「ええ、教えられた事丸暗記ですので。」
「…なるほど分かりました。この二層魔法、三層魔法においてはただ単に三つの系統を組み合わせるだけでなく、微妙な調節具合で大きく変化します。……まあとは言っても普通は3つか4つが限界ですし、三層魔法を使用できる魔導師はかなりの実力が無ければ不可能です…。なのでまずは自身の魔能力の理解と二層魔法の習得からいきましょう。……魔殲.絶対魔法.超常魔法.全能魔法はもう諦めた方が良いかと。」
「はあ…成程。…なぜ腰の刀を持っているんですか?」
「あ…しまった…人に教えると直ぐに殺し合いたくなってしまうもので…。」
「先輩1人にしないでください」
レドは、一人戻ろうとするケインを、取り押さえる形で引き留める。
「嫌じゃ!俺は帰る!もうあいつと斬り合うのはウンザリだ!」
「あ…それと…二層魔法の実践に於いてはケインさんに習って下さい。彼は魔法習得と実践力においては天才と言えるので。」
「……教えて下さいね?」
レドは表情を変えず、ケインの服を強く掴む。
「畜生逃げられない!」
話が纏まった後、レドは花織に向かい合うように立つと、自身の掌に力を込める。
「……出ませんね。」
花織はポツリとつぶやく。
「やっぱり条件付きですかね。…魔能力でも解析できる人でもいれば良いんですが…」
「…そこまで細かく解析できたら世話ねーわな。…条件付きならアレだな…定着型か。それも自身に先天的に定着している類の。」
「相当珍しい…。定着型の魔能力は全体の3割で、かつ先天的に自身の身体に付いているなどもっと少ない。意外にも貴方はイレギュラーなんですね。…一応条件としては思い当たる所があるんでしょう?」
「ええ…アレが発動した時、僕は感情を露わにしていました。…僕は普段殆ど感情を表に…いやそもそも感情を内からも起こすことすらなかった。…故に魔能力を持つ判定があっても、今の今まで発動しなかったんだと思います。」
「…成程、ケインさん、どう思います?」
「どう思うも何も…やらん事には分からんだろう。…しっかしなあ…感情を出すっつっても…。」
「…出せませんね。恐らくですが…先輩なんかが殺されかけないとそういう感情は露わにできないかと…。」
「……」
「おいなんで俺の方を見た。…俺と斬り合う口実にならないかと考えてないか?!なあ!今そう考えてるだろ!」
「…何故お二人はそう言った関係に…?」
レドは素朴な疑問のつもりで2人に質問した。だが、途端に2人の表情は苦いものへと変わる。
「……家系上色々ございまして。」
「まあ…俺の父親ってのは…こいつとの繋がりがあるんだわ。…血縁的にはほぼ他人くらい薄いがな。」
「親…」
「親っつっても俺妊娠したって聞いたら速攻で逃げたらしいがな。」
「……あなたはその苗字が…黒式を名乗って辛く無いのですか?顔も知らぬ父の姓など名乗って…」
「…まあ俺の場合母親の方が恨みがあるし…。親父の方には…恨みがないかと言われるとあるが…苗字を変えたら俺じゃ無いと思うんだわ。だからこのままにする。」
「知っているとは思いますが、黒式は数年前に解体されました。あれほどのことを裏でしていたのだから…しょうがない。まあ私の家も大概ですが。」
「ああーいいからそういうのは…。ホントに良い。どうしようもないだろ?」
「ここにいる人たちはおおよそ普通の家庭環境ではないんですね…。意外と僕は恵まれていたんですかね…。少なくとも母には愛されていましたし。
「……どのように?」
「僕は一度死産する可能性があったらしいです。しかし奇跡的に生まれてきた。……故に母は大層喜んだんだそうです。その結果がアレですが。」
「……まあ生まれてきたことに意味があるって奴だ。お前もお前で気にすんな。生まれやらに優劣はあんましないと思うぞ?」
「それで…続きがあるんでしょう?」
