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矢崎涼①
4:面接前の夜
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部屋に着くまでにすでに1パックの餅は食べ終えていた。
とは言っても1個の餅は3口で十分食べれる大きさであり冷めても柔らかかった。
作りたてではないがもち米の甘い香りは噛むほどに感じられた。
テーブルの上に中身を全部出すと残り3パックとお茶が、1本は道すがら飲んでいたが4本入っていた。
「晩飯はこれで何とかなるな。」
鼻歌交じりで台所に隣接している風呂場に行き、風呂桶を洗い始めた。
涼の住んでいるアパートは木造2階建てで、築は30年以上経っているため外観はかなり古臭いアパートという感じだが、内装はしっかり綺麗にされていた。
前の住人が退去される時にリフォームをする際、大家さんである隣の家に住んでいる木田留蔵さん(81歳)は新しい物好きのお孫さん達に言われ、最新シャワートイレやら給湯システム、LEDの蛍光灯まで備え付けてくれるらしい。
実際、涼の部屋もそれらが備え付けられていて、2DKで風呂・トイレ付という好条件だ。
しかも家賃は東京とは思えない、月40,000円なのだ。
この物件は母の知り合いの人が手配してくれたようで、実は本当は月55,000円なのだが、涼はそれは知らなかった。
大学に行くには駅まで徒歩10分、そこから私鉄で15分、更に都内線に乗り換えて12分、駅から歩いて5分と、少し遠いようにも思えるが、車がなくても移動できるのは涼にとっては楽だった。
電車の中から色んな景色を見られるので退屈せずにいられるからだ。
「お風呂が沸きました。」
給湯システムの声が聞こえるまで、涼は炬燵に入りぼーっと陽子の顔を思い浮かべていた。
あまり恋愛経験のない涼だったが、これまで彼が好き、というか好印象を持った相手はいずれも年上の女性だった。
そろばん塾の先生や中学生の時の保健室の先生。
高校生の時は、あの夏のボランティアの時に知り合った救助犬を連れていた会津消防署の女性。
告白も2度されたことがあるがどちらとも1つ上の先輩で、丁寧に断ったがその後も良き相談相手となってくれた。
誰の目から見ても誠実で人柄のよい涼は何事も一生懸命で、出来れば今は恋愛事で時間を使わずに、将来に対しての行動をしていたいと考えていた。
それを知っている同級生たちの中にも涼を思う子はいたが、それを口にすることはなかったようだ。
脱衣所なんてものはないので台所で服を脱ぎ、風呂へと入った。
シャワーで体を流し頭を洗うと湯船につかった。
熱めの温度で肩までしっかり入るのが涼のスタイルだった。
(陽子さんか~。綺麗な人だな~。)
とまた、陽子の顔を思い浮かべた。
しばらくそんな気持ちなど忘れていたが、あの抱きしめそうになったシーンを思い出してはドキドキしている自分に気付いた。
(本って結構重いから、俺も役に立つかもしれないな。)
「よし!!」
気合を入れると風呂からあがり、冷蔵庫の麦茶を飲みながら
(明日、あそこのプリンを買って持っていこう!!)
残りの餅を食べながらテレビをつけた。
とは言っても1個の餅は3口で十分食べれる大きさであり冷めても柔らかかった。
作りたてではないがもち米の甘い香りは噛むほどに感じられた。
テーブルの上に中身を全部出すと残り3パックとお茶が、1本は道すがら飲んでいたが4本入っていた。
「晩飯はこれで何とかなるな。」
鼻歌交じりで台所に隣接している風呂場に行き、風呂桶を洗い始めた。
涼の住んでいるアパートは木造2階建てで、築は30年以上経っているため外観はかなり古臭いアパートという感じだが、内装はしっかり綺麗にされていた。
前の住人が退去される時にリフォームをする際、大家さんである隣の家に住んでいる木田留蔵さん(81歳)は新しい物好きのお孫さん達に言われ、最新シャワートイレやら給湯システム、LEDの蛍光灯まで備え付けてくれるらしい。
実際、涼の部屋もそれらが備え付けられていて、2DKで風呂・トイレ付という好条件だ。
しかも家賃は東京とは思えない、月40,000円なのだ。
この物件は母の知り合いの人が手配してくれたようで、実は本当は月55,000円なのだが、涼はそれは知らなかった。
大学に行くには駅まで徒歩10分、そこから私鉄で15分、更に都内線に乗り換えて12分、駅から歩いて5分と、少し遠いようにも思えるが、車がなくても移動できるのは涼にとっては楽だった。
電車の中から色んな景色を見られるので退屈せずにいられるからだ。
「お風呂が沸きました。」
給湯システムの声が聞こえるまで、涼は炬燵に入りぼーっと陽子の顔を思い浮かべていた。
あまり恋愛経験のない涼だったが、これまで彼が好き、というか好印象を持った相手はいずれも年上の女性だった。
そろばん塾の先生や中学生の時の保健室の先生。
高校生の時は、あの夏のボランティアの時に知り合った救助犬を連れていた会津消防署の女性。
告白も2度されたことがあるがどちらとも1つ上の先輩で、丁寧に断ったがその後も良き相談相手となってくれた。
誰の目から見ても誠実で人柄のよい涼は何事も一生懸命で、出来れば今は恋愛事で時間を使わずに、将来に対しての行動をしていたいと考えていた。
それを知っている同級生たちの中にも涼を思う子はいたが、それを口にすることはなかったようだ。
脱衣所なんてものはないので台所で服を脱ぎ、風呂へと入った。
シャワーで体を流し頭を洗うと湯船につかった。
熱めの温度で肩までしっかり入るのが涼のスタイルだった。
(陽子さんか~。綺麗な人だな~。)
とまた、陽子の顔を思い浮かべた。
しばらくそんな気持ちなど忘れていたが、あの抱きしめそうになったシーンを思い出してはドキドキしている自分に気付いた。
(本って結構重いから、俺も役に立つかもしれないな。)
「よし!!」
気合を入れると風呂からあがり、冷蔵庫の麦茶を飲みながら
(明日、あそこのプリンを買って持っていこう!!)
残りの餅を食べながらテレビをつけた。
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