再び君に出会うために

再最終章

決意

「騙されるな！」
と、若い男の声が響いた。
貴子が声の方を振り向くと、会場の入り口で立っている二人の姿があった。
「優也・・・君？」
貴子は見覚えのあるその顔に気付いた。

「やつらは自分たちの星の住民の魂を人間に寄生させ、侵略する気なんだ。」
緊迫感のある優也の声が会場に響き渡りました。
貴子は驚きと困惑の表情で優也を見つめました。
彼がどのようにしてここに現れたのか、そしてなぜこのような警告を発しているのか理解できませんでした。
小南教頭は微笑みを浮かべたまま、優也に向かって言葉を投げかけました。

「優也君、久しぶりね。」
「黙れ、小南。
お前たちはこの星を狙っている。
それに協力するなんて愚かなことはしない！」
優也の声は厳しく、決意に満ちていました。
「あらあら、そんなに敵意を抱くことはありませんよ。
我々はただ、異なる星の文明との交流を進めているだけです。」
優也は小南教頭の言葉に怒りを露わにしました。
「交流などという甘い言葉に騙されない。
お前たちの真の目的は我々の星を支配し、魂を奪うことだ。」

小南教頭は微笑みを崩さずに言い返しました。
「それは誤解よ。
私たちは協力を望んでいるだけさ。」
貴子は優也の言葉に耳を傾けつつ、同時に小南教頭の表情や態度にも注視しました。
異星の者たちとの交流が、一体どのような展開を迎えるのか、未知の未来に向けて緊張感が高まっていました。
すると、優也の後ろにいた麻友が徐に前に出て来て、バレーボールほどの大きさのボールをスリーポイントシュートのように会場に向かって投げた。
ゆっくりとと大きな軌道で投げられたそのボールを小南教頭が銃で撃ち落とそうとした。

ビー！

ボールに命中するとボールは破裂するのではなく周りが溶けるように消えた。
すると、中から黒っぽい粉が風に乗って会場中に撒き散らかった。
初めはその粉を会場の全員がボーっと見つめていたが、次第にあちらこちらでくしゃみが聞こえだした。
粉が降りかかった来客者たちが一堂にくしゃみをしだしたのだ。
「こしょう？」
貴子はその様子を見つめていたが、小南教頭の腕が緩まったことを感じ、振り払いすぐに警察署長の椅子の後ろへ避難した。
貴子が会場中を見回すとくしゃみをしながら粉から離れていく来客者に異変が起きていた。
皆一様に今ここにいる事を不思議がっているのだ。
そして、地面のあちこちにうっすらと淡く光っているさっきのあの光のようなものが落ちていて、更にそれは少しずつその光が失い消えていった。

「なんてことを！」
小南教頭が狂ったように頭を掻きむしっている。
「よくも、我々の仲間たちを・・・」
優也がゆっくりと貴子の方へ歩いてくる。
勿論、その後ろには優也に庇われながら麻友もいる。
「さっきの光の正体がやつらの本体さ。
一度、寄生しようとした者の体から出されてしまえば、あっという間に消滅する。
ただ・・・」
優也が口ごもってしまったので貴子が尋ねた。
「ただ、何？」
「・・・・・あまり長く寄生されると・・・魂ごと取り込んで本人に成り代わってしまう・・・」
「えっ？」
「彼らは魂を取り込むことで、その人間の体を乗っ取るんだ。
そして、元の人間はどこかへ消えてしまうんだ。」
優也が厳しい表情で説明しました。
貴子は驚きと戸惑いの表情でそれを受け入れようとしました。
「でも、あの粉は…？」
「あれは、寄生しようとしたものたちを弱体化させ、体から追い出すための特殊な粉です。」
優也は真剣な表情で話しました。
小南教頭はまだ頭をかきむしっていて、周りの既に寄生されてしまっている者たちも次第に混乱してきました。

「貴子さん、麻友。
・・・これからが本番だ。
このボールは寄生者を一時的に弱体化させるが、解決策ではない。
この星の技術を使って、彼らを完全に排除する方法を見つけなければならない。」
優也は麻友に向かって言いました。
「わかったわ、優也。
私、出来る限り協力するから。」
麻友は頷いた。