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天上編
独裁政権
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一同は、目の前に広がる光景に驚愕していた。近未来的な、楕円形型の純白のビル群。空を飛び交う天使達。そして、雲ひとつない真っ青な空。よくみると、その天井にはガラスのようなものが貼られている。
「うおおおお……なんだこれ……!」
見たこともないその光景に、カンダタ含め、一同は感動していた。その光景の織りなす美しさは、最早芸術的とすら呼べるだろう。
「感動してるのは後。とにかくここから離れましょう。」
そんな一同をアテナはその一言で一蹴する。我に帰ったカンダタ達は、エレベーターから離れる。
「どうするんですか?天界の空港でも持ち物検査とかありますよ?」
牛頭の問いに、アテナはチッチッチ、と指を揺らす。
「大丈夫、ここまで来たらこっちのものよ。」
アテナは、空港のガラスに右手を置くと、フン、と言う声と共に手のひらから瘴気を解き放った。すると、突然ガラスはドロドロと溶け出し、巨大な穴を作り出した。
「え……どう言う事だい、これ。」
困惑する美琴に、アテナは説明する。
「このガラスは特殊な瘴気でできてる。オリンポスの神々でもない限りは壊せないのよ。オリンポスの神々でもない限りは、ね?」
彼女は自分自身に向けて親指を立てて言う。なるほど、流石にオリンポス12神が不法侵入すると言う想定はされていなかったらしい。アテナは「じゃ、行くわよ。」と言うと、空いた穴に飛び込んでいった。それに続くように、一同はそこに飛び込んでいく。
「おーい、これからどうするんだ?」
落下しながら、カンダタはアテナに聞く。
「取り敢えず情報を聞くの。今、どんな状態なのか知る必要があるわ。」
「それよりどうやって着地するんですかああああああ!!」
落下した状態から着地する手段を持たない納言は、そのままぐしゃ、と地面に激突してしまった。
「あ。」
「納言、死んだ。」
馬頭は、その場で血肉を垂らす納言を見ながら、ポツリと声を漏らす。即座に体を再生させた納言は、うーんとその場から起き上がる。
「ここは……」
周囲をキョロキョロと見渡す納言に対し、アテナは説明する。
「天界の市場よ。……ここなら、色んな情報が流れこんでくる。」
彼女がそう説明した市場には、大量の人が行き交っていた。規則正しく設置された売店からは、ザワザワと声が聞こえてくる。先ほどまでの近未来らしさとは似ても似つかない、どこか貧相さを漂わせた空間だった。
「これは……また随分と……」
美琴は後頭部を掻きむしり、言葉を詰まらせる。こんな場所が、天界にあるとは到底信じられなかったからだ。
「とにかく行きましょう。情報収集よ。」
アテナの後について行くように、一同は市場の中を歩いて行った。
「……」
カンダタは、売られている商品に目を運ぶ。だが、その商品は明らかに品質が悪く、売られるお土産にはどれも鯖が生えていた。道ゆく人々は、彼らをジロジロと見る。牛頭は、その視線に恐怖する馬頭を引き寄せ、大丈夫、と頭を撫でた。アテナも、その異変に気づいていた。だからこそ……
「ねぇ、ちょっとそこの占い師!色々質問したいのだけれど。」
アテナはそう言うと、売店の間に設置された、こじんまりとした占い屋の机をバンと叩く。突然詰め寄られた占い師の女は、目をぱちくりとさせるが、即座に正気に戻り、不敵な笑みを浮かべて彼女に聞き返した。
「例えば、どんな事かしら?」
「この状況よ。天界に観光に来たのだけれど、正直言って、活気がないのよ。ここはもっと賑わってるって聞いたのだけれど?」
アテナは知っていた。庶民の暮らしに憧れ、何度も訪れたからこそ分かる。来た時は、この時の何倍も賑わっていた。明らかに、道ゆく人々の顔には生気がこもっていない。
「……と言うと?」
「ここ最近、何かあったの?例えば……ゼウス神の、政府の方針が変わったとか。」
占い師は、何も答えない。ただチラリと机に置いた自身の右手の手前に視線を運ぶだけだった。ああ、そう言うことか。と意図を悟ったアテナは、懐から出した金を、そこに置いた。