レドは、ケインの方を見ずにそう追求する。
「ズカズカ聞いてくるなお前…俺も言えた話じゃないが。まあそれで?一回俺らが依頼で密輸入してあった魔導具を回収したことがあったのよ。…その中にこの『物干し竿』があったって訳だ。」
「物干し竿は世界四大魔剣の一つ…。かつて大和の国の剣豪が決闘にて敗れた後、勝者に渡したとされる魔剣…。残りの3つの魔道具はケラウノス、エクスカリバー、パシュパラストラです。ただこの四大魔剣と言うのは、あくまで『生まれが不明な謎の多い魔剣』を条件にした上なので、強さで言えば肩を並べる武器も多いですね。例えば……天仙においては蚩尤なんかもそうですね。戦乱の時代だと闘いの神として祀られていたんですが……後に形を所有者に応じて変形させて、無限に武器を生み出す魔道具という事が分かっています。特に剣の精度は凄まじいらしく、魔剣というカテゴリに入れるなら確実に最上位クラスです。」
「ああ…それが色々とルートで出回って、どうやら俺に『適合』しちまったらしい。…この魔道具は魔法使用に必要な過程や付属する能力を任意で無視できる力がある。用は俺の場合は、最低限の条件である『魔力の消費』と『刀で触れる』意外を無視できるって訳だ。……まあ随分なチートだわな。魔法陣の仕様すらも無視できる。」
「適合してしまった魔道具は適合者が死ぬまではその人間しか使用できない。……私は数年前にこの国の国公魔道士として派遣されたのですが、偶然彼がこの魔道具を使用している姿を発見しまして、色々と彼をつけている内にここまで堕ちました。」
「堕ちるとかいうな!堕ちるとか!」
「国公なら本部に知らせるべきだったのでは?世界4大魔剣とあれば所有したがるはず。」
「あー…知らせたんですが…まあここに限っては国公も特別待遇と言いますか…。『またとんでもない事しでかしたかこいつら』見たいな顔で流されました。あの魔道具は元々私たちの家系のものだったんです。…ただ魔人戦争で紛失しまして、失った当初こそ、あの魔道具が他の家系や政権に於ける抑止力のような形で働いていたんですが…アレを失ったせいで探しているウチに私の家系の権威が無くなっていって、さらには時代が進むたびに魔道士の家系やらが少なくなって行き、権威のあり方も変わったもので、その必要性がなくなったんでしょう。…それでもうちはまあまあ権威がありますが。とにかくそれに対する執着は無くなりました。」
「…………僕らは国公にかなり警戒されているのでは?…まあ薄々そんな感じはしていましたが。」
「まあそうだな。…所長がいるから下手に手を出せんだけだよ。」
「……シャーロットさんは昔は国公だったのでしょう?…なんらかのきっかけで国公に対しての敵対心でも抱いているんですか?」
「うーん…敵対はしてないと思うぞ?だよな?」
「ええ…彼女にそう言う態度は見えませんでした。」
「なんつーか…国公に従うのが嫌とか、戦争で精神が崩壊したとか、そういうハナシじゃないと思うんだわ。…決して自分の口から出そうとはしないから俺にも全く分からん。…聞いたところでタバコ吸ってどっかに行かれるだけだ。ただ…自分の在り方を常に探しているというか…。」
「……彼女は何歳なんですかね?」
「あー…いくつだったか?650歳かそこらじゃないか?あの人は数えるの飽きたっぽいから正確なのは知らんみたいだが…。」
ケインと花織は、突如何かを察知し、比較的穏やかだった目つきが鋭利なものへと変化する。
「……一般人の魔力と違う。……かと言って魔族のものでもない…。この周辺の奴は……魔道兵か。」
「随分と警戒されているようですね。……まあ今まであそこまで暴れ回ってそうならない方がおかしいか。」
「……僕じゃよく分からないんですが……そうなっている理由は大体分かります。…彼らは僕らを拘束したい訳ではないと思います。」
