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本編
助けられてる
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でも、進展がなくて焦る気持ちは俺も一緒だった。
せめて手伝わせて欲しいのに。
クロは責任感からなのか、断固として1人でいいと言った。
俺はキュウを膝に乗せて項垂れる。
「うーん。もし帰れるとしても、やっぱり何かの形でクロを助けないと帰れないのかな」
「俺は『なんとかしてくれ』とかいう曖昧な召喚の仕方をしちまったからな……」
「まだ『なんとかできてない』ってことか?」
「何を意味わかんねぇこと言ってんだお前は。とにかく、もう少し調べてみる」
「うん……俺が強かったら、あの時に全部解決できてクロに手間かけなかったのに。ごめんな」
ただめちゃくちゃに剣を振り回すことしか出来なかったことを思い出す。
こんな頼りない勇者、見たことない。
もし次があるなら、絶対にクロを助けたい。
フィーバたちがいる間に、剣術と魔法の練習を頑張ろう。
意を決していると、キュウが突然、俺の頬を舐めた。
「わわ、キュウ、なに……!」
「……お前には、もう助けられてる」
「え?」
キュウに気を取られて、低い声で呟いたクロの言葉が聞こえなかった。
聞き返したけど、クロはぴょんっと立ち上がった。
「なんでもねぇ。夜になったから帰るぞ」
クロが石から飛び降りる。
言われて見ればもう周りは真っ暗で、月と星が輝く時間になっていた。
俺は慌てて残りのクッキーを口に放り込んで、最後の1つをキュウにあげた。
そしてその帰り道、ランタンに似た魔法道具で周りを照らしていると、見覚えのある人影があった。
紅いマントをした金髪の人と、大きな斧を持った小柄な人。
「あそこにいるの、フィーバ?」
「アクストもいるな」
「フィーバー!」
「あ、おい!」
俺は遠慮なく手を振って、大きな声で声を掛けた。
2人が驚いたように素早く体ごと振り返った時に、もう1人の人影が見えた。
「あ! あぁ、アユムとクロドゥルフ!」
フィーバが俺たちの姿を見て肩を撫でおろしているのが分かる。
急に大きな声で話しかけちゃったから、そりゃそうだ。反省しよう。
「その人、誰ー? って、なにクロ」
「ここからで良いだろ」
俺は近づこうとしたけど、クロに服を引っ張られて止められた。
相変わらず、フィーバたちとは距離をとりたいみたいだ。
そろそろ慣れれば良いのに。
「薬草を取りに来て迷子になったそうです! 道をお伝えしたから大丈夫ですよー!」
アクストが返事をしてくれるのとほぼ同時に、もう1人いた誰かは会釈だけして暗い森の中に消えていった。
フィーバたちがそれを見送っているのを眺めながら、クロが小さく訝し気な声を出した。
「今から帰る……?」
フィーバたちが「危ないから一緒に帰ろう」って声を掛けてくれたから、クロの言葉の意味を俺は確認し損ねた。
せめて手伝わせて欲しいのに。
クロは責任感からなのか、断固として1人でいいと言った。
俺はキュウを膝に乗せて項垂れる。
「うーん。もし帰れるとしても、やっぱり何かの形でクロを助けないと帰れないのかな」
「俺は『なんとかしてくれ』とかいう曖昧な召喚の仕方をしちまったからな……」
「まだ『なんとかできてない』ってことか?」
「何を意味わかんねぇこと言ってんだお前は。とにかく、もう少し調べてみる」
「うん……俺が強かったら、あの時に全部解決できてクロに手間かけなかったのに。ごめんな」
ただめちゃくちゃに剣を振り回すことしか出来なかったことを思い出す。
こんな頼りない勇者、見たことない。
もし次があるなら、絶対にクロを助けたい。
フィーバたちがいる間に、剣術と魔法の練習を頑張ろう。
意を決していると、キュウが突然、俺の頬を舐めた。
「わわ、キュウ、なに……!」
「……お前には、もう助けられてる」
「え?」
キュウに気を取られて、低い声で呟いたクロの言葉が聞こえなかった。
聞き返したけど、クロはぴょんっと立ち上がった。
「なんでもねぇ。夜になったから帰るぞ」
クロが石から飛び降りる。
言われて見ればもう周りは真っ暗で、月と星が輝く時間になっていた。
俺は慌てて残りのクッキーを口に放り込んで、最後の1つをキュウにあげた。
そしてその帰り道、ランタンに似た魔法道具で周りを照らしていると、見覚えのある人影があった。
紅いマントをした金髪の人と、大きな斧を持った小柄な人。
「あそこにいるの、フィーバ?」
「アクストもいるな」
「フィーバー!」
「あ、おい!」
俺は遠慮なく手を振って、大きな声で声を掛けた。
2人が驚いたように素早く体ごと振り返った時に、もう1人の人影が見えた。
「あ! あぁ、アユムとクロドゥルフ!」
フィーバが俺たちの姿を見て肩を撫でおろしているのが分かる。
急に大きな声で話しかけちゃったから、そりゃそうだ。反省しよう。
「その人、誰ー? って、なにクロ」
「ここからで良いだろ」
俺は近づこうとしたけど、クロに服を引っ張られて止められた。
相変わらず、フィーバたちとは距離をとりたいみたいだ。
そろそろ慣れれば良いのに。
「薬草を取りに来て迷子になったそうです! 道をお伝えしたから大丈夫ですよー!」
アクストが返事をしてくれるのとほぼ同時に、もう1人いた誰かは会釈だけして暗い森の中に消えていった。
フィーバたちがそれを見送っているのを眺めながら、クロが小さく訝し気な声を出した。
「今から帰る……?」
フィーバたちが「危ないから一緒に帰ろう」って声を掛けてくれたから、クロの言葉の意味を俺は確認し損ねた。
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