110 / 120
横山健二①
5:お守り
しおりを挟む
結局体育館の中には入らず、職員室の香先生の机の上に休部届けを置いてきた。
これから校門前のバス停で病院へ向かうのだ。
女の子の事はすっかり忘れ、意気消沈で校庭を歩いて向かった。
「横山センパ~イ!!」
校門手前まで言って呼び止められた。
振り返ると紫吹楓が薄ピンク色のジャージ姿で走ってきている。
「センパ~イ!!」
再度大声を出して走り寄った。
「楓か。」
「今日から・・・・・休部って・・聞いたんですけど・・・」
ハァハァ息を切らしながら言った。
「あぁ、これから病院なんだ。」
「体育館には顔を出さないんですか?」
「・・・・・ごめんな・・・・・ちょっと・・・・・」
その様子を察して、楓は元気な口調に変えた。
「・・・頑張ってください・・・・・みんな・・・・・待ってますから・・・・・」
「ありがとう。」
楓は上着のポケットから何かを出して健二の前に差し出した。
「これ・・・お守りです!!・・・・・どうぞ。」
見れば何か布で作ったお守りのような物だ。
表面には刺繍で『完治祈願』と縦に書かれていた。
かなりの丸文字でだが。
「作ったのか?」
「はい。」
息が落ち着いた楓はまっすぐ立って健二を見つめ笑顔で答えた。
「ありがとう。」
健二は又、無意識に楓の頭を撫でた。
「はい。」
と楓は更に満面の笑みで答えた。
「じゃあ行くから、練習に戻れ。・・・・・頼んだぞ!!」
そう言って健二は歩き出した。
(あれ?・・・・・部長って分けでもないのに頼んだぞってのもおかしいか?)
ふと考えたが、まぁいいかってことで終わった。
数歩歩くと、また後ろから、
「本当に頑張ってくださ~い!!待ってますから!!」
と楓の声が聞こえた。
健二は振り返らずに左手を上げて振った。
バスに乗って楓から貰ったお守りをポケットから出して見た。
(頑張るしかないよな・・・)
そう強く思った。
これから校門前のバス停で病院へ向かうのだ。
女の子の事はすっかり忘れ、意気消沈で校庭を歩いて向かった。
「横山センパ~イ!!」
校門手前まで言って呼び止められた。
振り返ると紫吹楓が薄ピンク色のジャージ姿で走ってきている。
「センパ~イ!!」
再度大声を出して走り寄った。
「楓か。」
「今日から・・・・・休部って・・聞いたんですけど・・・」
ハァハァ息を切らしながら言った。
「あぁ、これから病院なんだ。」
「体育館には顔を出さないんですか?」
「・・・・・ごめんな・・・・・ちょっと・・・・・」
その様子を察して、楓は元気な口調に変えた。
「・・・頑張ってください・・・・・みんな・・・・・待ってますから・・・・・」
「ありがとう。」
楓は上着のポケットから何かを出して健二の前に差し出した。
「これ・・・お守りです!!・・・・・どうぞ。」
見れば何か布で作ったお守りのような物だ。
表面には刺繍で『完治祈願』と縦に書かれていた。
かなりの丸文字でだが。
「作ったのか?」
「はい。」
息が落ち着いた楓はまっすぐ立って健二を見つめ笑顔で答えた。
「ありがとう。」
健二は又、無意識に楓の頭を撫でた。
「はい。」
と楓は更に満面の笑みで答えた。
「じゃあ行くから、練習に戻れ。・・・・・頼んだぞ!!」
そう言って健二は歩き出した。
(あれ?・・・・・部長って分けでもないのに頼んだぞってのもおかしいか?)
ふと考えたが、まぁいいかってことで終わった。
数歩歩くと、また後ろから、
「本当に頑張ってくださ~い!!待ってますから!!」
と楓の声が聞こえた。
健二は振り返らずに左手を上げて振った。
バスに乗って楓から貰ったお守りをポケットから出して見た。
(頑張るしかないよな・・・)
そう強く思った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
彼女の母は蜜の味
緋山悠希
恋愛
ある日、彼女の深雪からお母さんを買い物に連れて行ってあげて欲しいと頼まれる。密かに綺麗なお母さんとの2人の時間に期待を抱きながら「別にいいよ」と優しい彼氏を演じる健二。そんな健二に待っていたのは大人の女性の洗礼だった…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる