恋模様

naomikoryo

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横山健二①

5:お守り

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結局体育館の中には入らず、職員室の香先生の机の上に休部届けを置いてきた。
これから校門前のバス停で病院へ向かうのだ。
女の子の事はすっかり忘れ、意気消沈で校庭を歩いて向かった。

「横山センパ~イ!!」
校門手前まで言って呼び止められた。
振り返ると紫吹楓が薄ピンク色のジャージ姿で走ってきている。
「センパ~イ!!」
再度大声を出して走り寄った。
「楓か。」
「今日から・・・・・休部って・・聞いたんですけど・・・」
ハァハァ息を切らしながら言った。
「あぁ、これから病院なんだ。」
「体育館には顔を出さないんですか?」
「・・・・・ごめんな・・・・・ちょっと・・・・・」
その様子を察して、楓は元気な口調に変えた。
「・・・頑張ってください・・・・・みんな・・・・・待ってますから・・・・・」
「ありがとう。」

楓は上着のポケットから何かを出して健二の前に差し出した。
「これ・・・お守りです!!・・・・・どうぞ。」
見れば何か布で作ったお守りのような物だ。
表面には刺繍で『完治祈願』と縦に書かれていた。
かなりの丸文字でだが。
「作ったのか?」
「はい。」
息が落ち着いた楓はまっすぐ立って健二を見つめ笑顔で答えた。
「ありがとう。」
健二は又、無意識に楓の頭を撫でた。
「はい。」
と楓は更に満面の笑みで答えた。
「じゃあ行くから、練習に戻れ。・・・・・頼んだぞ!!」
そう言って健二は歩き出した。
(あれ?・・・・・部長って分けでもないのに頼んだぞってのもおかしいか?)
ふと考えたが、まぁいいかってことで終わった。

数歩歩くと、また後ろから、
「本当に頑張ってくださ~い!!待ってますから!!」
と楓の声が聞こえた。
健二は振り返らずに左手を上げて振った。
バスに乗って楓から貰ったお守りをポケットから出して見た。
(頑張るしかないよな・・・)
そう強く思った。
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