この荒廃した世界は何故？

終わりし世界

底の見えない憎悪

神田湿地群、かつてここに地主がいた。神田家の血筋は裏切りと共に潰えてしまった。最後の血筋を持ったものは憎しみを抱えながら野盗に襲われ死んだという。悔しくて、死に際憎しみに満ちた涙を流しその涙が辺りを湿らせたと言う逸話が残る神田湿地群。
そこにたどり着いたギルスタッド一行は辺りが全て赤いことに気づいた。馬は、あまり落ち着かない様子。赤い理由は、この辺りには温泉がありその成分が赤く見せるからだ。だが、信じるものは今も尚殺された最後の血筋の男の怨念が今も生きてて赤い血で染めると言って信じている。と、いきなり男の様な唸り声が聞こえてくる。
その唸り声は静寂の中、突然聞こえ始めた。そうすると、ミオがやっぱり、ほんとにいるのかな？だって、今のと言うと、咲良がかもな。怖いのか？と答えた。しかし、ギルスタッドの様子がずっとだんまりを通したままだった。一点を見つめながら。と、突然ギルスタッドは2人とも逃げるぞ。ミオは振り向くな。と、馬に乗り、馬に瞬足魔法を全部の馬にかけ、ミオを担いで走った。ミオ見るんじゃないと、隣で走る咲良が叫んだ。ギルスタッドは、速すぎる。おい、五十嵐殿一旦ここは二手に分かれてと言うと、分かったと答えた。そして、二手に分かれ逃げた。だが予想以上に速くそれは近づいてきた。と、遠くから五十嵐の矢が飛んだ。大剣を振りかざしたそれは、その矢に怯んだ。
その時、ミオがつけていたブローチが外れ、落ちてしまった。ミオは私のブローチが！と言った。そして、ふと見てしまった。それは、首が折れた男の武士の姿その男も馬に乗っていたが既に白骨化が進んでいた馬。見てはいけないものを見たミオはそのショックか気絶した。と、同時にまたそれは近づいた。いきなり男は大きな声で俺の足返せ～と気味の悪い声で発狂して姿を消した。気づいたら、湿地群は抜けていた。どうやら、この先には行けない様子。
だが、突然ギルスタッドは意識が飛んだ。光景が変わり、そこに1人老いぼれの男がいた。武士の格好。と、男はくちおしい、何故裏切った？あいつはどこだ？あいつはどこだ？助けると言ったではないか。なのに、あいつは、俺をミステタ。ユルサナイ、ミヤギユウキ、ゼッタイニワスレナイゾ。コノニクシミハケッシテキエヌゾ。次第に見えてる光景にノイズが走り出し、男は次第に首が曲がり白骨化していった。ノイズと共に。そして、びっくりして飛び上がった。
どうやら、気を失っていたようだった。五十嵐咲良は心配そうに見た。すまない。また、気を失ってしまったようだな。とミオを見るとまだ気絶していた。五十嵐咲良は、ずっとこんな調子でな。まぁ、あんなもの見たら普通の人はこうなるかもな。ギルスタッド殿もお珍しい。やはり、気を失ったのはあれが原因なんだろ？と言う。ギルスタッドは、濁した。何故なら、見た夢が引っかかったからだ。まただ。ミヤギユウキ。やつは何者なんだ？多くの人をこんな目に合わせてと少しミヤギユウキを敵視していた。ふと、聞いてみた。
五十嵐殿、ミヤギユウキと言う男を知っているか？そうすると、いや、知らないな。だが、親父は物知りだ。親父に聞けば何か分かるかもな。まぁ、親父はここから北にある彦山と言う所でこもって修行中だ。親父、元々山伏だったからな。どうする？行くか？ここからなら数日で着くぞ。と言う。ギルスタッドはふむ。その程度か。ならば、行こう。と答えた。
ミオは、突然起きあがって。なんだ。夢か。それにしても怖い夢見たよ。ギル君。変な方向に折れてる首の男に追いかけられる夢みたの。その中で、大切にしていたブローチが外れたの。と、ブローチをつけてた所を触るとない。と、五十嵐咲良がこれの事か？なら、拾っといてやったぞ。逃げてる時に。ギョロッと、ギルスタッドが睨みつけた。そして、ため息ついた。ミオは、え？逃げ？それはどういう？と痛いところをついた。五十嵐咲良は、とっさにあ。いや。逃げる練習だよ。万が一、変な武士の格好したやつに追いかけられた場合の訓練みたいなやつだ。と、冷や汗書きながら取り繕った。だが、そこまでバカではなかったようだ。ミオは、なんで、武士って知ってるの？一言も言ってないのに。じゃあ、ホントにあったことなの？夢じゃないの？と、ちょっと怒り始めた。ミオはミオで沸点が低すぎる。五十嵐咲良は、しまったと言う顔をしていた。五十嵐咲良はギルスタッドにどうにかしてもらおうと、ギルスタッドを見つめた。
女子にそんな目されてしまうと心苦しくなる。ため息つきながら、ミオ、いいか？そろそろ慣れてくれ。こんな事を繰り返してたらいつまでも立ち直れないぞ。ミオも言ったよな？自分は大人だって。ならば、それを証明しないと誰も信じてくれないぞ。それでいいのか？そう言うと、ミオは、うっ、だって怖いものは怖いし。そう言うギル君は怖くないの？と言って来た。と、勿論だ。怖いさ。それこそ、屋敷での時チビりそうになったぞ。だがな、怖いからって自分本位になっていい理由にはならない。まず、怒ることより五十嵐咲良殿にブローチを命懸けで取り返したことにありがとう言わないとダメだぞ。そこが出来て初めて大人になれる。と、自慢げに語った。と、ミオは不満そうに五十嵐咲良にありがとうを言った。五十嵐咲良は、まぁ、これで落ち着いたことだし行くか。と言うとギルスタッドはそうだな。川もある事だし、登っていけば彦山に着くだろ。ミオも不貞腐れてないで行くぞ。そこで、咲良殿の父親と会うことになっている。と言った。うん。分かったとその一言だけだった。
こうして、川沿いに上り始めた。川で釣り上げた魚は絶品で味付けも美味い。五十嵐咲良は料理が上手いようだ。別の日は、咲良の猟銃で狩ってきた鳥や猪などを料理として披露。ほんとに何でも出来るのだなと。少し、五十嵐咲良殿のことを誇らしげに見た。ミオはと言うと、相変わらず深いため息。寝る時もふて寝と変わらない。ほんとに悩ましい娘だと改めて実感した。そして、彦山に着くのであった。