「…やっぱりここら最近のアレか?」
「ええ…。詳しく事情を聞きたいっていうのもあるんでしょうが…おそらく僕らを戦力増強に使いたいのかと。」
「……あのー!何かあるならせめて玄関から出てください!」
ケインは声を張り上げて叫ぶ。しばらくの沈黙の後、開いた屋上の扉の先からインターホンの音が鳴る。
「……律儀に押すのかよ。」
ケインはまさに拍子抜けしたような表情をした。
ーーーーー
「こんにちわー。……少し話を聞いてもらって貰えませんかね?」
隊服に身を包んだ女性が落ち着いた声で話しかける。
「…所長ですか?……今寝てるんですが。」
ケインの警戒は解けていないようで若干身構えたままだった。
「……所長。起きてくださ…」
花織がシャーロットを起こしに向うより先に、シャーロットは起床し、起き上がると、玄関前へと早足に向かっていった。
「…出てやりな。」
頭をかきむしりながらシャーロットはケインに言う。ケインは慎重かつ迅速に扉を開く。
「あーどーもどーもご対応ありがとうございます。……私はアン.ナーサリー。一応これでも射撃部隊第三部隊長にして大尉ですので。」
アンは被った帽子の唾を摘むと、顔を見せるように挨拶した。
「……まあ入れ。」
シャーロットは室内へと親指を向けた。
「…だって。ね?言ったでしょ?そこまで警戒する必要ないって。」
アンは後ろに付いていた部下2人の肩に手を乗せてそう言った。
「はい。主に魔能力は物体や思念を読み取る解析型、物体を操作したり魔力を具現化する念動型、ある程度の記憶した魔力情報を物体や場に付与、記憶させる定着型の三種類に分かれている…でしたっけ?」
「はい。…そこら辺は理解しているようですね。では魔能力を使用する際にそこから魔法に派生させるには?」
「それぞれの系統の魔能力には魔力の性質の違いがあるので、自身の能力に他の系統の性質の魔力を組み合わせる事で一つの魔法に派生させる。……二つの系統の魔力同士を組み合わせたものを二層魔法、三つの魔力同士を組み合わせたものを三層魔法と言う。」
「……まるで教科書をそのまま読んでいるような説明の仕方ですね。」
「ええ、教えられた事丸暗記ですので。」
「…なるほど分かりました。この二層魔法、三層魔法においてはただ単に三つの系統を組み合わせるだけでなく、微妙な調節具合で大きく変化します。……まあとは言っても普通は3つか4つが限界ですし、三層魔法を使用できる魔導師はかなりの実力が無ければ不可能です…。なのでまずは自身の魔能力の理解と二層魔法の習得からいきましょう。……魔殲.絶対魔法.超常魔法.全能魔法はもう諦めた方が良いかと。」
「はあ…成程。…なぜ腰の刀を持っているんですか?」
「あ…しまった…人に教えると直ぐに殺し合いたくなってしまうもので…。」
「先輩1人にしないでください」
レドは、一人戻ろうとするケインを、取り押さえる形で引き留める。
「嫌じゃ!俺は帰る!もうあいつと斬り合うのはウンザリだ!」
「あ…それと…二層魔法の実践に於いてはケインさんに習って下さい。彼は魔法習得と実践力においては天才と言えるので。」
「……教えて下さいね?」
レドは表情を変えず、ケインの服を強く掴む。
「畜生逃げられない!」
話が纏まった後、レドは花織に向かい合うように立つと、自身の掌に力を込める。
「……出ませんね。」
花織はポツリとつぶやく。
「やっぱり条件付きですかね。…魔能力でも解析できる人でもいれば良いんですが…」
「…そこまで細かく解析できたら世話ねーわな。…条件付きならアレだな…定着型か。それも自身に先天的に定着している類の。」
「相当珍しい…。定着型の魔能力は全体の3割で、かつ先天的に自身の身体に付いているなどもっと少ない。意外にも貴方はイレギュラーなんですね。…一応条件としては思い当たる所があるんでしょう?」
