この荒廃した世界は何故?

ワルシャワ

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オルテガミスの黄昏

母なる思い

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エドワードは、ワーグナーから聞いたいずれこの国は滅ぶという言葉を聞いて、怖くなっていた。マグノリアはあれから、相変わらず変わらない様子。色々な事が起こったのにマグノリアは強いなってちょっとネガティブになっていた。そんなさなか、オルテガミス共和国の城主宛に配達物が届いた。それは奇妙な配達員。その配達員が実際に渡すように言った宛名は、エドワードの父ギルスタッドだった。受け取った衛兵の話だと、配達員はまるで見たことない服装を着ていたと言う。どうも、学校で学んだ異世界で起きたと言われてる第二次大世界戦役の頃のヒノマルの国の服装にとても酷似していたという。顔はよくわからないが結構特徴的な格好だったようだ。
最終的に、ギルスタッドは死んでいるのもあって、息子であるエドワードが受け取った。家に帰ると、その配達物を開けてみた。その中には、手紙と花だった。手紙にはこう書いてあった。元気にしてますか?ギル兄様。私は元気です。貴方に息子を任せるって言ったけど、ちゃんと育てられてますか?大人になった息子を想像しながら、私は毎日会える時を楽しみにしてます。

実は、お話したいことがあるので、いつもの場所に来て欲しいのです。一緒に同封されている花束の花言葉が鍵です。

という内容だった。エドワードは、この手紙と花束を父親の墓にお供えすることにして、その花束と手紙をとりあえず玄関のドアにかけておいた。
翌日、父親への墓参りに手紙と花束を持ち出し郊外のカレイドス墓地公園に向かった。墓地公園に入って父親の眠る墓の前で、手を合わせ、花束をかけて、
エドワードはこう言った。
お父さん、昨日お父さん宛にこんな手紙が届いたよ。花束も添えて。誰からなのかは分からないけど、お父さんに妹なんていたんだ。知らなかったよ。息子の俺にも隠すことなのかな?お父さん、なんで?と、言葉が出なくなった。涙を拭い、今日も仕事頑張るね。お父さん見守ってねと、墓の前で言って去ろうとした時、風が吹いた。風で木の落ち葉が舞った。
と、目の前に知らない女性がいた。と、父親の墓の前て手を合わせ出した。親父の知人だろうか?などと、考えながら見てると、女は振り向いた。
つい、エドワードは
あの、俺の父と面識あるのですか?
そう聞いたエドワードに、ニッコリ優しい笑顔で女は言った。
エド、大きくなりましたね。若い頃のお兄様にそっくり。
と言ってきた。エドワードは、驚きを隠せなかった。
エドワードは、
もしかして手紙と花を送っていただいた方ですか?
と、聞くと、女は
エド、私は貴方の母親でもあるのだから、そんな気を張らなくていいのよ。
と、言ってきた。
エドワードは、その言葉に確信を持った。
母親だったんですね。だから、あの手紙。でも、父は亡くなりました。亡くなった今、現れるなんて、遅いですよ。亡くなったのは、1か月前。何故、その時に来なかったのです?私は父のことをあまりに知らなさすぎる。父のことを知りたい。教えて頂けますね?
そう言うと、女は
深いため息を吐き、語った。
兄は、私の事を話さなかったのですね。だから、その他人行儀な態度を取るのでしょう。無理もありません。私には貴方を育てる権利などありませんから。
私は、貴方を産んだ時命を狙われてました。確か、この世界では2500年前のことです。私達兄弟は逃げながら生活を余儀なくされてました。私と兄は、王家の血を色濃く持つ為、長寿が約束されております。ただし、戦などに駆り出されたら当然死にます。要は、私達も刀や剣など武器で容易に死ぬということです。
あの時代はとても生きぬくのが大変だった。だって、滅びし太古の王家は常に厄災を招くなんて噂もありましたからね。事実、呪いは存在します。滅びの歌という本をご存知ですか?本というより作詞本なんですが。旅の吟遊詩人が作詞本として記した本なのです。噂ですが、その作詞本の存在をどこかで知ったアドルフ・ヒトラーという男性が必死に探したなんて逸話もある作詞本です。
なんでも、アドルフ・ヒトラーの目に入らないように、この世界のどこかに眠ってるという話を聞いたことがあります。貴方も勉強したかと思いますが、地球とこの世界の時間の流れは異なります。地球では、私達は200年が寿命なのが普通です。ただし、今や100年寿命と言います。彼らの100年はこちらでは10000年になります。ただ、それは私達特有の進化の過程でこれほどの年数生きられてると聞きます。
そして、この話もしますね。
ライセルから受けた話です。
あの日アトランティス人は自分達の大陸を失った時の事でした。ここの世界と地球をつなぐ境界線となる歪みが一瞬現れたのです。私達の先祖はその歪みを通ってこの地を来ることでしか生き残る道はりませんでした。アトランティス大陸はもはや都市伝説として地球では語られてるようですが、アトランティス大陸を失った経緯は、ある神がした事でした。ただ、それはアトランティス王家の腐敗からくる天災として、もたらした事です。ただ、問題なのはここから。そもそもアトランティス王家に腐敗の影がなかった事です。要は、誰かが故意に嘘の話を神にしたのか?そして、何故神がその嘘を見抜けなかったのかと言うことです。だって、当時神々の間でも混乱が起きていたからだそうです。ライセル様が告白してくれて分かったことです。ライセル様によれば、あの日様々な混乱が巻き起こっていたようなんです。始まりは、予言をもたらす神サリバンの言葉でした。ミヤギユウキなる男は二つの世界を滅ぼすというのです。そもそも、その頃はまだミヤギユウキ自身存在しない時代にそう予言をしたのでした。そこから、連鎖のように事件が起きました。
