この荒廃した世界は何故?

ワルシャワ

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オルテガミスの黄昏

アルジェリアの予言

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ワーグナーの部屋に来たマグノリアとエドワード、ドアをノックするとワーグナーの声が聞こえてきた。そして、入室すると、ワーグナーは全部鍵を閉めといた。では、話そう。これまで以上に警戒している様子のワーグナー。アルジェリアより伝令を受けた。この国はいずれ滅ぶ。と、言うことだ。その発言に、2人は驚いた。だが、言われてみれば王も既に亡くなられてる。王のいない状態でこの国が無事のままでいられるはずがない。2人は、この国の没落を見たくなかった。ずっと育った国。それを知って、黙ってるはずもなく、エドワードとマグノリアは同時に言った。どうにかならんのかと。と、ワーグナーが妙なことを言った。滅ぼされし大陸は血の涙を流した。血の涙は、赤き王冠となり新たな王を選ぶ。その王は、新たな覇者を生み出し、栄華を極める事になる。だそうだ。それがアルジェリアの予言だ。意味はよく分からぬが、誰のことか君たちは分かるだろうか?と言った。エドワードとマグノリアも見当がつかなかった。
ワーグナーは、いいか。今聞いた事は内密にしておく必要がある。今は、この国はぐらつき始めている。滅ぶなんて言葉聞いたら、国民はパニックを起こして暴動を起こしかねない。それに、今我々は下手に動けない。なぜなら、今になってノアの聖杯が各国の粗探しをしてるからだ。ギデオン・ロックブラスターにアルジェリアの予言を知られたら大変だからだ。ましてやギデオン・ロックブラスターは極度のアルジェリア嫌いで有名だ。アルジェリアの干渉をよく思っていないのだ。
過去に、ギデオン・ロックブラスターは愛する彼女が目の前で殺されるのを見てしまった。それを予言したのがアルジェリアだった。だから、アルジェリアを憎んでるそうなんだ。何回もこの世界は災厄を乗り切った。それもアルジェリアの予言のおかげでもある。だから、アルジェリアを信仰するものも当然ながらいるがな。しかし、今回ばかりは予言の内容が内容だけに知られるわけにはいかないのだ。滅ぶなんてギデオンに知られてみろ。ただでさえ、この国を欲しがってもいた。我が物にしようと動きだすに決まってる。過去に奴に奪われた国がどうなったと思う?滅ぶなんてものじゃない。人を道具としか見ない指揮で地獄絵図そのもの。残酷な殺しが繰り返され、奴を串刺し侯爵と言うものもいるくらいだ。それぐらい、恐ろしい男だ。
だから、いつも以上に慎重に事を進めなければならないのだ。明日、奴は視察に来る。王が不在だと非常に厄介だ。どうにか、王の死はこの国内で収まってる。だが、時間の問題だから、明日さえ乗り切ればな。だが、大丈夫。ライオットが明日のために準備してくれてるはずだ。と、自信ありげに言った。
ワーグナーは、そう言うとそういえばだが、お前達に会いたいと言う人がいる。会ってみてはどうだ?と言った。果たして、誰なのか分からなかったが、来賓室にそのまま向かうと、そこにいたのは見ず知らずの若い女性。若い女性は、どうやら二人を知っていた。マグノリアとエドワードは見事に言い当てた事に驚いた。なんとそこにいたのはアルジェリアだったのだ。アルジェリアは、明日あの大男が来るのでしょう?安心なさい。ライオットがしっかり準備してます。私も協力は惜しみません。何かあれば、私が守りますから。と、言うとライオットが訪ねてきた。ライオットは、アルジェリアよ。助かったぞ。これで、あいつを出し抜けられる。と言った。
そして、翌日ついにギデオンがやってきた。昨日いたアルジェリア様は姿が見えなかった。しかし、ギデオンと一緒にいた男に驚いた。亡くなったはずのエルドラード王がいた。普通に話している。エドワードは驚いてしまったが、マグノリアはあれは姿を変えたアルジェリア様だと耳打ちしてきた。それでアルジェリア様がいない事に納得した。ギデオン様も全然不審に思うこともなく、相手をエルドラード王と思い込んでる様子。おそらく、エルドラード王にしか分からぬ思い出も語る。一瞬目の前にいるのが本物のエルドラード王と思ってしまうくらい、完全に癖といいなりきっていた。そして、ギデオンは帰って行った。どうやら、怪しまれずに済んだ様子。最後に、ギデオンは去り際気になることを言った。最近妙な噂が出ている。カースの使いだと言う怪しい男がうろついてる。多分、耳にはしてると思うが、気をつけろ。そいつは、この世界を滅ぼそうとしてる。カースの名を使ってる以上、そいつはこの世界の敵だ。そいつは別の世界から来た不法転生者だ。肉体もそのまま維持できるとは、明らかにおかしい。知ってるだろ?別の世界からの転生者のほとんどは赤子としてここの世界に生まれ変わる。精神体だけ転生することはできても肉体をほとんど傷つけることなくやってこれる事は神でもない限り無理だ。
エルドラードも、くれぐれもそいつとは関わりあうな。
すでに奴の手に渡った国もまだわずかだがあるから。気をつけるんだ。じゃあ、そろそろ帰る事にするよ。世話になったな。エルドラードよ。ライオットも元気でな。と言ったのだ。エドワードはそいつを知っていた。すぐにピンと来た。だが、たかが騎士団員の言葉などギデオンが聞いてくれるわけがない。ましてや、口を滑らせて、エルドラードの訃報を漏らしてしまう気もして言えなかった。ギデオンは、エドワードをなんだねと声かけたが、エドワードはただ心にもない事を言っていた。尊敬してます。と言う言葉が出たのだ。それに、ギデオンは豪快に笑い、そうかそうか。だが俺みたいになるなよ。憎まれるのは私だけで十分だと言って去った。どことなく、ギデオンから優しさを感じ取ったエドワードであった。そして、事なき終えてどうにかやり過ごしたオルテガミス共和国であった。これを機に、国民はいつしかエルドラードが亡くなったと言うのはガセだと信じる人が増え始めた。
理由は、生きているエルドラード王を多くの人が見たからである。その意図もあって、ギデオンとアルジェリアが扮するエルドラードは皆がいる広場や商店街の視察という名目で案内したのだ。それは吉報となった。だが、一方で別の噂が流れた。それは、ギデオンが訪れた事に対する不安から生まれたものだった。近々戦争が起きるかもしれないと言う噂がで始めたのだ。これが後にギデオンの運命を変えていくのだ。
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