「ええ…アレが発動した時、僕は感情を露わにしていました。…僕は普段殆ど感情を表に…いやそもそも感情を内からも起こすことすらなかった。…故に魔能力を持つ判定があっても、今の今まで発動しなかったんだと思います。」
「…成程、ケインさん、どう思います?」
「どう思うも何も…やらん事には分からんだろう。…しっかしなあ…感情を出すっつっても…。」
「…出せませんね。恐らくですが…先輩なんかが殺されかけないとそういう感情は露わにできないかと…。」
「……」
「おいなんで俺の方を見た。…俺と斬り合う口実にならないかと考えてないか?!なあ!今そう考えてるだろ!」
「…何故お二人はそう言った関係に…?」
レドは素朴な疑問のつもりで2人に質問した。だが、途端に2人の表情は苦いものへと変わる。
「……家系上色々ございまして。」
「まあ…俺の父親ってのは…こいつとの繋がりがあるんだわ。…血縁的にはほぼ他人くらい薄いがな。」
「親…」
「親っつっても俺妊娠したって聞いたら速攻で逃げたらしいがな。」
「……あなたはその苗字が…黒式を名乗って辛く無いのですか?顔も知らぬ父の姓など名乗って…」
「…まあ俺の場合母親の方が恨みがあるし…。親父の方には…恨みがないかと言われるとあるが…苗字を変えたら俺じゃ無いと思うんだわ。だからこのままにする。」
「知っているとは思いますが、黒式は数年前に解体されました。あれほどのことを裏でしていたのだから…しょうがない。まあ私の家も大概ですが。」
「ああーいいからそういうのは…。ホントに良い。どうしようもないだろ?」
「ここにいる人たちはおおよそ普通の家庭環境ではないんですね…。意外と僕は恵まれていたんですかね…。少なくとも母には愛されていましたし。
「……どのように?」
「僕は一度死産する可能性があったらしいです。しかし奇跡的に生まれてきた。……故に母は大層喜んだんだそうです。その結果がアレですが。」
「……まあ生まれてきたことに意味があるって奴だ。お前もお前で気にすんな。生まれやらに優劣はあんましないと思うぞ?」
「それで…続きがあるんでしょう?」
レドは、ケインの方を見ずにそう追求する。
「ズカズカ聞いてくるなお前…俺も言えた話じゃないが。まあそれで?一回俺らが依頼で密輸入してあった魔導具を回収したことがあったのよ。…その中にこの『物干し竿』があったって訳だ。」
「物干し竿は世界四大魔剣の一つ…。かつて大和の国の剣豪が決闘にて敗れた後、勝者に渡したとされる魔剣…。残りの3つの魔道具はケラウノス、エクスカリバー、パシュパラストラです。ただこの四大魔剣と言うのは、あくまで『生まれが不明な謎の多い魔剣』を条件にした上なので、強さで言えば肩を並べる武器も多いですね。例えば……天仙においては蚩尤なんかもそうですね。戦乱の時代だと闘いの神として祀られていたんですが……後に形を所有者に応じて変形させて、無限に武器を生み出す魔道具という事が分かっています。特に剣の精度は凄まじいらしく、魔剣というカテゴリに入れるなら確実に最上位クラスです。」
「ああ…それが色々とルートで出回って、どうやら俺に『適合』しちまったらしい。…この魔道具は魔法使用に必要な過程や付属する能力を任意で無視できる力がある。用は俺の場合は、最低限の条件である『魔力の消費』と『刀で触れる』意外を無視できるって訳だ。……まあ随分なチートだわな。魔法陣の仕様すらも無視できる。」
「適合してしまった魔道具は適合者が死ぬまではその人間しか使用できない。……私は数年前にこの国の国公魔道士として派遣されたのですが、偶然彼がこの魔道具を使用している姿を発見しまして、色々と彼をつけている内にここまで堕ちました。」
