この荒廃した世界は何故?

ワルシャワ

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終わりし世界

過去と悪夢

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ギルスタッドは、この辺りから正気を失っていく。彼は、現実の世界に戻ると、何かに怯えだした。やたらと、警戒するようになったのだ。彼が何故そんなに周りに警戒しだしたのか不明だがそれをよそに、事は深刻になっていく。ギルスタッドは、コーダの書を持ち出し外に出た所で突然倒れた。駆けつける人達に囲まれていく中意識が薄れていく。また、知らない男、かなり年老いた男がいた。泣いてる。まるで、断末魔の叫びのように泣きじゃくる老人。辺りを見回すと、戦火に巻き込まれていて、あちこちで死体やら燃え盛る炎に家の倒壊、そして、見た事のない煙を纏いながら空飛ぶ鉄の鳥、火を噴く鉄の馬がいた。軍人だろうか、奇妙なヘルメット被った軍人らしき男達、女達が戦ってる。どうやら、私は第二次世界大戦中の夢でも見てるのか我々の世界でも知ってる。あの時、騒ぎになったもんな。こっちでも。サリバンが焦って報告してきたからな。そして、ぐったりした男の子を抱え込みながら泣きじゃくる老人は、こっちをまるで救いの目で見てくる。そして、目の前で老人も被弾したのか老人の体の振動と共に、ぐったりした。そして、また夢なのか映像なのか、分からないがまた切り替わった。今度は、目の前に現れたのは、女の子。そして必死に守ったのか、母親らしき女性が女の子を覆うように動かない。どうやら、死んでるようだった。こんな夢耐えられない。その気持ちで胸が痛くなる。そんな気持ちをよそに、戦火の中に大きな鉄の馬が迫り来る。火を噴きながら。
自分も被弾したのか、爆風にやられたのか、吹き飛ばされる。そして、何かに身体がぶつかった。そして、助けてくれとの声だけが沢山聞こえてくる。そして、フラッシュバックのように沢山の人の救いを求める目をした顔だけが延々と過ぎってくる。そして、目だけが沢山痛いくらいに突き刺さるように脳裏に入ってくる。そして、一瞬1人の女性の声が、それはギルスタッドの母の声。妹を守ってあげてという声とともに、意識を取り戻した。病室にいたようだ。五十嵐咲良がそこにいた。おい。大丈夫なのか?お前、図書館の外で突然倒れたんだぞ。なにがあった?そういや、コーダの書読んだんだろ?何か、収穫あったか?と、言ってきた。あぁ、一応な。とだけ、ギルスタッドは答えた。だが、それ以上五十嵐咲良に何も言わなかった。しかし、五十嵐咲良は、なんだよ!心配して、ずっと見てあげたのに、それだけか。酷いじゃないか。私だってミオちゃんの事もみなきゃいけないし、クラウス君と色々お前のために色々調べてあげたりしたんだぞ。お前な、何日ずっと目覚ましてなかったと思う?10日も昏睡状態だったんだぞ。いい加減、もっと人を頼れよ。1人でなんでも抱え込もうとしやがって。そういうとこ、腹立つんだよ。と、怒鳴ってきた。そして、泣いていた。深く考え込み、深いため息をし、もう無理か。分かった。話そう。私と妻の先祖の話をしよう。頼むから、このことは誰にも言わないで欲しい。それが約束だ。と、ギルスタッドは、強い眼差しで五十嵐咲良を見た。五十嵐咲良は、な、なんだよ。改まって。でも、分かった。私を信じてくれてるって事だし、良いだろう。話してくれ。と、語った。私と妻であるノーラは、元々兄妹だ。妻であり妹でもある。それが昔からの習わしだ。我々一族のな。ノーラと私の間にできた子供が、エドワードだ。だが、5人目の子だ、本来ならエドワードには、姉が3人、兄が1人いる。姉の1人は消息不明だ。他の兄弟は死んでる。幼いうちに。エドワードと2歳くらい離れてる姉が消息不明なんだ。今もアイリスはどこかで生きてると信じてる。そして、ここからが肝心だ。私は、王家の血筋を色濃く持つ。当然妻もだ。そしてなにより、アイリスもエドワードもその血筋を持っていると言うことだ、できることならこの血筋を絶やしたくないのが本音。そうだ。エドワードがどこかの国の王になれば、アイリスも姿を表す。と、昔にとある方から言われたことがある。
だが、もう絶望的だ。
この通り、息子がどうしてるかなど分からん。変な世界に飛んできて、私自身正直混乱してるんだ。この世界はどうなってる?何故、ミヤギユウキと言う男にこんな芸当ができるのか?ただの人間ではないのか?この世界に来てから、訳の分からないことばかりが起きてる。私はどうしたらいい?このまま、この世界で生きることになるのか?もう、永遠に息子と再会することなく、生きていくしかないのか?情けないな。私も朦朧したかの。こんなことで、不安に押しつぶされるなんて。もちろん、分かってたさ。この旅で分かった。私は1人ではどうすることも出来ない。情けない男だと。息子よ。頼む。生きていてくれ。
そう言うと、五十嵐咲良が
そっか。息子のこと心配か。ライセルって言う神様に聞けばなんかわかるんじゃないかな?でも、私も悪かった。君に頼ってばっかだったかもしれない。あんた、意外とタフそうに見えてそうじゃないんだな。
そう言ったのだ。
ギルスタッドは、これまでに無いほど肩の荷がおりたのか清々しい表情を見せた。
お互いに、いつの間にかお互いに笑顔になっていた。
と、そこに漆黒のフードを被った男が病室に入ってきた。ギルスタッドと五十嵐咲良は警戒し、お前は誰だ?と言うと、男は、待て。と一言発し、まるで警戒するように呪文を言いながら壁やドアに何か付呪をかけた。
そして、男はフードを外した。
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