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再最終章
洗脳?
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さっきから突拍子もないことを言っている小南教頭に対して、あまりにも周りの人たちが従順に聞いているのを不思議な気持ちで見ていた。
だいたい、客席側全ての人が立膝をついて少しうつむき加減になっている。
隣りの警察署長でさえ、椅子に背筋を伸ばして足を閉じ、その足の上にそれぞれ手を置いてじっと聞いている。
いや、うっとりしているように見えるのは貴子がこのスケベ所長の実態を知っているからかもしれない。
若い婦人警官たちに、それはもう、セクハラすれすれのことをしているのを散々聞いているからだ。
いや、それよりも・・・
(何故あの子たち迄ここにいて同じようにしているのだろう?)
貴子はじっと智たちを見つめた。
合流してきたという事は先ほど言っていた、遊園地か公園の方にいたのだろう。
それを切り上げてわざわざここに来るという事は・・・
「洗脳!」
咄嗟に声を出してしまい慌てて目を伏せて口を塞ぐ貴子だったが、小南教頭の話が途切れることはなかった。
(あれ?)
恐る恐る顔を上げると、人々は全く動じることもなく同じ姿勢でいるようだ。
(どういうこと??)
貴子は段々怖くなる自分に気が付いてしまった。
体の芯からくる震えが徐々に手に現れ始めてしまった。
(このままここにいては危険だわ!)
貴子はそ~っと椅子から降りると低い姿勢で壇上を後ろの幕下から降りようと試みた。
「貴子さん。」
すぐ後ろから小南教頭の声がしてびくっとなった貴子が立ち上がってしまった。
「どうしたの?」
「あっ・・・い、いえ・・・・・あっ、ちょ、ちょっとお手洗いに・・・・・」
「まぁ、そう。・・・・・でもその前にちょっとよろしいかしら?」
小南教頭は貴子の肩に手を回し、そのまま壇上中央へと導いた。
「あっ・・・えっと・・・」
貴子はドギマギして周りに助けを求めようと思ったが、みんな片膝を立てたままこちらをじっと見つめているだけだった。
「山下くん・・・」
智に声をかけてみたが彼は瞬きすらせずにこちらをじっと見ている。
「斎藤・・さん・・・」
陽子も同じだ。
「まさかとは思いましたが、あなたはまだ眠っているのかしら?」
小南教頭が問いかけてきた。
「眠ってる?・・・・・いえ、この通り起きていますけど・・・」
「そうではなくて・・・」
「??」
貴子には何を言っているのか全く見当がつかなかった。
「ふぅ~仕方が無い子ね・・・」
小南教頭が腰ベルトから銃のようなものを取り出し、貴子のこめかみに当てた。
「な、なんでしょう?」
貴子は幾ら何でも自分が殺されそうになっているとは思えず、
「あっ、あ~!これってどっきりってやつですか?」
と急な安堵感から甲高い声を上げてしまった。
そうして小南教頭を見る貴子だったが、彼女の顔は少しも笑ってなどいない。
少し沈黙が流れ、
「見て。」
と小南教頭はその銃のようなものを20mほど離れた大木に向かって撃った。
スン、という静かな、ただ確かに何かが撃ち出されてすぐに、大木は何かが当たったのだろう箇所から粉々に吹き飛んだ。
木々の破片が飛び散り、近くにいた人たちにぶつかる。
時には大きな破片が後頭部に当たっているようにも見えたが、彼らは微動だにしない。
「えっ・・・えっ・・・・・」
貴子はパニックになった。
「だ、大丈・・夫・・・」
頬から血を流している子供も見えたため貴子は走り出したい衝動になったが、右腕をがっしりと小南教頭に掴まれた。
「大丈夫。」
小南教頭を見ると静かに微笑んでいる。
「だ、大丈夫って、何がですか!」
貴子は小南教頭を睨んで大声をあげた。
が、再度その子供に目をやると、血の跡などない。
「あれ?」
遠目からでも衝撃を受けたであろう様子が伺えた人たちも何事もないようだ。
「あなたもよく知っているはずだけど?」
小南教頭は唇の下に人差し指を置いて可愛げに言った。
「はい?」
「大丈夫。あなたがいなくなっても、あとはあなたの中の私たちの仲間がいるから。」
そうにこやかに笑って、再び貴子のこめかみに銃を向けた。
だいたい、客席側全ての人が立膝をついて少しうつむき加減になっている。
隣りの警察署長でさえ、椅子に背筋を伸ばして足を閉じ、その足の上にそれぞれ手を置いてじっと聞いている。
いや、うっとりしているように見えるのは貴子がこのスケベ所長の実態を知っているからかもしれない。
若い婦人警官たちに、それはもう、セクハラすれすれのことをしているのを散々聞いているからだ。
いや、それよりも・・・
(何故あの子たち迄ここにいて同じようにしているのだろう?)
