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横山健二①
12:ボディガード
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このみが席を去って1分も経たないうちに、その席に少しごつめの黒スーツの男が座った。
見るからに堅気ではなさそうな風貌では合ったが気にすることではなかった。
「あっ、済みません。そこは連れが居るんです、」
健二は媚びる様でも怖がる風でもなくすっと言った。
そして、軽く会釈をした。
男はじっと健二の眼を見ている。
この二人の両隣の人たちは会場を見ている振りをしながら内心はドキドキしていた。
「男気はありそうだな・・・」
と黒スーツの男はポツリと呟き、席を立った。
健二はなんら気にするでもなく、
「ありがとうございます。」
と男に言った。
何故か一瞬男はハッとした顔で向こうを見て、慌てて背中を丸めて小走りで去って行った。
このみが戻って来た。
「ちょうど第2試合が始まるところだよ。」
健二が言うと、
「そうなの。・・・・・でも、もうお昼近くになってしまったわね。」
「そうだね。・・・お昼ご飯はどうするの?」
「両親と外食することになっているの。」
「そう。・・・じゃあ、そろそろ切り上げようか?・・・お昼になると駐車場も混んでしまうよ。」
「そうね、そうするわ。・・・今日はありがとう。」
このみがすっと席を立ったので健二も立つと、
「大丈夫よ。・・・・・まだ、応援して行ったら?」
とこのみが言うが、
「大丈夫だよ、・・・・・それに僕も午後は用事があるんだ。」
健二は嘘をついた。
「そう。」
二人は席を立つと体育館を後にした。
駐車場へ送って行きがてら何気ない会話をしていたが、健二の頭の中はどうやって連絡先を聞こうかと考えていた。
(駄目だ!!全然スマートな流れが浮かばない!!)
それもそのはずで、健二が散々調べた情報はどちらかと言えば合コンなどの場所でのやりとりであって、高校生の健二に合う内容ではなかった。
(え~い、いっそのこと!!)
「あっ・・・あのさぁ・・・・・」
「はい?」
このみの会話をさえぎるように言い始めてしまったので、このみも少しびっくりしたようだった。
「また、何かのときは誘っても良いかな?」
「試合の見学?」
「っていうか・・・・・な・・・なんか・・・・・」
「えぇ、どうぞ。」
このみはあっけらかんと言った。
健二としてはデートのつもりでいたのだが、このみは全く分かってはいなかった。
そんな事はお構いなしに健二の心は有頂天だった。
「あっ、もう車が来ているので・・・」
「あっ、うん。そうだね。」
「それじゃ、今日はありがとう。」
「いやいや、こちらこそ。」
と健二は笑顔で言った。
このみは駐車場から出て来た黒のベンツに近づいていった。
(凄い車だな・・・)
すると、運転席から男が出て来て助手席のドアを開けに来た。
その際に健二を見た。
(あっ!!あの時の!!)
そのちょっとごつい黒スーツの男は会場でこのみの席に座った男だった。
このみが助手席に乗り込むと、運転席側に回り込みながら再度健二を見た。
(運転手と言うより・・・・・ボディーガードだな。)
何故か健二はホッとした気持ちになった。
それは、自分のいないところでもこのみは守られているのだと思ったからだ。
(お嬢様だからな。)
そして助手席の中から軽く2度手を振ったこのみに大きく手を振った。
「あっ・・・連絡先聞くの忘れた・・・」
割と大き目の声で呟いてしまった。
見るからに堅気ではなさそうな風貌では合ったが気にすることではなかった。
「あっ、済みません。そこは連れが居るんです、」
健二は媚びる様でも怖がる風でもなくすっと言った。
そして、軽く会釈をした。
男はじっと健二の眼を見ている。
この二人の両隣の人たちは会場を見ている振りをしながら内心はドキドキしていた。
「男気はありそうだな・・・」
と黒スーツの男はポツリと呟き、席を立った。
健二はなんら気にするでもなく、
「ありがとうございます。」
と男に言った。
何故か一瞬男はハッとした顔で向こうを見て、慌てて背中を丸めて小走りで去って行った。
このみが戻って来た。
「ちょうど第2試合が始まるところだよ。」
健二が言うと、
「そうなの。・・・・・でも、もうお昼近くになってしまったわね。」
「そうだね。・・・お昼ご飯はどうするの?」
「両親と外食することになっているの。」
「そう。・・・じゃあ、そろそろ切り上げようか?・・・お昼になると駐車場も混んでしまうよ。」
「そうね、そうするわ。・・・今日はありがとう。」
このみがすっと席を立ったので健二も立つと、
「大丈夫よ。・・・・・まだ、応援して行ったら?」
とこのみが言うが、
「大丈夫だよ、・・・・・それに僕も午後は用事があるんだ。」
健二は嘘をついた。
「そう。」
二人は席を立つと体育館を後にした。
駐車場へ送って行きがてら何気ない会話をしていたが、健二の頭の中はどうやって連絡先を聞こうかと考えていた。
(駄目だ!!全然スマートな流れが浮かばない!!)
それもそのはずで、健二が散々調べた情報はどちらかと言えば合コンなどの場所でのやりとりであって、高校生の健二に合う内容ではなかった。
(え~い、いっそのこと!!)
「あっ・・・あのさぁ・・・・・」
「はい?」
このみの会話をさえぎるように言い始めてしまったので、このみも少しびっくりしたようだった。
「また、何かのときは誘っても良いかな?」
「試合の見学?」
「っていうか・・・・・な・・・なんか・・・・・」
「えぇ、どうぞ。」
このみはあっけらかんと言った。
健二としてはデートのつもりでいたのだが、このみは全く分かってはいなかった。
そんな事はお構いなしに健二の心は有頂天だった。
「あっ、もう車が来ているので・・・」
「あっ、うん。そうだね。」
「それじゃ、今日はありがとう。」
「いやいや、こちらこそ。」
と健二は笑顔で言った。
このみは駐車場から出て来た黒のベンツに近づいていった。
(凄い車だな・・・)
すると、運転席から男が出て来て助手席のドアを開けに来た。
その際に健二を見た。
(あっ!!あの時の!!)
そのちょっとごつい黒スーツの男は会場でこのみの席に座った男だった。
このみが助手席に乗り込むと、運転席側に回り込みながら再度健二を見た。
(運転手と言うより・・・・・ボディーガードだな。)
何故か健二はホッとした気持ちになった。
それは、自分のいないところでもこのみは守られているのだと思ったからだ。
(お嬢様だからな。)
そして助手席の中から軽く2度手を振ったこのみに大きく手を振った。
「あっ・・・連絡先聞くの忘れた・・・」
割と大き目の声で呟いてしまった。
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