「堕ちるとかいうな!堕ちるとか!」
「国公なら本部に知らせるべきだったのでは?世界4大魔剣とあれば所有したがるはず。」
「あー…知らせたんですが…まあここに限っては国公も特別待遇と言いますか…。『またとんでもない事しでかしたかこいつら』見たいな顔で流されました。あの魔道具は元々私たちの家系のものだったんです。…ただ魔人戦争で紛失しまして、失った当初こそ、あの魔道具が他の家系や政権に於ける抑止力のような形で働いていたんですが…アレを失ったせいで探しているウチに私の家系の権威が無くなっていって、さらには時代が進むたびに魔道士の家系やらが少なくなって行き、権威のあり方も変わったもので、その必要性がなくなったんでしょう。…それでもうちはまあまあ権威がありますが。とにかくそれに対する執着は無くなりました。」
「…………僕らは国公にかなり警戒されているのでは?…まあ薄々そんな感じはしていましたが。」
「まあそうだな。…所長がいるから下手に手を出せんだけだよ。」
「……シャーロットさんは昔は国公だったのでしょう?…なんらかのきっかけで国公に対しての敵対心でも抱いているんですか?」
「うーん…敵対はしてないと思うぞ?だよな?」
「ええ…彼女にそう言う態度は見えませんでした。」
「なんつーか…国公に従うのが嫌とか、戦争で精神が崩壊したとか、そういうハナシじゃないと思うんだわ。…決して自分の口から出そうとはしないから俺にも全く分からん。…聞いたところでタバコ吸ってどっかに行かれるだけだ。ただ…自分の在り方を常に探しているというか…。」
「……彼女は何歳なんですかね?」
「あー…いくつだったか?650歳かそこらじゃないか?あの人は数えるの飽きたっぽいから正確なのは知らんみたいだが…。」
ケインと花織は、突如何かを察知し、比較的穏やかだった目つきが鋭利なものへと変化する。
「……一般人の魔力と違う。……かと言って魔族のものでもない…。この周辺の奴は……魔道兵か。」
「随分と警戒されているようですね。……まあ今まであそこまで暴れ回ってそうならない方がおかしいか。」
「……僕じゃよく分からないんですが……そうなっている理由は大体分かります。…彼らは僕らを拘束したい訳ではないと思います。」
「…やっぱりここら最近のアレか?」
「ええ…。詳しく事情を聞きたいっていうのもあるんでしょうが…おそらく僕らを戦力増強に使いたいのかと。」
「……あのー!何かあるならせめて玄関から出てください!」
ケインは声を張り上げて叫ぶ。しばらくの沈黙の後、開いた屋上の扉の先からインターホンの音が鳴る。
「……律儀に押すのかよ。」
ケインはまさに拍子抜けしたような表情をした。
ーーーーー
「こんにちわー。……少し話を聞いてもらって貰えませんかね?」
隊服に身を包んだ女性が落ち着いた声で話しかける。
「…所長ですか?……今寝てるんですが。」
ケインの警戒は解けていないようで若干身構えたままだった。
「……所長。起きてくださ…」
花織がシャーロットを起こしに向うより先に、シャーロットは起床し、起き上がると、玄関前へと早足に向かっていった。
「…出てやりな。」
頭をかきむしりながらシャーロットはケインに言う。ケインは慎重かつ迅速に扉を開く。
「あーどーもどーもご対応ありがとうございます。……私はアン.ナーサリー。一応これでも射撃部隊第三部隊長にして大尉ですので。」
アンは被った帽子の唾を摘むと、顔を見せるように挨拶した。
「……まあ入れ。」
シャーロットは室内へと親指を向けた。
「…だって。ね?言ったでしょ?そこまで警戒する必要ないって。」
アンは後ろに付いていた部下2人の肩に手を乗せてそう言った。
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