貴子はじっと智たちを見つめた。
合流してきたという事は先ほど言っていた、遊園地か公園の方にいたのだろう。
それを切り上げてわざわざここに来るという事は・・・
「洗脳!」
咄嗟に声を出してしまい慌てて目を伏せて口を塞ぐ貴子だったが、小南教頭の話が途切れることはなかった。
(あれ?)
恐る恐る顔を上げると、人々は全く動じることもなく同じ姿勢でいるようだ。
(どういうこと??)
貴子は段々怖くなる自分に気が付いてしまった。
体の芯からくる震えが徐々に手に現れ始めてしまった。
(このままここにいては危険だわ!)
貴子はそ~っと椅子から降りると低い姿勢で壇上を後ろの幕下から降りようと試みた。
「貴子さん。」
すぐ後ろから小南教頭の声がしてびくっとなった貴子が立ち上がってしまった。
「どうしたの?」
「あっ・・・い、いえ・・・・・あっ、ちょ、ちょっとお手洗いに・・・・・」
「まぁ、そう。・・・・・でもその前にちょっとよろしいかしら?」
小南教頭は貴子の肩に手を回し、そのまま壇上中央へと導いた。
「あっ・・・えっと・・・」
貴子はドギマギして周りに助けを求めようと思ったが、みんな片膝を立てたままこちらをじっと見つめているだけだった。
「山下くん・・・」
智に声をかけてみたが彼は瞬きすらせずにこちらをじっと見ている。
「斎藤・・さん・・・」
陽子も同じだ。
「まさかとは思いましたが、あなたはまだ眠っているのかしら?」
小南教頭が問いかけてきた。
「眠ってる?・・・・・いえ、この通り起きていますけど・・・」
「そうではなくて・・・」
「??」
貴子には何を言っているのか全く見当がつかなかった。
「ふぅ~仕方が無い子ね・・・」
小南教頭が腰ベルトから銃のようなものを取り出し、貴子のこめかみに当てた。
「な、なんでしょう?」
貴子は幾ら何でも自分が殺されそうになっているとは思えず、
「あっ、あ~!これってどっきりってやつですか?」
と急な安堵感から甲高い声を上げてしまった。
そうして小南教頭を見る貴子だったが、彼女の顔は少しも笑ってなどいない。
少し沈黙が流れ、
「見て。」
と小南教頭はその銃のようなものを20mほど離れた大木に向かって撃った。
スン、という静かな、ただ確かに何かが撃ち出されてすぐに、大木は何かが当たったのだろう箇所から粉々に吹き飛んだ。
木々の破片が飛び散り、近くにいた人たちにぶつかる。
時には大きな破片が後頭部に当たっているようにも見えたが、彼らは微動だにしない。
「えっ・・・えっ・・・・・」
貴子はパニックになった。
「だ、大丈・・夫・・・」
頬から血を流している子供も見えたため貴子は走り出したい衝動になったが、右腕をがっしりと小南教頭に掴まれた。
「大丈夫。」
小南教頭を見ると静かに微笑んでいる。
「だ、大丈夫って、何がですか!」
貴子は小南教頭を睨んで大声をあげた。
が、再度その子供に目をやると、血の跡などない。
「あれ?」
遠目からでも衝撃を受けたであろう様子が伺えた人たちも何事もないようだ。
「あなたもよく知っているはずだけど?」
小南教頭は唇の下に人差し指を置いて可愛げに言った。
「はい?」
「大丈夫。あなたがいなくなっても、あとはあなたの中の私たちの仲間がいるから。」
そうにこやかに笑って、再び貴子のこめかみに銃を向けた。
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