再び君に出会うために

naomikoryo

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再最終章

夜風で

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本当にどうしてこんな行動に出たのか、自分でも説明がつかなかった。
だが、後から振り返れば、何か予感があったとしか言いようがなかった。
今日はもう、太一の病室に泊まる覚悟を固め、貴子は沢口さんにその旨を伝えた。
「隣の病室のベッドが空いていますから、そちらを移動してきますね。」
沢口さんは微笑みながらそう言って、すぐにベッドを運んでくれた。
「ありがとうございます、本当に助かります。」
貴子は感謝の気持ちを込めてお礼を言いながら、太一のベッドの横にそのベッドを並べた。
そして、太一の顔を見つめながら、いつものように彼に話しかけた。
「今日はホワイトデーなんだよ。
お返し、待ってるんだからね…」
彼の手を握りしめながら、貴子は微笑んだ。
太一の穏やかな寝顔を見ていると、次第に心が落ち着き、話す声も徐々に小さくなっていった。
気がつけば、いつの間にか貴子は太一のそばで静かに眠りに落ちていた。
穏やかな病室の中で、ただ二人だけの時間が流れていた。

「えっ、寒い…」
貴子は寒さで目を覚ました。
太一の方を向いて眠っていたはずが、いつの間にか窓の方を向いていた。
窓が少し開いていて、夜風が軽く部屋に流れ込んでいた。
冷気のせいで目覚めたのだと気づき、彼女はゆっくりとベッドから降り、窓を閉めた。
閉めた窓越しに夜の静かな風景を見つめてから、ふと振り返って太一のベッドに目を向けた。
その瞬間、彼のベッドが空っぽであることに気づいて、胸がドキッと跳ねた。
「太一?」
思わず小さな声が漏れた。
慌てて部屋の電気をつけると、驚きの光景が目に飛び込んできた。
太一が、部屋の隅にあるソファに座り、小さなボリュームで真夜中のニュースを見ていたのだ。
彼の穏やかな姿が目に入り、貴子は信じられない気持ちでその場に立ち尽くした。
「太一…?」
恐る恐る声を掛けたが、その瞬間、太一が軽く手を振り、にっこりと笑顔を見せた。
「よう、貴子!」
彼の声は、いつもの太一のものだった。
信じられない気持ちと、圧倒的な喜びが一気に押し寄せ、貴子は涙を浮かべながら太一に飛びついた。
その胸に顔を埋め、再び感じた温もりに、彼女は言葉にできない感情で胸がいっぱいになった。

「本当に…太一なの?」
「そうだよ。
驚かせてごめんな、
少しテレビでも見ようかと思ってさ。」

貴子は太一の胸にしがみつき、二人の間に静かな時間が流れた。
信じられない奇跡の瞬間が、ようやく現実として彼女の中に刻まれた。
「お帰り、太一。」
「ただいま。」
太一はゆっくりと貴子を抱き寄せて、長いキスを交わした。
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