ヤマフシノミコトという謎めいた神がいきなり頂点たる神に宣戦布告したこと。
そして、ダンテという男が神の世界にいきなり入ってきて、自分を神だと言った事でした。
神々にとってどうやってやってきたかも分からない始祖の人の新神宣言を問題視しました。始祖の人の1人としてダンテと名乗る男の存在は知っておったが、それほどの力は持っていなかったはずなのだ。神々としては、ヤマフシノミコトが関わってると睨んでいましたが、奇妙なことにヤマフシノミコトのことを調べれば調べるほど奇妙な事が浮かび上がったのだ。それは、元々怨霊の類で祟り神だということ。問題なのは、生きていた頃の時代が合わないという事でした。調べたところ、未来から来た祟り神でない限り、そのタイミングでの宣戦布告はありえないという事なのです。ですが、祟り神ごときに未来から過去へ来るなんて事、時の神クロノスが協力しなければ成立しない。
要は、神々の中に裏切り者がいなければこんなこと起きるはずもない。だから、神々皆疑心暗鬼になっていたようなのです。だから、混乱が起きていた。
時の神であるクロノスに確認しようとした時には、クロノスを崇めていたはずの始祖の人、フォリアが率いる軍隊に滅ぼされていたのだ。そして、その現場には、神殺しの槍、レスティリアがあったのだ。フォリアがおそらく手をかけたのだろう。そして、そうだ。レスティリアは危険な武具として主が厳重に管理していたはずなのだ。この一件で、更に神々の間で緊張感が増した。ほぼ、神々同士で争いが起きるかなんて言われた程です。そんな時、更にまた謎めいたやつが現れたらしいのです。それが正体不明の存在、見た目は日本人の特徴とかなり似ていました。この時、日本人という概念はまだありませんでした。おそらくその正体不明の人こそミヤギユウキだったのです。彼は、神々の疑心暗鬼な空気の中をさらに掻き乱しました。そして、その中でこの問題を解決しようと動いた一人の神が名乗り出しました。それが、ライセルの兄でした。しかし、兄はそれからしばらくして様々な神々に疎まれ始めました。誰かが言い出した事から彼は野心家なんて言われ始めてしまったのです。
次第に兄のカルセルは疑心暗鬼になっていったのです。ですが、このことは守護の神、アテネ様はカルセルにこの問題は解決できないと仰っていました。それは、疑心暗鬼になったカルセルを見て思った事だったそうです。その時にアテネ様は、カルセルの背後に不気味にけたたましく笑う何かの存在を見たからだそうです。アテネ様には、それがとても不快な程に耳に残ってるそうです。それがなんなのかおそらくライセル様の見立てでは、ヤマフシノミコトという祟り神の仕業。カルセルはその後闇に堕ち、魔王として君臨する事になりました。そこに、収拾をつかせるため、ソルカイア様がカルセルの抹殺を言い渡しました。そこで、白羽の矢がたったのが腹違いの弟ライセルでした。まだ、候補生であったライセルにとって大きな試練となったのです。ですが、この事でまた騒動が勃発しました。ソルカイア様の判断に異論を唱える神々がたえなかったのです。主であるソルカイア様は既にご老体。不老不死でありいかなる理由であっても、死ぬことはなかったが、ソルカイア様には敵も多く、敵と関係を持った神々への粛正もしてきたのが様々な神々に反感を齎しました。神々の中でもソルカイア様はカリスマ性もあり、主にふさわしい存在でもあったので、嫌われても尊敬してる神は沢山いたという事です。この辺りから、ライセルとカルセルの父親はソルカイア様でないかぎり、ライセルを指名するはずがないという憶測もあったので、騒動が起きるのは必然だったのです。
実際は2人の父親は、確かに神の1人でしたがソルカイア様ではないのです。カルセルが魔王となって姿を現した。それは、ソルカイア様にとって想定内だったようなんです。それがわかっていてライセルに討伐を指示したのは、その時には既に本物のソルカイア様ではなくなっていたからだったのです。ライセルに指示し、命じたのは他でもないヤマフシノミコトに操られていたからでした。それが分かったのは討伐した後のアテナ様から聞いたからでした。そして、一番肝心なところですが。何故こんな芸当が出来たのかです。アテナ様の話ではヤマフシノミコトは神々の懐に入り、嘘の話を吹き込み戦わせた。すなわち、彼女であれば、混乱を招くことなど容易いということなんです。彼女がそうした理由は、ミヤギユウキの侵略を手助けすることです。そして、ミヤギユウキは最初はただの日本人にすぎないと言われてましたが、彼は特別な人だということが分かってます。ライセル様が調べたそうです。彼は、ソルカイア様の血筋を持つ人間なのです。ソルカイア様も知ってました。ただ、人間の血が濃かったので神々の世界に招くことは出来なかったのです。それが、地球を破滅させるまでにいたる驚異になることはソルカイア様にも想定外だったのです。それだけ、ヤマフシノミコトの存在はかなりイレギュラーな事でした。結局、ヤマフシノミコトが何故ここまで力をつけたのかはっきりしないまま、神々は衰退していったのです。ライセル様は狙われるのではないか、兄の復讐を恐れており、必要な時以外は身を隠してるということです。

そう、母は語った。それが、エドワードにはあまりに途方もない話すぎてド肝抜かれた。
我に戻ったエドワードは、話を整理させた。
エドワードは、では、諸悪の根源は誰かはまだはっきりしない。ヤマフシノミコトが一番深く全ての出来事にその祟り神のヤマフシノミコトが絡んでいることまでは分かってるが、ヤマフシノミコトに様々な力を授けた他の何かがいるかもしれないってことですか?と、尋ねると
母は、はい。要約するとそういうことです。と、返した。
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