「まず……1ヶ月ほど前かしら。神々による国内での規制が突然行われたの。
1.一定以上の労働を禁ずる
2.同じ階級間以外での交渉を禁ずる
3.政府の配給以外での食事の接種を禁ずる
……この3つの条例が敷かれた。配給される食料も少ないし、何より階級の違うもの同士での交渉ができなくなった。その上、労働の規制まで入ったものだから、どんどん民衆は飢えていった。」
階級……それはオリンポスにおいては重要な区分である。神、天使、人。細かく分かればもっとあるが、階級は主にこの3つに分けられている。だから、人は人以上になれず、神は神以下になれない。そういう決まりになっている。だが、階級が違うもの同士でも交渉自体はできた。だからこそ、人の要求は神にも通すことができた。それができなくなった、という意味は、つまり……完全な独裁政治を意味する。アテナはごくりと唾を飲み込んだ。一体、ゼウス神は……お父様はどうしてしまったと言うのだ。
「……ありがとう、助かったわ。」
アテナはその場を去ろうとする。
「……おかしいと思わない?」
占い師は、突然ニヤリと笑うと、彼女に向けてそう言った。どう言う意味だ、と聞き返そうとするが、彼女はその直後、その意味を即座に悟った。
「誰1人としてここで文句を漏らさない……愚痴の一つもこぼしていいのに、ね?」
アテナは後ろで待機する一同に向けて叫ぶ。
「みんな!走って!」
彼女が叫ぶと同時に、彼らは走り出す。占い師は、悍ましい笑顔を浮かべると、
「アテナよ!指名手配されてたオリンポス12神よおおおおおおおおおお?!」
しまった、なんたる失態。自分の顔が知られていない訳がないし、指名手配されていない訳もないじゃないか。アテナは、自身の無能さを悔いた。
「来る……!オリンポスの防衛システム……ギガンテス!」
周囲の地形が変化する。徐々に、かつ急速に盛り上がっていく。周囲の人間はそれから逃げようと退避するが、その数人はその変化に巻き込まれてしまった。山状に膨れ上がったその地形は、全長10mを超える巨人へと姿を変えた。それも、1体ではない。続々とそれは増幅していく。
「あはははははは!!私のもの!報酬金は私のものよお!!!」
占い師は、ゲラゲラと笑いながら空を見上げる。だが、その直後に襲った巨人の足によって、彼女は潰されてしまった。
「おいおいおいおい……どうすんだよこれ!!お前あいつらどうにかなんねーのか?!」
カンダタはアテナに聞くが、彼女は顔を顰めながら
「あいつは神性に対しての耐性をもつ……神器でも使わない限りは倒せない!」
「そのジンギってのを使えよ!」
「今は持ってないの!!ましてや貴方達にも対処できるとは思えない……とにかく逃げなきゃ!」
一同は市場を抜け、その先にある住宅街へと転がり込む。だが、そんな事などお構いなしに、ギガンテスは彼女たちを追跡する。
「はあ……はあ……誰かあ……!」
体力の限界を迎えた納言は、徐々にグループから離れていき、ギガンテスに追いつかれてしまった。
「あ……あああ……わぁぁぁぁぁ!!!」
ギガンテスに蹴り上げられた彼は、そのまま前方に吹き飛ばされた。
「納言!!……くそ!」
目の前に落下した納言を、カンダタはつかむ。納言が再生するまでは時間がかかる。それまで、こいつを抱えて逃げられるか?彼が思考を巡らせたその時だった。目の前に、巨大な壁が立ちはだかった。
「これは……!」
「行き止まりかよ……!」
どうすれば……どうすれば……戸惑うカンダタに対して、マカは叫ぶ。
「カンダタさん!登りましょう!……ほら!」
マカは塀をよじ登ると、一同に言う。それぞれは、同様に塀をよじ登ると、壁の向こう側へと渡っていく。
「カンダタさん!!」
マカは、残ったカンダタに手を伸ばす。だが、彼は納言を抱えている。その間に、ギガンテスは追いついてしまうだろう。
「マカさん、後は頼んだ。ここは俺がやる。」
カンダタは納言を壁の向こう側に放り投げると、目の前のギガンテスに刀を向ける。
「カンダタさん……ちょっと待って……」
「大丈夫、アンタは俺が守るから。」
彼は、笑顔でそう言った。よし、来い。と一言言うと、カンダタはギガンテスの大群へと向かっていく。そんな、どうして。とマカが手を伸ばしたその時だった。
「……こっちです!」
