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三上良子①
5:作業終了
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午前11時40分。
全ての新刊の運搬、棚への補充、休刊の撤去作業が終わった。
矢崎が最初の2回の運搬で週刊誌の新刊をすべて搬入場へ運び入れたことで開店10時前には17種類すべての週刊誌の新刊と旧刊の入れ替え
が終わった。
又、残りはわずか4回の運搬で倉庫から搬入場への移動は終了した。
その後、店内の休刊の回収を手伝いながら倉庫内の清掃まで矢崎はこなしてしまった。
「ふぅー」
矢崎は、制服である青のデニム生地で胸元に三上書店と大きく黄色いロゴの入ったエプロンを外しながら、搬入場で折り畳み椅子に腰かけ
た。
エプロン以外は私服なのだが、矢崎が来ていた赤のTシャツは汗でびしょびしょになっていた。
ほかの人たちも10分ほど休憩し水分などを補給した後、各担当場へと戻って行った。
矢崎は陽子に言われ、少し早いが上がるよう言われていた。
そこに、一通り棚の確認を終えた良子が戻ってきた。
「お疲れ様です。すごいですね~。もう終わっちゃいましたよ。」
「・・・お疲れ様です。そうですね。自分がいるうちに済ませたかったので。」
ミニタオルで顔や首を拭きながら、それでも良子を見ながら矢崎は言った。
(それにしても凄い動きだったなー。そんなに腕も太い感じじゃないのに力があるんだなぁー。)
と矢崎の体をじろじろと見てしまった。
「そんなに力がありそうに見えないですか?」
見透かされたように言われてしまった。
「い、いえ、決してそんな風には・・・」
「ハハハハッ」
と笑い
「なんか正直なんですね。」
「何が正直なの?」
本当に不思議そうな顔で良子は尋ねた。
「いや、済みません。そういう所です。」
やはりニコニコしながら矢崎は言った。
(何かからかわれているのかしら?)
訳のわからない良子は更に、
「だから、何が・・・」
と言いかけたが、その時良子の後ろから陽子の声がした。
「お疲れ様。今日もありがとう。おかげさまで5時間ぐらいは短縮できたわ。」
「・・お疲れ様です。いやいやそんなことはないですよ。」
「また、謙遜しちゃって。とりあえず今日の夕方までは学校でも寝てていいから体力回復しておいてね。」
「ハハハッ、わかりました!」
そんな楽しそうなやりとりを良子の前で展開し始めた。
「はいこれ。」
陽子はそう言い、隣のメガマートで買ってきたであろう一見しておにぎりが数個と500mlのスポーツドリンクのペットボトルが入った袋を
矢崎に渡した。
「いつもありがとうございます。」
そして、ペットボトルを取り出しふたを開けると一気に飲み始めてしまった。
「休憩の麦茶だけじゃ足らなかったでしょう。」
陽子が言うと、矢崎はペットボトルを飲んだままうんうんと頷き、そのまますべて飲み干してしまった。
(えぇっ)
何度も言うが、まともに若い男性と接したことのない良子には、ただペットボトルを一気に飲み干すということもとても衝撃的であった。
「時間は大丈夫?」
陽子が言うと、
「そうですね。出来れば帰ってシャワー浴びる時間が欲しいですね。」
「じゃあ、これで上がって頂戴。また夕方お願いね。」
「わかりました。じゃあ、ごちそうさまです。」
袋を少し上にあげ陽子に言った。
「じゃあ、あとはよろしくお願いします。」
良子に向かいニコッと笑いかけ立ち上がった。
「あ、は、はい。お疲れさま・・・」
最後に、じゃあと軽くお辞儀をして搬入場から倉庫へ向かうように出て行った、
倉庫脇にある自転車置き場に向かったのである。
良子はその矢崎の姿をずっと見つめていた。
陽子も、その良子の様子を見逃してはいなかった。
全ての新刊の運搬、棚への補充、休刊の撤去作業が終わった。
矢崎が最初の2回の運搬で週刊誌の新刊をすべて搬入場へ運び入れたことで開店10時前には17種類すべての週刊誌の新刊と旧刊の入れ替え
が終わった。
又、残りはわずか4回の運搬で倉庫から搬入場への移動は終了した。
その後、店内の休刊の回収を手伝いながら倉庫内の清掃まで矢崎はこなしてしまった。
「ふぅー」
矢崎は、制服である青のデニム生地で胸元に三上書店と大きく黄色いロゴの入ったエプロンを外しながら、搬入場で折り畳み椅子に腰かけ
た。
エプロン以外は私服なのだが、矢崎が来ていた赤のTシャツは汗でびしょびしょになっていた。
ほかの人たちも10分ほど休憩し水分などを補給した後、各担当場へと戻って行った。
矢崎は陽子に言われ、少し早いが上がるよう言われていた。
そこに、一通り棚の確認を終えた良子が戻ってきた。
「お疲れ様です。すごいですね~。もう終わっちゃいましたよ。」
「・・・お疲れ様です。そうですね。自分がいるうちに済ませたかったので。」
ミニタオルで顔や首を拭きながら、それでも良子を見ながら矢崎は言った。
(それにしても凄い動きだったなー。そんなに腕も太い感じじゃないのに力があるんだなぁー。)
と矢崎の体をじろじろと見てしまった。
「そんなに力がありそうに見えないですか?」
見透かされたように言われてしまった。
「い、いえ、決してそんな風には・・・」
「ハハハハッ」
と笑い
「なんか正直なんですね。」
「何が正直なの?」
本当に不思議そうな顔で良子は尋ねた。
「いや、済みません。そういう所です。」
やはりニコニコしながら矢崎は言った。
(何かからかわれているのかしら?)
訳のわからない良子は更に、
「だから、何が・・・」
と言いかけたが、その時良子の後ろから陽子の声がした。
「お疲れ様。今日もありがとう。おかげさまで5時間ぐらいは短縮できたわ。」
「・・お疲れ様です。いやいやそんなことはないですよ。」
「また、謙遜しちゃって。とりあえず今日の夕方までは学校でも寝てていいから体力回復しておいてね。」
「ハハハッ、わかりました!」
そんな楽しそうなやりとりを良子の前で展開し始めた。
「はいこれ。」
陽子はそう言い、隣のメガマートで買ってきたであろう一見しておにぎりが数個と500mlのスポーツドリンクのペットボトルが入った袋を
矢崎に渡した。
「いつもありがとうございます。」
そして、ペットボトルを取り出しふたを開けると一気に飲み始めてしまった。
「休憩の麦茶だけじゃ足らなかったでしょう。」
陽子が言うと、矢崎はペットボトルを飲んだままうんうんと頷き、そのまますべて飲み干してしまった。
(えぇっ)
何度も言うが、まともに若い男性と接したことのない良子には、ただペットボトルを一気に飲み干すということもとても衝撃的であった。
「時間は大丈夫?」
陽子が言うと、
「そうですね。出来れば帰ってシャワー浴びる時間が欲しいですね。」
「じゃあ、これで上がって頂戴。また夕方お願いね。」
「わかりました。じゃあ、ごちそうさまです。」
袋を少し上にあげ陽子に言った。
「じゃあ、あとはよろしくお願いします。」
良子に向かいニコッと笑いかけ立ち上がった。
「あ、は、はい。お疲れさま・・・」
最後に、じゃあと軽くお辞儀をして搬入場から倉庫へ向かうように出て行った、
倉庫脇にある自転車置き場に向かったのである。
良子はその矢崎の姿をずっと見つめていた。
陽子も、その良子の様子を見逃してはいなかった。
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