地面から伸ばされた手が、カンダタ含めた一同の足を掴んでいた。え、とカンダタが声を漏らしたその直後、一同は一瞬のうちに地面に引き寄せられ、沈んでいってしまった。
「うおおおお……なんだこれ……!」
見たこともないその光景に、カンダタ含め、一同は感動していた。その光景の織りなす美しさは、最早芸術的とすら呼べるだろう。
「感動してるのは後。とにかくここから離れましょう。」
そんな一同をアテナはその一言で一蹴する。我に帰ったカンダタ達は、エレベーターから離れる。
「どうするんですか?天界の空港でも持ち物検査とかありますよ?」
牛頭の問いに、アテナはチッチッチ、と指を揺らす。
「大丈夫、ここまで来たらこっちのものよ。」
アテナは、空港のガラスに右手を置くと、フン、と言う声と共に手のひらから瘴気を解き放った。すると、突然ガラスはドロドロと溶け出し、巨大な穴を作り出した。
「え……どう言う事だい、これ。」
困惑する美琴に、アテナは説明する。
「このガラスは特殊な瘴気でできてる。オリンポスの神々でもない限りは壊せないのよ。オリンポスの神々でもない限りは、ね?」
彼女は自分自身に向けて親指を立てて言う。なるほど、流石にオリンポス12神が不法侵入すると言う想定はされていなかったらしい。アテナは「じゃ、行くわよ。」と言うと、空いた穴に飛び込んでいった。それに続くように、一同はそこに飛び込んでいく。
「おーい、これからどうするんだ?」
落下しながら、カンダタはアテナに聞く。
「取り敢えず情報を聞くの。今、どんな状態なのか知る必要があるわ。」
「それよりどうやって着地するんですかああああああ!!」
落下した状態から着地する手段を持たない納言は、そのままぐしゃ、と地面に激突してしまった。
「あ。」
「納言、死んだ。」
馬頭は、その場で血肉を垂らす納言を見ながら、ポツリと声を漏らす。即座に体を再生させた納言は、うーんとその場から起き上がる。
「ここは……」
周囲をキョロキョロと見渡す納言に対し、アテナは説明する。
「天界の市場よ。……ここなら、色んな情報が流れこんでくる。」
彼女がそう説明した市場には、大量の人が行き交っていた。規則正しく設置された売店からは、ザワザワと声が聞こえてくる。先ほどまでの近未来らしさとは似ても似つかない、どこか貧相さを漂わせた空間だった。
「これは……また随分と……」
美琴は後頭部を掻きむしり、言葉を詰まらせる。こんな場所が、天界にあるとは到底信じられなかったからだ。
「とにかく行きましょう。情報収集よ。」
アテナの後について行くように、一同は市場の中を歩いて行った。
「……」
カンダタは、売られている商品に目を運ぶ。だが、その商品は明らかに品質が悪く、売られるお土産にはどれも鯖が生えていた。道ゆく人々は、彼らをジロジロと見る。牛頭は、その視線に恐怖する馬頭を引き寄せ、大丈夫、と頭を撫でた。アテナも、その異変に気づいていた。だからこそ……
「ねぇ、ちょっとそこの占い師!色々質問したいのだけれど。」
アテナはそう言うと、売店の間に設置された、こじんまりとした占い屋の机をバンと叩く。突然詰め寄られた占い師の女は、目をぱちくりとさせるが、即座に正気に戻り、不敵な笑みを浮かべて彼女に聞き返した。
「例えば、どんな事かしら?」
「この状況よ。天界に観光に来たのだけれど、正直言って、活気がないのよ。ここはもっと賑わってるって聞いたのだけれど?」
アテナは知っていた。庶民の暮らしに憧れ、何度も訪れたからこそ分かる。来た時は、この時の何倍も賑わっていた。明らかに、道ゆく人々の顔には生気がこもっていない。
「……と言うと?」
「ここ最近、何かあったの?例えば……ゼウス神の、政府の方針が変わったとか。」
占い師は、何も答えない。ただチラリと机に置いた自身の右手の手前に視線を運ぶだけだった。ああ、そう言うことか。と意図を悟ったアテナは、懐から出した金を、そこに置いた。
「まず……1ヶ月ほど前かしら。神々による国内での規制が突然行われたの。
1.一定以上の労働を禁ずる
2.同じ階級間以外での交渉を禁ずる
3.政府の配給以外での食事の接種を禁ずる
……この3つの条例が敷かれた。配給される食料も少ないし、何より階級の違うもの同士での交渉ができなくなった。その上、労働の規制まで入ったものだから、どんどん民衆は飢えていった。」
階級……それはオリンポスにおいては重要な区分である。神、天使、人。細かく分かればもっとあるが、階級は主にこの3つに分けられている。だから、人は人以上になれず、神は神以下になれない。そういう決まりになっている。だが、階級が違うもの同士でも交渉自体はできた。だからこそ、人の要求は神にも通すことができた。それができなくなった、という意味は、つまり……完全な独裁政治を意味する。アテナはごくりと唾を飲み込んだ。一体、ゼウス神は……お父様はどうしてしまったと言うのだ。
「……ありがとう、助かったわ。」
アテナはその場を去ろうとする。
「……おかしいと思わない?」
占い師は、突然ニヤリと笑うと、彼女に向けてそう言った。どう言う意味だ、と聞き返そうとするが、彼女はその直後、その意味を即座に悟った。
「誰1人としてここで文句を漏らさない……愚痴の一つもこぼしていいのに、ね?」
アテナは後ろで待機する一同に向けて叫ぶ。
「みんな!走って!」
彼女が叫ぶと同時に、彼らは走り出す。占い師は、悍ましい笑顔を浮かべると、
「アテナよ!指名手配されてたオリンポス12神よおおおおおおおおおお?!」
しまった、なんたる失態。自分の顔が知られていない訳がないし、指名手配されていない訳もないじゃないか。アテナは、自身の無能さを悔いた。
「来る……!オリンポスの防衛システム……ギガンテス!」
周囲の地形が変化する。徐々に、かつ急速に盛り上がっていく。周囲の人間はそれから逃げようと退避するが、その数人はその変化に巻き込まれてしまった。山状に膨れ上がったその地形は、全長10mを超える巨人へと姿を変えた。それも、1体ではない。続々とそれは増幅していく。
「あはははははは!!私のもの!報酬金は私のものよお!!!」
占い師は、ゲラゲラと笑いながら空を見上げる。だが、その直後に襲った巨人の足によって、彼女は潰されてしまった。
「おいおいおいおい……どうすんだよこれ!!お前あいつらどうにかなんねーのか?!」
カンダタはアテナに聞くが、彼女は顔を顰めながら
「あいつは神性に対しての耐性をもつ……神器でも使わない限りは倒せない!」
「そのジンギってのを使えよ!」
「今は持ってないの!!ましてや貴方達にも対処できるとは思えない……とにかく逃げなきゃ!」
一同は市場を抜け、その先にある住宅街へと転がり込む。だが、そんな事などお構いなしに、ギガンテスは彼女たちを追跡する。
「はあ……はあ……誰かあ……!」
体力の限界を迎えた納言は、徐々にグループから離れていき、ギガンテスに追いつかれてしまった。
「あ……あああ……わぁぁぁぁぁ!!!」
ギガンテスに蹴り上げられた彼は、そのまま前方に吹き飛ばされた。
「納言!!……くそ!」
目の前に落下した納言を、カンダタはつかむ。納言が再生するまでは時間がかかる。それまで、こいつを抱えて逃げられるか?彼が思考を巡らせたその時だった。目の前に、巨大な壁が立ちはだかった。
「これは……!」
「行き止まりかよ……!」
どうすれば……どうすれば……戸惑うカンダタに対して、マカは叫ぶ。
「カンダタさん!登りましょう!……ほら!」
マカは塀をよじ登ると、一同に言う。それぞれは、同様に塀をよじ登ると、壁の向こう側へと渡っていく。
「カンダタさん!!」
マカは、残ったカンダタに手を伸ばす。だが、彼は納言を抱えている。その間に、ギガンテスは追いついてしまうだろう。
「マカさん、後は頼んだ。ここは俺がやる。」
カンダタは納言を壁の向こう側に放り投げると、目の前のギガンテスに刀を向ける。
「カンダタさん……ちょっと待って……」
「大丈夫、アンタは俺が守るから。」
彼は、笑顔でそう言った。よし、来い。と一言言うと、カンダタはギガンテスの大群へと向かっていく。そんな、どうして。とマカが手を伸ばしたその時だった。
「……こっちです!」
地面から伸ばされた手が、カンダタ含めた一同の足を掴んでいた。え、とカンダタが声を漏らしたその直後、一同は一瞬のうちに地面に引き寄せられ、沈んでいってしまった。
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